【ギャラス】小串遼太郎(監督)と佐藤太輔(ギャラス/スーツアクター)が熱く対談する!

©東映特撮ファンクラブ
2019/07/01

【ギャラス】小串遼太郎(監督)と佐藤太輔(ギャラス/スーツアクター)が熱く対談する!

東映が『怪獣作品』を製作した!

東映×怪獣としての、東映特撮ファンクラブ(TTFC)オリジナル作品が『シリーズ怪獣区ギャラス』だ!

すでに配信は始まっているので、みなさんはもう何度もご覧のことだろう。

さて大怪獣が登場人物の想いを載せて暴れまくるこの作品のメガホンを執ったのは、

特撮研究所の俊英・小串遼太郎(こぐし・りょうたろう)監督である。

そして重要キャラの怪獣ギャラスを演じたのは、佐藤太輔(さとう・だいすけ)さんだ。

小串監督と言えば、特撮研究所で佛田特撮監督の下、数多くの特撮作品に携わってきた期待の中堅監督だ。

一方太輔さんは、仮面ライダー龍玄(『仮面ライダー鎧武/ガイム』)やモグラアマゾン(『仮面ライダーアマゾンズ』)などを演じた後にJAEを離れ、下町で人力車俥夫をしながらヒーロー教室を主宰してマルチに力を発揮する正に『馬力』の人だ。

年齢も近く、長らく東映ヒーローの現場で共に過ごして来た2人が、この『ギャラス』でガッツリ組んだ!

THNではちょっぴり趣向を変えて、この盟友お二方にお話を聞いてみた。

―――まずは小串監督にお聞きします。

『ギャラス』を監督してみての感想はいかがでしたか?

「初めてきちんとしたオファーによる監督をしました。

最初は特撮(シーン)だけかと思ったら、『本編(ドラマ部分)も撮って欲しい』とのお話でした。

塚田(英明プロデューサー)さんと中野(剛プロデューサー)さんからオーダーを受けて快諾した次第です。

撮り終わって思ったのは・・・

二班体制(本編班と特撮班)では無いことによる作品全体のテイストの違い・・・色味というか雰囲気ですね。

そこを1人で見られる(監督する)利点はありました。

でも(あまり撮ったことのない)芝居部分の演出では、不慣れなところもありましたね(苦笑)。」

―――その人物描写の演出はいかがでしたか?

「やはり僕が得意としているのは、こちらで操作して動かしてあげないといけない、ミニチュアであったりするんです。スーツアクターの方に演じてもらうこともありますが。

(ドラマ演出は)思っていたより細かい作業だと思いました。

黒目の動き一つにしても、演(や)って頂かないとなりませんし。そこは難しかったですね。

(一方、特撮の)セットはホリゾントセットだったので『(ロケでは)あおってもばれないや!』なんて(笑)。

(またドラマ部分の)ロケでは芝居に合わせて好き勝手カメラを振り回しても、問題ありません。

その辺りはキャメラマンの鈴木啓造(すずき・けいぞう)さんに『画(え)の範囲を狭めないように好きに撮って下さい』と言いました。」

―――割と台本に忠実に撮影されていた印象ですが。

「そうですね。

あまり脚色はしていません。

どのように(カットを)割るかですね。

(カメラ)アングルは塚田さんから任せて頂きましたので、そこは自分の遊びどころだと思いました。

怪獣とのやり取りは、ある程度『お任せします!』と言われましたが、基本的には(台本に)忠実に撮ったつもりです。」

―――そして佐藤さん。

普段はヒーローを演じることの多い佐藤さんですが、今回『怪獣』を演じてみていかがでしたか?

「特撮の撮影と言えば、僕は日下(秀明)さんと一緒にやった、スーパー戦隊ロボの現場が思い浮かびます。

日下さんは数々のスーパー戦隊ロボのスーツアクターとしてレジェンドに活躍)

まず第一に『約束事を守らなければいけない』というものがありました。

普通のロケとは違い、ビルとかミニチュアがあります。そしてその決まった画の中で作業しなければなりません。

その画に入りたいならば、画になるように逆算して『用意、スタート!』で動かなければイケないのです。

その計算が第一前提でした。

それら全てを理解して(監督の)OKをもらってから、自分の芝居を入れるんです。

そうしなければイケないと言うことは、日下さんから良く教わっていました。

今回はJAEの人は誰も居なくて(スーツアクターは)僕1人です。

まずは監督に狙っている画を聞いて『何をすればいいか?』を聞きました。

まずは時間をかけて考えた後に、監督に確認しました。それから『こういう芝居をしたいんです』と提案したんです。

でもこういった作業は(JAEを離れてから)久しぶりにした感じですね(笑)。

しかも『怪人』や「ロボット』とは違って『怪獣』だったんです。

自分の『思い』ではどうにもならないことが多いのは困りました。

首の動かし方とかは『怪人』ではありませんからね。

初めて『怪獣』を演じて、監督の意見には忠実にやりました。

でも出来るカットと出来ないカットがある訳で・・・

『横から突っ込んで来てビルを壊して真っ直ぐ進む』

これはどう考えてもワンカットの画の中で、表現出来ないのでは?と思いました。

だから、

『後ろから来てビルを壊して真っ直ぐ進む』

のようなカットに変えさせてもらえませんか?と言いました。

このように想像して、出来る出来ないのカットは相談してやりました。

もちろん基本は監督の指示に従ってやろうとは決めてましたけど。」

―――ヒーローアクターの印象が強い佐藤さんをギャラスに起用したのは、監督ですか?それともプロデューサーですか?

(小串)「僕ですね!」

(佐藤)「それってパワハラでしょ!(笑)」

(小串)「いやもう、適任だと思いました。

『キョウリュウジャー』とか『トッキュウジャー』などで、特撮の現場では良くロボを演じてもらったんです。

まぁ他に(演じられる人)は、いないかなと思いました。」

―――佐藤さんに怪獣の可能性を見出した訳ですね。

(小串)「太輔さんなら引き出しも多いので任せられると思いました。

少々スーツが燃えても大丈夫だよな!と(笑)。」

(佐藤)「(監督と)全然関係無い話しで電話をしていたんですよ。

そうしたら『今度ギャラスと言うものをやるんですよ』と言われたんです。で

『今スーツアクターを探している』とも。

僕は即答で『やらない!』と断りました!

そして知り合いの名前を何名か候補として出したり、地方から起用したらどうか?とか色々言ったんです。

『あ~、そうですね。』と言いながら、最後に『あなたが、ここでヤル!と言えば、この話は終わるんです』!」

2人とも爆笑)

(佐藤)「すげ~、パワハラだな!って(笑)。」

―――最初は断ったんですね。

(小串)「どうせ、やるだろうって!

俺の中では半分以上決まってたし。」

―――そもそも何故断ったのですか?」

(佐藤)「JAEを離れた時に、スーツ姿での仕事はもう止めようと思ったんです。

またやるなら、どこかへフリーで行ったりするよりも、身体を鍛え直してJAEに戻りたいと考えていました。

一度自分で線を引いていました。

特に『東映作品』はJAEの仕事だと思っていたので、どんな経緯であれJAEの人を差し置いては出来ないと思って・・・

(話は変わり)個人的な話ですが、JAEを離れてから人力車の世界へと行ったんです。

その間一年半は、知り合いからアクション仕事を紹介されても、断って全くそれらはしていませんでした。

そうしている中で人力車に乗りに来てくれた(ヒーロー)ファンの人たちがいるんです。

そして彼らと色々話す機会がありました。今までは撮影があったりとかで、そんなことは一回も無かったんです。

その中で『JAEはアクションよりも芝居だった』と言うと『それを教える教室をやって欲しい』との意見がありました。

それがキッカケで(教室を)やり始めたんです。

そのようにカタチになり始めた矢先に、この『ギャラス』なんです(笑)。

あと小串監督とは、彼が東映に来た時からお互いにペーペーで仲良かったんです。

初監督作品なら、関わりたいとは思いました。

久しぶりに特撮(研究所)の仲間と撮影するのもいいかな?なんて。」

―――そういった佐藤さんの思いを、監督は知った上でのオファーだったのですか?

(小串)「やはりブランクがあっても、ピタッと来るんです。

破壊シーンで失敗すると、リテイクに時間がかかりますし。

先ほど聞いたように、決めた所から何歩下がってスタートとか、こっちのオーダーをクリアした上で芝居を入れてくるんです。

台本もコンテもちゃんと読み込んでくれています。

(例えば)ビルの上の物を壊したら、それで僕は終わりで良かったんです。

でも壊した後にビルの屋上に手をついて、乗り出して下を覗き込むんですね。

それは、下を南(圭介/大鷹隼人~IT企業社長~)クンが逃げているのを探している画になってるんです。

編集(須永弘志)の方がそこまで使ったんですね。

演出部的には『どこまで何歩歩いて』とか細かく伝えすぎると、役者の幅を狭めてしまう気がします。

太輔さんがどれ位の事をやろうとしているのか、やってみないと分からないではないですか。

それを『これだけでいい』なんて言うと、太輔さんはもっとやろうとしていたのに、それを否定してしまう事になると思います。

ベースと言うか、風呂敷だけ広げて『この範囲で、こう言うことをやって』と伝えなければと思います。

そうでなければ、太輔さんで無くても構いません。

決め決めにしてしまうと、極論CGでもアニメでもいい話ですよね。

みなさんベテランなので、ほっといてもそれなりの雰囲気になります(笑)。」

―――細かい動きをしようにも、ヒーローの目線と首の長い怪獣の目線は違うと思いますが、

佐藤さんの苦労はいかがでしたか?

(佐藤)「何といいますか・・・

基本は全部同じなんです。

特撮で撮影するとなった時の1番は、やはり日下さんに教わったことです。それを頭に入れてやっているつもりです。

日下さんは毎年ロボの撮影をされて来た中で、絶対に決めなければならないカットや守らなければならない

約束事を意識されていました。

日下さんがロボを演じて僕が怪人役でもそうでした。

1号ロボと2号ロボで並んだ時もそうでした。

『作品』と言うのは総合芸術だと思います。

誰かが自分の思いを強く打ち出し過ぎると壊れてしまうのではないでしょうか。

でも、それに気付くのに僕はとても時間がかりました。

JAEに入って56年経っていて(笑)。

だから、自分の中では先輩方から教えてもらった約束事を守りながら・・・

そこにちょっとだけ自分の気持ちを入れる感じです。

今、監督のお話のように『カットがかかってもその先をやる』ことは、ヒーロー作品でも良くありました。

アクション監督が動きを付けて『用意、スタート!』で始まるではないですか。

でも監督がカットをかけるまでは、アクションが付いていなくてもやらなければならないんです。

それはお互いにどういう状況でどういう役なのか把握する必要があります。

次の状況につなげる瞬間を、自分たちで作るのは結構楽しいものでした。

監督のカットがかかった先までを考えることは、久しぶりにやりました(笑)。」

(小串)「僕も画を見ていて、太輔さんの動きの多いカットはイイ画がとれるまでカットをかけません。

『オォッとここまで来た!』というのも楽しいんです。

全ての判断は監督に委ねられてはいる訳ですが、それだと撮影前に監督が考えた

ことが全部正しいかどうかは編集して完成するまで分かりません。『意外と良くなかったね』とか。

だから自分が『コレ』と決めたレンジよりも幅広く構えて、現場で皆と話し合っての取捨選択だと思います。

それで作っていかないとならないのは、演出というのが唯一その場で検証出来ないからなんです。

その(瞬間の)カットはカッコいいかもしれませんが、編集して効果音を付けたら良かったのかどうか

完成しないと分かりません。

(それは)ギャンブルなんです。

それ一つで結果の良し悪しが決まる訳ですから。

1カットをカッコ良くとるのは大事なファクターではあるのですけどね。

それを含めて『観終わった感』を与えるのが特殊な仕事になります。

僕は特撮研究所という会社で、佛田監督の下に12年ほどやっています。

佛田監督の現場の進め方、立ち回り方、取捨選択の仕方や編集・合成チェックなどは目の前で立ち会っています。

それを見ていると、いかに効率が良いか肌で感じます。

その効率の良さと画のバランスは、佛田監督がとてつもなく上手いんですね。

費用対効果がスゴいと言うか・・・

12年も下にいると『こうやればイイんだ!』では無くて、自分もそうなっていることにきづきます。

今回の作品で自分がやった事は、自分の意思でやってるつもりでも、

12年分の佛田監督の蓄積が自然と出ていると思います。

特撮パートも本編パートでも意識はしていません。

終わってから改めて思うと、こうだったのかもしれないと思います。」

―――特撮パートは『特撮研究所の監督』が演出しているとの安心感はあります。

「塚田さんの最初のプランも、『怪獣映画』と言う言うだけあって特撮部分に見応えが無いと

『それはどうなの?』となってしまうモノだったとだと思います。

それでウチの会社に話が来たのでしょうね。

ただ特撮助監督をやってた人に、本編監督もやらせるのはスゴいなぁと(笑)。

―――まるまる一本監督をしたのは初めてですか?

「ゲームのwebCMで、1分くらいのモノはあります。

『地球防衛軍3PORTABLE』)

台本があるのは、ほぼ初になりますけど。

僕の置かれた環境が好転していることもあります。仕上げに関わるだけではありません。

佛田監督は昔、矢島(信男)監督にロボの変形のカット割りを『お前がしろ!』

と言われてやっていたらしいんですね。

(ちなみに)僕も演出部になって2年目『(侍戦隊)シンケンジャー』のダイカイオーでは、CG変形だったのですがCG担当の人にコンテを渡した事があります。

本格的にやったのは、『(烈車戦隊)トッキュウジャー』になります。トッキュウオーの変形は電車のミニチュアだけではなく、

合成チェックもやりました。

次の年の『(手裏剣戦隊)ニンニンジャー』でもシュリケンジンをやりました。

急にと(監督に)なるのでは無くて、徐々にフェードしていくと良いようです。

先日も『上手いこと(監督を)やっとる!』と言われたんですが、イキナリ(監督を)やっていないからなんですね。

佛田監督から『このお話でコンテを書いて』『現場をやって!』と言われて、お手伝いしたりはしています。

現場慣れはあると思います。

(だから)『ヨ~イ、ハイッ!て言わなきゃ』とか『いつカットと言えば良いんだろう?』などの

ドキドキはありませんでした(笑)。

そういうところを含めて、塚田さんが佛田監督に話をした時に、僕の名前が上がったんだと思います。」

―――話はアクションになりますが、怪獣の目線とアクターの目線の違いは、演技をする上でどうでしたか?

(佐藤)「そうですね・・・

関係無い話ではありますが、ゴジラが、好きで小学生の時にゴジラ大百科とかで

の薩摩剣八郎さんのメイキングインタビュー記事とかを良く読んでいたんです。

薩摩剣八郎:ゴジラのスーツアクターを多く務める)

そうしたら自分の顔が(スーツの長い)首の上に有って芝居をすることについて、薩摩さんが言っていたことがあります。

『ゴジラでは、周りのスタッフとの連携が一番大事なんだ』と言うことなんです。

(ライダー)怪人でも(スーツの長い)首の上に頭が有ることは良くありましたが、大体固定なんです。

でもコレ(ギャラス)はスゴい揺れるんですよ。

多少可動するようにはなってましたが、固定しても僕の振動で揺れるんです。

だから目線は、周りのスタッフの指示を信じてやってましました。

『目線は合ってますか?』『もっとコッチ』とか。

なんか変に気持ちが入りすぎて首を振ると(目線が)またズレるではないですか。

最初にスタッフのひとに、『その目線で何をやるのか?』とか、『それで南さんをジーッと見てる』などの指示を開きます。

それで合ってるかどうかを確認するのですが、薩摩さんのインタビューを思い出していました(笑)。

大声で『ウォ~ッ』とやらないと周りに伝わらないんですね。

薩摩さんの『声を出す』話は印象的だったし、それは石垣(広文)さんにも言われていた事でした。

石垣広文:スーパー戦隊シリーズで多くのアクション監督を務める。ゴジラ映画にも参加。)

自分が映像を撮ってもらう時に、まず周りのスタッフに納得してもらえる画を作れなかったら、

映像になってもそれを観てる人たちはもっと残念な気持ちになると思います。

目の肥えている人たちを納得させる事からでなければイケマセン。

ヤケクソなところはありますが(笑)。

『俺はやってるぞ!感』は出さないとですね。

―――バッと思い出すのですから、かなり読み込んでいたのでしょうね?

「薩摩さん(が演じるところ)のゴジラ(映画)は、小学生の時にみんなで電車に乗って観に行ってました(笑)。

自分は東映に来て『怪獣だけは無いな』とずっと思っていて、引退した時も『とうとう(怪獣は)人生で無かったな』って。

だからやれて面白かったですね(嬉)。

これ(特撮作品)は、総合芸術だなとホントに思います。」

―――先日は出演者・スタッフら関係者の中で上映をご覧になりましたが、そのお気持ちはいかがでしたか?

(小串)「恥ずかしいですね(照)。」

(佐藤)「恥ずかしいっすね!(大照)。」

(小串)「僕はそのあと(キャストと)簡単に食事をしたのですが・・・

しかし南さん出演の尺(時間)が多く感じましたね。だからもうちょっと

『(宇宙戦隊)キュウレンジャー』のツルギファン向けの画を撮っても良かったかな?と今更思います。」

(佐藤)「さっき(そのことは)言ってましたね。」

――――とは言え、『恥ずかしい』と言うほどほど恥ずかしくはないですよね。

(小串)「そうですけど・・・(苦笑)

でも出来一つで、僕を含め他の人にも影響が出る訳で・・・

恥ずかしいと言うより、心配になりますよね。」

(佐藤)「でも(上映会の)空気は暖かかったですよね。

短編の怪獣ドラマに塚田さんを始めみんなニコニコして・・・」

(小串)「そりゃ塚田さんはニコニコしますよ(笑)。」

(佐藤)「これは『部活でやってます』みたいでしたね。

部活でだからこその愛を注いでいる感じでした(笑)

『何が楽しいんだろう?』ってくらい、みんなニコニコしてましたし。

いや~、これは面白かったです。

あとは小串クンの人間ドラマを一回も見た事が無かったので。

特撮パートはある程度『こうなるだろうな』と読めますが・・・

僕は結構人間ドラマが面白かったですね。」

―――東映であって東映作品では無く感じました。

(小串)「とりあえず今回は『ダークファンタジー』でやろうとは決まっていました。

キャメラマンの鈴木啓造(特撮研究所の撮影担当)は、助手から始まり『(獣拳戦隊)ゲキレンジャー』から

『トッキュウジャー』までスーパー戦隊をやっています。

そのあと色々と外部で仕事をしています。

西村映造の西村喜廣さんのところとか、小林勇貴監督のところであったりとか。

町場のドラマをたくさんこなしているので、画作りは任せようと思いました。

特撮ばかりのキャメラマンだと画が狭くなってしまうんですよね。

ここはもう一番最初に押さえましたね(笑)。」

(佐藤)「小串組だから、撮影中はみんな小串クンにチカラを貸します。

でも言ってる事が面白いんですよ。

『次はネエよ、小串組に。これで終わりなんだよ、小串組は(笑)』『最初で最後だ、監督の作品は!(笑)』

って呟いてるんですよ(大笑)。

監督が目の前に電信柱(のミニチュア)を置いてナメたいと言うと、『ここには電信柱はイラネーんだよ!(笑)』

『監督が言ってもイラナイイラナイ(笑)』とか。

普通ならそのまま撮ればイイじゃないですか。

みんなムチャクチャ考えていて愛情があり過ぎるんですよね。

撮影はメッチャ面白かったです。

とにかく笑ったもの!」

(小串)「(楽しそうに笑っている)

見学者がスタッフより多いくらいでした。

そこで撮ってて下さいと、もう一班できるのでは?というくらいで。」

(佐藤)「ホントのスタッフの倍くらいいたよね。」

(小串)「そう。

もちろん佛田監督に尾上監督は来たし、横井さん、長谷川さんに開田裕治さんも来ましたし。」

尾上克郎:監督/特撮監督、横井ユタカ:操演、長谷川俊介:特撮美術、開田裕治:イラストレーター)

(佐藤)「僕はもっとふざけようかと思ってたんです。

ふざけてワンカットくらいぶち壊して『もう一回やらせて下さい』とか言おうかと思ったら、

ものスゴいベテランの大御所が沢山来るので失敗は許されないなと思いました。

ネタに走るのはやめようと(笑)。

(朝には)頭でガン!とビルを壊して『面白いからどうすか?コレ』と言ってたら・・・」

(小串)「10時位からエラい人が沢山来て。」

(佐藤)「昼にはマジメにやってると言う(笑)。

思ったことをやっている時間と、周りの空気はありませんでした。

『あのバカ、何やってんだ?』と言われちゃうなと思って。

愛情に溢れた作品だったよね。」

(小串)「ウン、ウン。」

―――相当イイ雰囲気だったようですね。

(小串)「あまり他の現場の雰囲気は分かりませんが(笑)。」

(佐藤)「でもこの雰囲気はなかなか無いと思いました。」

―――これのタイトルに『シリーズ怪獣区』とありますが、やはり今後の展開は気になりますよね?

(小串)「塚田さんに任せるしか無いですね。

塚田さんの愛情のバローメーターで!」

(佐藤)「次は『ゴジラ対ギャラス』や『ガメラ対ギャラス』ですね。

そのうち『ギャラス対バラゴン』とか(笑)。

『海底軍艦』となどもコラボして・・・(暴走し始めたので後略)」

―――今後の期待や希望はどのようになりますか?

(小串)「そうですね。

今回は予算の都合も頭に入れつつやったので、次回は出来なかったことや違うアプローチでやってみたいです。

怪獣が変わっただけでは面白くないので。

今後の展開としては、世界観が同じでもジャンルが違うなどですね。

例えばコメディーに走るとか。

それ位多角的にやっても面白いのでは?と思います。」

―――佐藤さんはいかがですか?

(佐藤)「僕ですか!?

僕に次はあるのか?って(笑)。

改めて、やはり撮影と言うのは特殊んだなと思いました。

昨日今日(現場に)来て、イキナリやれる仕事では無いと自分でやって思います。

(頭の中で)ムチャクチャ計算しないとイケナイことは沢山ありましたから。

それを当たり前のように計算してやっている、僕の古巣のJAC(現JAE)のメンバーはスゴいと思います。

毎日スーツで演じていたはずなのですが、一度アレを離れると感覚は失われていってますね。

やはり三年振りにカメラの前でスーツで演技をすると。

パッと外から見ると言われた指示をやってるようにしか見えないかもしれませんが、

コッチはコッチでもう死ぬほど一瞬一瞬を計算しています。

それを1年間やってる人たちって、やっぱりスゴいと思います。

次(の『怪獣区』に)は僕はいるのかどうかわかりませんが(笑)。」

二人の話は尽きず、満面の笑顔で話し続ける姿は『怪獣好きな子ども』そのままであった。

怪獣愛溢れるスタッフが作り上げたこの作品は、何度でも観返して新たな発見をして欲しいぞ。

しかし尽きない話をカットするのも勿体ないので、もうしばらく見てみよう。

(佐藤)「(三年ぶりに演じたプレッシャーは)ありませんでしたね。

(特撮研究所の)フタッフはファミリーみたいにやってましたので信じていました。

これがアクロバットとなれば『すいません、体力的に・・・』となりましたが。

今回はまた(小串監督が)未知のジャンルを攻めて来たので。

(話は変わるけど)僕は『(魔法戦隊)マジレンジャー』から現場に来て、小串クンは・・・」

(小串)「『ゲキレンジャー』。

『マジ』の後に『ボウケン』があるから2年ズレてるんですよね。」

(佐藤)「僕は『マジレンジャー』と『ボウケンジャー』は、後楽園ゆうえんちでずっとショーをしていました。

でも(撮影)現場に入るようになったのが『ゲキレン』の後半です。

そして特撮の対決場となると、必ず小串クンがいましたね。

僕は(後輩として)一番下のJACのメンバーで、特撮を見たら向こうにもそういう人がいて!!」

(一同笑)

(佐藤)「住んでる場所も同じ街だったんです。

二人で『アイツ○○す!』とか『アイツね!』なんて言って(笑)。」

(小串)「『ゴーオンジャー』の頃は、ほぼ(佐藤さんは)ゲスト怪人を演じていたんですよ。

僕も本編に応援に行ったりして。

以降は必ずずっと・・・そして『(天装戦隊)ゴセイジャー』のデータスハイパーでロボとしてデビューしましたね。

あとはなんだかんだと・・・『(海賊戦隊)ゴーカイジャー』では、ゴーカイシルバーを演じていたので

(特撮の現場には)あまり来られなかったですが。」

(佐藤)「『(獣電戦隊)キョウリュウジャー』ではロボを演じていたので、また特撮に関わるようになって。」

(小串)「『キョウリュウ』『トッキュウ』でもロボを演じて、そんな感じでチョイチョイと。

あと僕の結婚式のスーパーバイザーですから・・・」

(佐藤)「(笑)」

しかし何ですね。

一番未来が見えない時期に仲が良かったんですよね。

ヒーローになってから知り合った人だと『どうも』って感じになります。

やっばりゴミみたいな生活をしていた時の(知り合いの)方が大事ですよね!(笑)

さすがに力になりたいと思います。」

(小串)「でも同じ街に住んでいるのは、(知り合って)「そんなにすぐでは無いんだよね。」

(佐藤)「そう、しばらくしてから。

(当時は)夢は無かったね。

現場にいても、ヒーローになれるとは全く思いませんでした。先輩たちがスゴ過ぎて。

僕はどのタイミングで辞めればいいのか?なんて(笑)。」

(小串)「そう言えば、ゴーカイシルバーの話は(周りに)したの?」

(佐藤)「始めは追加戦士になりたいとのアピールが出来たら、と思っていたんです。」

(小串)「スーツチェックをする時に彼が全部のヒーローのポーズをとったら、

それを宇都宮プロデューサーが面白く感じたそうで・・・

(その意を汲んでか)結局石垣さんがシルバー(のスーツアクターに)に採用したんだよね。」

(佐藤)「それまで6人目の戦士は先輩がやっていたので、それを見たら『俺のポストは無いな』と思いますよ。

だから最後は『辞めるなら辞めるか!』って。

いろいろやるのが一番楽しいですよね。

どうしても同じ場所にずっと居ることが出来なかったんです。

同じ場所でずっとやっている高岩(成二)さんや福沢(博文)さんは尊敬します。

いろいろな葛藤や我慢できない事を乗り越えてると思います。」

(高岩成二:『ミスター平成ライダー』と言われるほどに、多くの平成仮面ライダーを演じたスーツアクター、

福沢博文:数多くのスーパー戦隊レッドを演じ、その後はアクション監督も務めている)

(小串)しかし「『ゴーオンジャー』は11年前でしょ?

あなたは25歳ですよ。」

(佐藤)「25だったね。」

(小串)「そんな頃からの知り合いです。

家族ぐるみでの付き合いもあります。」

(小串)「(それなのに断るから)俺がゴリ押しすれば行ける!と。

JAEではないところに声を掛けたりしても、準備期間も短い中で最初から打点の高い人は・・・太輔さんしかいないんですよ。」

(佐藤)「やはり東映の仕事をするとなると・・・自分がJAEだったので、すぐに『ハイ、分かりました』とは言えないんです。

みんなの手前も、あるし・・・

でもJAEの事務所は優しいんですよ。

『頑張ってね~』って(笑)。

しかしこのギャラスを演じるにあたって驚いたことがあります。

ずっと二足歩行で行くと思ったら、四つ足なんですよね。

この絵(告知ビジュアル参照)で、四つ足になるとは思わないではないですか!?

(小串)「最初と最後だけ立ってますけど。

あれは(怪獣デザインの)田嶋さんが『怪獣は四つ足が好きだ』とのことからなんですね。

『ヒザ付きのアンギラスがイイ』って。

アンギラス:ゴジラ映画に登場する怪獣)

後は逃げてる人との関係ですね。

2メートルの人が逃げているのに目線を低くするためです。

ビルも二階立てで済むしとか。」

(佐藤)「これは四つ足だったから画が面白くなったと言うのはありますよね。

ビルから顔が出てくるとか。

あれは四つ足で良かっんだなと。」

(小串)「それと横長の画面に対して、四つ足が入りやすいのもあります。

背が高いと左右に空だけの何も無い部分が出てしまいます。

(『怪獣のスーツはいいと)佛田監督がよく言ってますが、スーツの利点はその場にある現実感はもちろんのこと

思いついてすぐ撮れることです。

CGは思いついても1カットごとに手間も予算もかかってしまいます。

逆にロケになると、ミニチュアがあります、太輔さんがいます、俺が遠目で見ています、

に思いついたことをパッと言うだけで撮れます。

例え足りないことがあってもすぐに対応出来てしまいます。

あとはメイキング映えするのと、プロデューサーが楽しいのと(笑)・・・

まだまだ尽きないが今回はこのくらいで。

(写真はメガネ姿が小串遼太郎監督)

小串遼太郎(こぐし・りょうたろう)

1984年福岡県生。

大阪芸大を経て、2007年獣拳戦隊ゲキレンジャー」より特殊美術として参加。

翌「炎神戦隊ゴーオンジャー」より演出部として特撮研究所に入社。

佛田監督に師事。

以降、戦隊の特撮現場を中心に、佛田組のチーフ助監督およびとして活躍。

TV番組だけでなく、尾上監督や樋口監督の助手としても内外の特撮映画にも

参加している。

好きな映画は『新幹線大爆破』(東映)

好きな怪獣は『メカゴジラ(1993)

佐藤太輔(さとう・だいすけ)

1982913日生。

JAE卒業後は人力俥夫。

好きな怪獣は『バトラ』

ホームページ/https://satou-daisuke.blogspot.com/

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シリーズ怪獣区ギャラス

【キャスト】

奥仲麻琴:片瀬エリカ役

南圭介:大鷹隼人役

山本康平:バーのマスター役

長澤奈央:傷の女役

【スタッフ】

監督:小串遼太郎(特撮研究所)

脚本:金子香緒里

スーパーバイザー:佛田洋(特撮研究所)

撮影:鈴木啓造(特撮研究所)

編集:須永弘志

サウンドデザイン:桑原秀綱

怪獣デザイン:田嶋秀樹(石森プロ)

怪獣造形:百武朋吉松学

スーツアクター:佐藤太輔

ラインプロデューサー:関谷和隆(特撮研究所)

アソシエイトプロデューサー:山本康平(TTFC『忍び道』より)

プロデュース:塚田英明中野剛

制作:東映

制作プロダクション:特撮研究所

製作:東映特撮ファンクラブ

©東映特撮ファンクラブ

東映特撮ファンクラブ公式サイト:http://tokusatsu-fc.jp/

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