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スペシャル-SPECIAL-

go-ongerinterview09

神谷さん演じる
クリス・ラミレス/仮面ライダースティング


Q 今日はアフレコの日でしたが、ドラゴンナイトに参加した率直な印象、感想はいかがですか?

「最初に思ったのは、これがアメリカの方にどういう風に受け入れられているんだろう?という所です。(仮面ライダーは)日本では既にお馴染みで、見慣れている造型であり、歴史のある作品ですよね。第一話を吹替え版で見たんですが、本当に見事なまでに海外ドラマになっているなぁと思いました。」

Q まず視聴者の立場として御覧になったということですか?

「多分世の中で一番最初にドラゴンナイトが発表されたのって、制作発表会の時だったのではと思いますが、実はあの場に立つまでに、僕の役のアフレコはまだ一回もない状態だったんです。やっぱり内容を全く知らないでにあそこに立つのは不安だということで資料をお借りしたという経緯です」

Q ちなみにオリジナルの「仮面ライダー龍騎」は、作品を御覧になったことがありますか?

「 残念ながら通しては見たことは無いんですよ。ライダーがたくさん出てくるということで非常に話題にはなっていましたが。日曜日の朝に起きられる時は、必ずライダーと戦隊モノは観るという感じでしたけど(笑)。」

Q 存在はご存知だったんですね?

「そうですね。もちろん、存じ上げていました。」

強敵、仮面ライダー幽汽 スカルフォーム

Q その龍騎が、アメリカで新しく「DRAGON KNIGHT」に作り変えられるよというお話を聞いた時はどう思われました?

「この手があったか!と思いましたね。というのも、以前「劇場版 さらば仮面ライダー電王」に、声優で参加させていただいた時には「ゴーストイマジン」が憑依する「幽汽」という仮面ライダーになることができたんです。だけど、「電王」自体も相当飛び道具的なライダーだったじゃないですか。こういった作品は、もうしばらくはないだろう、声優自身がライダーの声を演じるということはもう二度とないかもしれないな、と思いました。その最後の機会に僕は参加できて、すごく幸せだな、光栄だなという風に思っていたんです。けれども、『そうか。一回海外に持って行くと、また我々の力の及ぶ所に作品が存在しうるのか。』と」

Q ということは、仮面ライダーに何かしら参加したかったという気持ちが前々からあったんですね?

「そうですね。元々特撮モノは、とても好きだったんです。同い年でとても仲が良いというか・・・まぁ、そんな事言ったらあいつに怒られるかもしれないんですけど(笑)、鈴村健一がいるんです。その彼が『今度、仮面ライダーなんだ。俺は!』って言い始めた時に『何を言ってるんだ? 声優が仮面ライダーな訳ないだろう。』って思ってたんですけれど、実際オンエアを見たら仮面ライダーになっているわけですよ、彼が。で、彼も特撮がとても好きで、よくそういう話をするんですけど・・・僕も同じ特撮好きとして、そういう形でライダーに関われて、しかも怪人じゃなくてライダーという所には、少なからず羨ましいというか、嫉妬心みたいなものがありましたから。だからそういったものも全部含めて『この手があったのか!』と」


Q 一つの夢は叶った、ということですね。

「そうですね。」

Q 顔出しで、役者として出演してみたいな、ということはありますか?

「(笑)どうですかね。僕は非常に自分の容姿にコンプレックスがある人間で、それこそ顔出しのタレントさん・役者さんとは全然一線を画したところで自分自身が存在していると思っています。割と古い考え方なのかもしれないですけれど、声優というのはそういう存在だと思っているんです。なので、声優さん自身が顔出しをしていくことには問題ないと思っていても、自分自身としては非常に抵抗感がありますね(笑)。基本的に僕は自分自身が声優というところに誇りを持っているし、自分は胸を張って声優です、と言える声優になりたいと思っています。やはり一本芯として声優としての何か柱を作ってから、幅を広げていけたらな、と思っているんです。まだまだその芯が自分にとって何処にあるのかというのがあやふやなので、そこまで手を伸ばせるほどの度胸は無いですね。」

Q あくまでも第一段階として、仮面ライダーの声を、ということなんですね。

「そうですね、『声』ということです。僕の、声優という職業にとっては本当に最高ですよね。」

Q いざ実際にライダーを演じてみて何か感じるものはありましたか?

「うーん、そうですねぇ・・・。」

Q 「やった!」という感じですか?

「いや、やはり大変は大変だと思います。(電王)劇場版の時もそうだったんですけれども、基本的にスーツアクターさんが渾身の演技をしていらっしゃっていて、完全に画が出来上がっているところに、僕が出来る最高の音をつけていかなければいけない、セリフを当てていかないといけない、というハードルがあります。 その上に、外国の役者さんが演じていますから、彼らのセリフのニュアンスみたいなものも大切にしなければいけないんです。彼らも彼らで日本で出来たフィルムに対して英語を重ねて作品を作っている訳で、さらにその英語の上に日本語をのせるという、相当複雑な作業をやっています。そういった意味では『やった!』というよりは非常に難しい、今までやったことが無いような作品の作り方なんです。 海外の解釈で作り直したものをまた日本に持ってきたときに、日本的には表現を変えた方が分かりやすかったりということもありますし。例えば、外国の人って、入ってきた瞬間に『大丈夫か?』って言うんですけれど、日本で全部『大丈夫か』って言われると、常に心配されてる人とか、心配している人みたいになりかねなくなります(笑)。分かりやすい所で言うとそういうニュアンスなんですけれど、それを日本的な解釈にするにはどうしたらいいのかということを、監督が非常に頭を悩ませていました。日本人が観て分かる内容にするために、また一周した作業をしなければいけないんです」

Q 結構緊張されましたか?

「そうですね、緊張というか・・・。非常に楽しく面白い作業ではありましたが、単純に嬉しいっていう風に思えたのは、『神谷さん、今度こういうお仕事がありまして・・・仮面ライダースティングという役に決まりましたので、宜しくお願いします!』と言われた時だけですね。」

Q その時だけですか(笑)。

「 「 その瞬間だけです(笑)。やはり単純にそうやって喜んでいられるのはその瞬間だけで、そこから先はそれを最後まで全うしなければならないじゃないですか。その間体調を崩すわけにもいかないし、役を任せていただいた責任感もありますし。そういった意味では、現場に行っている時はその嬉しさみたいなものは本当に心の奥底にしまいこんでマイクの前に立たせていただいてました(笑)。」


医師の診断を受け、絶望するクリス

Q  役柄としては、『祖国を守りたいんだ』という真っ直ぐな心を持ちながらも、病弱なクリスという青年ですが、そういったことに関して、何か役作りはありましたか?

「そうですね・・・。仮面ライダーというのは、正義の味方ですからヒーロー然としているものではないですか。ただ、今回のドラゴンナイトに関しては、それぞれの欲望に取り付かれてその力を使役している、決して正義とはいえないライダーたちが出てくるんです。クリスという役は、その中でも、自分の家庭環境や、自分の体に降り掛かっている不幸に押しつぶされそうになりながらも、正義の心を持っている数少ないライダーのうちの一人なんですよね。僕は幸いなことに健康体であるので、クリスが抱えている喘息みたいな症状は無いんですけど、身の回りで喘息を持ってらっしゃる方の話を聞くと、本当にしんどい、つらいそうなんです。そういう病ということに対しては、それなりの緊張感というか、背負っているものを表現しなければいけないと思います。『ゴホゴホ』言っていれば良いって言うものではなく、決して軽々しくやれるものではありません。」

Q  咳一つにも感情なんですね。

「そうですね。『喘息は非常につらい』と言われて何がつらいのか話を聞くと、『(息を)吸うのにも、とにかく吸えないからしんどいんだ』っていう話をされて、『ああ、そうか』と思いました。どうしてもしんどい時って『(息を吐きながら)ハアッハアッ』ってこう深く息をしてしまうような印象があるんですけれど、逆に『(息を吸いながら)ハアッハアッってこうやって吸うのも、ここ(気道)が苦しいから潰れて息が入ってこないんだ』って。そういうことを念頭に置いて、イメージしました。」

Q  そういったお話って聞かないと分からないですよね。

「そうですよね。経験している方に聞かないと分からないことですね。テストをやった時に、たまたまそういうアドバイスをいただいたんです。そこからはそういう感じで演技をしました」

Q  クリスの気持ちになってアフレコしたんですね。

「そうですね。でも、演技をやる側も相当しんどくてですね(笑)。やっぱり常に咳をして息をゼイゼイ言いながら、しかも戦わないといけない。3重苦じゃないですけれども(笑)。やった後は声がボロボロになるみたいな感じでした。」

Q  喘息の苦しさと、闘いの息づかいと。

「セリフも喋らなきゃいけないし、それに気合の声も入れていかないといけないんです。監督は、『気合の声とか、アドリブでいいからどんどん入れていってくれ』と言うんです。原音がなくてもいいから画に合わせてアクションの声が欲しい、という方なので、どんどんハードルが高くなっていって大変でした(笑)。」


祖国の為と信じ戦う仮面ライダースティング

Q こういった仮面劇といいいますか、キャラクターに声を当てていくという作業は、もう慣れたものですか・・・?

「いや、そんなことはないんですけどね。でも、やっぱり電王の時の経験がすごく役に立ったと思います。電王の時は、まずテストをみんなで一緒にやってから、味方チーム・電王チーム・その後は敵チームということでばらばらに分けてから収録したんです。本当に幸いなことに、そこで電王チームがやっているのを後ろで見る機会があって、彼らは、見事なまでに全部のリアクションに声を当てていき、セリフ以外で必要な所にはセリフを創作して、どんどん足していくんですよね。『見事だな』と思いました。」

Q やはり普段のアニメーションのアフレコとはかなり違いますか?

「そうですね。違いますね。」

Q そういう作り方は楽しかったですか?大変でしたか?

「楽しかったですよ。当然フィルムが上がっている状態で完成形ではあるんですけど、僕らの頑張り方によっては、それをさらに良くしていく事もできるし、悪くなってしまう可能性もあり、(フィルムを)より良くしていこう、という気持ちは強くなりますよね。」


声優と俳優が作品を盛り上げる

Q 一緒にアフレコに立っている方に仮面ライダーを経験している俳優さんも結構いらっしゃいますけど、俳優さんの声の当て方って面白いな、と思ったことなどありますか?

「それはありますよ。特撮畑の人で声優のお仕事をやられている方、もしくは声優の仕事にシフトされてきた方も何人か知り合いにいるんですが、そういった人が声優でアニメーションの声を当てていると、妙な生々しさがあって、すごく魅力的なんですよ。どうにかしてああいうことが出来ないものだろうかと、常々思うんですけどね」

Q 生々しさというのはどんな感じですか?

「具体的にこうだということは言えないし、その生々しいという表現が合っているのかどうか、的確かどうかもちょっと分からないんですが、リアリティというか、生々しさというか・・・。」

Q 普段声優業一本でやっている方とは何か違った表現であるとか?

「微妙に違うんじゃないか、と思わせるような何かがあるんだと思うんですよね。それが僕の中ではとても魅力的に響いているんです。やはりそれは御自分の体と顔を出してカメラに写って何か演技をされているという土台があるからなのかもしれないですね。僕らは基本的にキャラクターが前面的にあって、それを声で魅力的にしていくという、自分を消す作業じゃないですか。そこがもしかしたら根本的に違うのかもしれないな、と思ったんです。
でも、逆にそういった作業に関して向こうは向こうで声優に対して「すごいな、興味深いな。」と思っているかもしれませんね。」

Q こういう場があると、異業種交流じゃないですけれど・・・。

「はい。だからとても面白いですよ。特に今回は過去にライダー作品で顔出しで参加されていた方、過去にライダー作品に声優として参加していた人がミックスされてそれぞれライダーを演じているわけじゃないですか。すごい機会だなぁと思いました。」

Q それが一つになった時にどんな作品になるのか、楽しみですね。

「はい。遊佐さんだったり、杉田君だったり、かたや松田(悟志)さんとか、そういうみんな『ライダーだった人たち』で。」

Q それは作品としても面白くなりそうですが、現場も面白そうじゃないですか。

「そうですね。我々声優陣だけのところに、違う風が吹いてくるみたいな感じです。」

Q 特撮好きだとますます興味深い話が聞けるんじゃないですか?

「そうですね。でもさすがに現場で『あれどうだったの?』とか聞けません(笑)。全部作品が終わって、打ち上げとかがあったときに改めてそういう話はしたいな、とは思ってるんですけど。」

Q 面白い話が聞けるといいですね。

「そうですね(笑)。」

Q 神谷さん的にこの作品のお薦めのポイントというか、見どころを教えて下さい。

「全体としては、日本のライダーを海外に持っていったときにこうなるんだということが、ご納得いただける内容になっていると思います。
あえて自分の役にスポットを当てさせて頂くと、僕が声をやらせてもらっているクリスは、とても良い役にしていただきました。
元のフィルムもとても素敵に出来上がっているんですが、さらにそこにとても良い吹替えの台本を書いていただいたんです。先ほど言った英語と日本語の表現のこともすごく考えてくださっていて、監督並びにプロデューサーが、あれじゃなくてもっと良いセリフは無いか、良い方法は無いかと、台本を印刷所に出した後でさらに改定までして、とっても良いセリフを用意してくださったんですよ。だから僕はもう完全にやりきることができますね。」

Q 神谷さん的に代表作品の一つとして数えられる作品になりそうですか?

「そうですね。そう胸を張っていえるような役になりそうだと思います。」

Q 神谷さんパートのオンエアが楽しみです。

「はい。是非観て頂ければと思います。」