この40話のアフレコは何度もやり直しました、セリフが入りきらなくて。しかも、デギウスの声・小林清志さんが横にいて、とても緊張しましたね。「すいません」って謝ると「いいよいいよ」と言ってくださって。何度もやり直しました。 小林さんは、やっぱり“次元”でした。すごい優しいおじさん、ダンディなおじさんでした。ダンディと言っても気取っている紳士と言う感じではなくて、無精ひげを生やしてたりして、道ですれ違うような…どこにでもいるようなそんな感じでした。実は名前を聞いた時は全然誰だか分からなくて、声を聞いて初めて小林さんが“次元”だって分かったんです。元々アニメとかもそんなに見てたほうじゃないので、そういう方面は疎くて。ビズネラを演ってた塩川兼人さんもすごい人じゃないですか! 声を聞いたら一発で分かりました。最近では、ゲームでもその声を聞くことがあって「あ!」と思いますね。 小林さんが最初にセリフを言われたとき、何かすごい自然だと思いました。撮影の時は着ぐるみの中のJACさんが一生懸命喋ってくれる訳ですが、見ている分には結構辛そうなんですね。形は人みたいですけど、全般的に着ぐるみはやはり動きにくいですから。そんな悪条件の中でセリフを言ってくださるんです。その魔人がその後のアフレコで更に、人間臭くなった、というか。着ぐるみが、もちろん演技は魔人だと思って演っていますけれど、それが小林さんが声を入れた途端に、より人間臭くなるんです。うめき声やちょっとしたしゃべり方の癖みたいなのが出来て、それを聞いたときに圧倒されました。「押されちゃまずい。僕もがんばんなきゃ」って思いました。 ヒカルが足を怪我して、デギウスが負ぶって行くシーン、そこも「すごい、人間臭い!」って思いながら演りました。「これ、貼っときな」のセリフも「人間だ!」って感じがしました。 それまでは魔人のアフレコを演っている方は、毎回決まっているレギュラーの悪役の方以外は、毎回毎回色々な役者さんがいらっしゃるので、あまり意識したことは無かったんです。けれど、その時は映像に映っている着ぐるみが本当に魔人になったっというのをすごい感じました。身体が威圧されるような感じがありました。自分の印象としては、決まったところで決まったセリフを言うのが声優さん、と思っていたのでセリフの前後に、ため息じゃないですが「あぁ〜俺はなぁ」みたいになっていて、おじさん臭いというか老魔人の雰囲気がすごく出ていて驚きました。ため息も台本にある訳じゃなくて、ご自分で入れてしまう。そのことでデギウスに魂が入ったんだと感じました。「本当に魔人と戦っているんだな。デギウスって魔人はこういう声なんだ」と思いました。 撮影で印象的だったのは最後の夕日のシーン、折れた剣を突き立てるシーンですね。最初に撮影したときは雲っていたんですけど、OKが出て帰ろうとしたら夕日がパーと出てきたんです。監督の辻野さんが「もう一回すぐに撮るぞ!」と言って、急いで撮り直したら、すっごい綺麗なシーンが撮れました。あれは良かったですね。 |
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| 構成/すねやみえこ (C)TV ASAHI・TOEI |