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[石ノ森章太郎先生の初監督作品]
 この第84話は、映画好きで知られた石ノ森先生のたっての希望ということで、実現した初監督作品です。週刊少年マガジンでも数ページに亘ってカラーグラビア特集を組むなど、大きな話題となりました。低予算で作られるのが子供番組の常でしたが、この回は別格でヘリコプターを使っての撮影が行われたのもこれが初めてではなかったかと思います。
 斬新な映像が随所に散りばめられ、試写を観たとき、子供番組も遂にここまできたかと、感激でいっぱいでした。
 画面いっぱいに広がる大波、カメラを引いていくと海から上陸してくるイソギンジャガー(変身前だが)が見えてくる。海の改造人間であることを象徴するシーン。新鮮でした。撮影が行われたのは台風の去った翌朝。青空の下、海はまだ荒れていて、波がとても素晴らしかったので、たっぷり尺をとったとの話です。
 思い切ったロングショットの多用も新鮮。中でも圧巻だったのは、ロングショットでの対決シーンでしょうか。画面の両端にライダーとイソギンジャガーが身構えたまま一瞬動きを止め、動いているのは背景の大波ばかりという、あのシーンです。緊迫感に満ちた名シーンだと今でも瞼に焼き付いています。
 爆走するマシンに乗ったライダーを、地面すれすれのローアングルから至近距離で、捉えたシーンも迫力満点でした。通常では撮影不可能なシーンですが、これはバイクに並走する車に台車を引っぱってもらい、これに寝そべる形でカメラマンが撮影したとのこと。新しい「絵」を求めて、創意工夫を重ねる現場の努力は、まさに脱帽ものです。
 創意工夫といえば、時限爆弾が爆発する瞬間、上空を飛ぶヘリコプターにライダーが取りつくシーンですが、これはスタントマンとライダーの実物大人形を併用して撮影されているのですが、どこまでが本物で、どこまでが人形か皆さんお分かりになりますか? 今ならスクリーンプロセスで簡単に合成で済ませられるシーンですが……。
 この第84話はまた、長石多可男氏が監督補として参加しており、実際上の初監督作品であり、出世作でもあります。現在の名監督の片鱗がうかがえるのも、また本作の楽しみといえるかと思います。

↑ヘリコプターからの撮影カットが多用された。


↑海から現れたマキの父親はイソギンジャガーに変身する。


↑静止画のような対峙シーン。


↑ヘリコプターに掴まるライダー。
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