ベンタラの屈強な戦士、レン。

Q 再びのレン(「龍騎」の時は秋山蓮)役ですね。懐かしい感じですか?
全く別の感覚ですよ。設定も全然違いますし、逆にミラーワールドとかの概念を持ち込むとややこしいことになってしまうので。「KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT」ではあれはベンタラって世界なんです。別世界なんですよね。
Q その世界観の違いに抵抗はありませんでしたか?
さすがに7年空いていると無いです。ただ、やっぱり僕自身が秋山蓮、今回で言うとレン役に対しても思い入れがすごく強いので、「仮面ライダー龍騎」のキャストがあれだけいる中でも、秋山蓮を演じた僕に声を掛けてくださったこと自体、すごく嬉しかったですね。それだけ蓮という役にプロデューサーも思い入れを抱いてくれていると、大事にしないとって言うのはありますよね。今は僕がかつて秋山蓮であり「仮面ライダー龍騎」という作品に対して抱いていた愛情を持って、新たな作品に挑んでいるって言う感覚に近いですね。
モンスターをバコバコやっつける。
Q レンは外見からしてワイルドで松田さんとはタイプが違いますね。
もう、ターミネーターみたいですからね(笑)。変身せずにモンスターをバコバコやっつけますから、あれはすごいですね。あれだけ動く人見たこと無いです。僕の声をそのままあてると弱く聞こえちゃうので、一生懸命強く聞こえるようには努力してますけどね。力んでいたりとは違うんですけど、ダラダラと喋らないとかね。
Q 外国人の吹き替えの経験は今までにあるんですか?
実は過去に一回だけ、香港映画の吹き替えをやらせていただいたことがあるんですけど。それは今回のに比べたら本当に微々たるものです。
Q ほぼ初めての吹き替えと言うことで、気負ってしまう事はなかったですか?
やっぱりありますけど、でも将来的に海外ドラマの吹き替えってすごくやってみたい仕事なんですよ。その入り口が僕がすごく馴染みのある「仮面ライダー龍騎」だった事が、僕にとってすごく幸運な事だと思いますね。
声優さんの仕事って、俳優をやっているとすごく羨ましいんですよね。羨ましいと言うか憧れるんですよね。俳優って、例えば僕がどんなに特殊メイクをしたとしても、まあ松田悟志ですよね。でも、声優の人たちは姿をまるっきり変えれる訳ですから、それはもうすごいですよ。(役の幅が)それはもう無限大ですよね。ただ一長一短あって、声優さんって声だけだからある種モノマネでやられてしまう部分ってあるんですよね。かつて栗貫(栗田貫一)さんがルパン三世(山田康雄さん)のモノマネをやっていた時だって、お客さんはどっちかわからなかったわけですよ。それが結局本物になっちゃったわけでしょ。そういうのが出来るのも声優さんのひとつの特徴ですけど。色々な面で俳優と声優って隣り合っているんですけど、それでもやっぱり憧れる面っていうのはかなりありますね。
アフレコ中は周りの方、誰を見ていても勉強になるのですごく面白いですよ。僕自身レン役に一生懸命向き合っていますし、その中で周りの方のやってらっしゃるのを見れるって言うのは、すごく有り難いですね。
Q 収録スタイルは以前の「龍騎」の時と同じですか?
そうなんですね。だから普通の声優さんの現場というよりは、どちらかというと「仮面ライダー」の現場に声優さんが来たって感じです。みんなで一斉に録りますよ。あれが面白いんですよね。
Q キット役の鈴木達央さんとの共演はいかがですか?
本当に勉強になります。すごい魅力的な声の方やし、テクニックもすごいですから楽しいですね。
Q 原音に近いあの「KAMEN RIDER!」のかけ声は違和感ありませんでしたか?
最初だけでしたね。多分視聴者の方も最初だけだと思います、3話まで観たらもう違和感は無いですよ。まあ、最初照れくさかったのは確かです。
仮面ライダーウイングナイト。新撮部分にも注目。
Q ところで「龍騎」のアクションシーンが多用されていますが、当時の思い出が甦ることはありますか?
アフレコをしてて、って事はないですね。大概家でチェックしている段階でですけど、懐かしいですよね。
Q すぐに気付きますか?
絶対、気付きますよ。どこがオリジナルでどこが新撮かって一発でわかりますね。それでもやっぱりその映像を巧みに使っている技術はすごいなと思いますね。脚本の段階でうまい具合にオリジナルのアクションシーンを使うように、ストーリーを組んでいるわけですよ。仮面ライダーが出てくる順番が全然違うんですよ、もう点でバラバラの順番に出てくるんですけど、それやのにオリジナルのアクションシーンの映像が使えるように上手くストーリーが組まれてる、その辺はすごいエコだなと思いますね。なかなか出来る事じゃないですよね。
ああやって有り物を使っていただいて初めてわかるのは、「仮面ライダー」という作品に関して言えば、やはり日本とアメリカと技術の差は殆ど無いですね。それぐらい日本の「仮面ライダー」のアクションシーンの技術はやっぱりスゴイですよ。撮り方もそうですし、絵の割り方もそうなんですけど、やっぱり日本のレベルは高いなと思いましたね。
Q その映像を観て、当時の苦労が甦ることはないんですか?
いやいや、僕変身した後は帰ってましたから。
Q 見学もしなかったんですか?
絶対見ませんでした。それは僕ら邪魔になるだけでしたからね。
Q でもスーツアクターさんと役作りで話をすることはあったんでしょう?
今だから言える話ですけど実は殆ど無いんですよ。ナイトのスーツアクターは伊藤(慎)さんだったんですけど、僕は伊藤さんと普通には喋るんですけど、役に関しての話は殆どしなかったですね。相談を持ちかけられても基本的には断ってました。
Q それぞれの役作りを尊重していたと言うことですか?
そう。特にすがっち(須賀貴匡さん・城戸真司役)とスーツアクターの高岩(成二・龍騎役)さんが結構綿密に打ち合わせるタイプだったんですよ。でも僕らは打ち合わせはゼロでって事になって、って僕が勝手に決めたんですけど(笑)。お互いにプロなんだからお互いに役を作ろうよと、同じ台本を読んでいるんだから。仮にどんなにズレても、僕がアフレコで元に戻すからって言ってやっていました。それに関しては伊藤さんも最初はすごくやりにくかったみたいでした。そんな非協力的な俳優はあんまりいなかったんでしょうね(笑)。だから高岩さんからも一度言われたことがあります、伊藤さんと打ち合わせしてあげてよって。でも、同じ台本を読んでいるからそんなにかけ離れる事は絶対に無いって説明させてもらいました。僕一人で出来る範囲って限られてますから、僕が役作りをコントロールしたら僕の範囲に収まっちゃうじゃないですか。
Q 芝居の枠を広げるためだったんですね。
もちろんそうですよ、面倒臭いからじゃないですよ(笑)。伊藤さんの価値観で伊藤さんの感覚でやってくださったほうが、絶対に秋山蓮とナイトという役が広がるんです。で、その結果どうだったかというと、秋山蓮とナイトのあのリンク具合と言ったらそれはもう皆さんご覧の通りですよ。全く違和感が無かった、どこもかしこも。俺が入っていると思った人さえいたみたいですから。それくらい、秋山蓮と仮面ライダーナイトが完全にリンクしてたんですよ。
Q 今回のレンとウイングナイトでは演じ分けているところはありますか?
極力変えないようにしたいんですけど、でもウイングナイトの時って顔が見えないじゃないですか。そのメリットを活かしてと言うと変なんですけど、顔が見えないからこそ出せる声って言うのが実は結構あるんです。僕も鈴木君も、特に変身後は向こうの役者さんのやっていることを無視してますからね(笑)。変身後では原音が全く入ってないところでも声を入れたり、鈴木君はアドリブで喋ったりしてますからね。さすがに僕はそこまで出来ないけど、マスクを被っているから出来ることって結構あるんです。
Q 今回のアフレコでの楽しみは何ですか?
すごく新鮮なんですよね、海外ドラマのアフレコって言う面でも。僕の中では色々な楽しみがあって、まず「仮面ライダー龍騎」という作品が僕はずっと好きだったので、その作品のしかも自分が最も力を尽くしたレン(蓮)と言う役を僕にやって欲しいと声を掛けてくれたことがまず嬉しい。その作品を実際にやらせていただいているアフレコ日がすごく楽しみなんです。予習用の新しいDVDをもらって家で練習するのも楽しい。どこがどう違うのかって言うのも面白いし、そういう気持ちでやらせていただくことがまず楽しい。それとやっぱり、海外ドラマのアフレコをしてみたいというのがあったので、その現場にいられると言うのが嬉しいですね。皆さん海外ドラマのアフレコを普通にしている方々ばっかりなので、聞いていてもよく聞いたことのある声の人がいっぱいいるんですよ。その中でやらせていただけていることも楽しいし、そういう現場でいろんな事を勉強したいなと思います。
声優さんからしたら、俳優が声優業界に首を突っ込んで「そんなものやってみろよ」って感じだと思うんですよ。それくらい声優の世界ってレベルが高いからね。圧倒的に及ばない部分があるのは僕自身が一番知っているから、それは逆に面白い。今後、俳優やから出来る声優の仕事ももちろんあるだろうから、そういう時に自分らしさと言うのを出せるように、と言うのも含めていろんな意味で、今アフレコの時間は大事な時間です。
Q 最後に松田さん一押しの「KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT」のポイント、シーンを教えてください。
「仮面ライダー龍騎」を好きだった方々が観てくださった時に、面白いポイントって数々あると思うんですね。「こんな風に変わってる」とか、もちろん「これ、松田悟志が声をあててるんだ」って言う切り口でもいいですし。作品として生まれ変わってますから、そこはやっぱり普通に楽しんでいただきたいなと思います。それとやっぱり、アメリカ人の感覚で作った日本の特撮なんです。それが面白い。「仮面ライダー」という日本のひとつの文化、お家芸をアメリカ人がリメイクして、さて、どこまで面白いのかって言うのは、それは「仮面ライダー龍騎」を観てなかった人でも、眼に出来る方全員に観て欲しいなって思います。それは多分誰が見ても楽しめる部分だと思うし、やっぱり「さすが!」ってシーンもいっぱいありますから。例えばレン役の俳優さんがものすごく動けたりとかね。その段階でもう面白い。TVドラマで観れるアクションじゃないですよ、あれは是非皆さんに観て欲しいレベルですよね。
TEXT/すねやみえこ







