他の映像作品がそうであるように、東映作品もまた驚く程たくさんの人達の手によって作り上げられています。その作り手達を知れば、自ずとその作品も見えてくるのではないでしょうか? そう考えると話を聞いてみたい人はたくさんいると思います。そこで、不肖未熟の身ではありますが、僕が会員の皆さんに成り代わり、いろいろな方にお話を伺っていきます。今回はこの方にターゲットを合わせました。皆さんの聞きたいことが、少しでも聞き出せていると良いのですが・・・・。

第8回 増岡 弘
(『百獣戦隊ガオレンジャー』ナレーター)-後編-
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 東京・練馬にある東映東京撮影所内のアフレコスタジオで、その張りのある声を響かせている『百獣戦隊ガオレンジャー』のナレーター・増岡 弘さんは、実に温厚で自然を愛してやまない普通のおじさんだ。その心の根底には子供のころに親しんだ木や土や川と言った自然と、勤勉な父親の言葉が今も消えることなく満ちている。
 そして、人生経験ももちろんだが役者としての長年の経験をその優しい眼に蓄え、『ガオレンジャー』の共演者たち、ガオレンジャーの若いキャスト達・金子昇さん、堀江慶さん、柴木丈瑠さん、酒井一圭さん、竹内実生さんを見守ってくれている。
 増岡さんの眼には、彼らはどんな風に写っているのだろう?


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「幸いなことに何人かが『サザエさん』や『アンパンマン』を見て育って来たんで「あ、ジャムおじさんが来てくれた」とかね、親しみを持って言ってくださるので、とっても嬉しいですね」  そう、彼らの平均年齢が22歳、最年少の実生ちゃんに至ってはまだ16歳だ。まさに『アンパンマン』で育ってきたはず。子供の頃聞いた「ジャムおじさん」を目の前にした気持ちは一体どんなだっただろう? 増岡さんはアフレコでの彼らの印象を教えくれた。
「アフレコを見ていると、監督さんが大きな声で怒鳴ったりすることもあるんですね。自分が役者さんより上手いぐらいに演じて見せて。監督さんたちの中にある思いを若い俳優さん達に伝えるのは、なかなか大変なようですね。若い役者さんたちも最初のうちは苦労していたようです。でも、始めのうちと今では顔つきが全然違ってきました。もう今日は18話ですけれども、やっぱりゆとりが出てきましたよね。アフレコのコツも覚えてきたし、本物ですよね。前は怒鳴るだけでも、怒鳴るために後押しされて言っていましたけれども、今はちゃんと自分から声が出て、これはこういう意味なんだっていうこと、言わずもがなに伝わってくる様な気がします。顔つきも良くなってきましたしね。やがてスターになっていくんでしょうね」
 ベテラン増岡さんの前では、まだまだヒヨコの彼らだがその成長ぶりはめざましいようだ。しかも増岡さんには、頑張っている若い彼らの未来の姿まで見えるようだ。これはきっと願いでもあるんだろう、どんどん羽ばたいて行って欲しいという。

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 ‘演じる’ことについて増岡さんはこう語る。
「もうひとりの自分が自分をコントロールする、役者って車と同じで自分の運転の仕方だと思うんですね。自分でどうやって運転するか。最初はぎこちない運転でも徐々に慣れてきて、話をしながらでもちゃんと信号見て安全にゆとりを持って、後ろの車もどれくらいの経験の人、どんな性格の人が付いてくるかって、そういうのがバックミラーをちょっと見ただけで分かるようになって。彼らも全体の流れとかが分かって来たんでしょうね。すごく、良い雰囲気が出来ましたよ、とってもね」  とても分かりやすい例えに、思わず大きくうなずいてしまう。果たして彼らの運転はどの程度になったのだろう? 早く若葉マークを取ってベテランドライバーになって欲しいぞ。

 『ガオレンジャー』を見ているのは何も子供だけではない。それは声優界にも広がっている(らしい)。
「日曜日の朝7:30からはガオレンジャーで、夜6:30から『サザエさん』。なんか、日曜日が嬉しい日になって。この頃は小さいお子さんから皆さん『ガオレンジャー』を分かってくださって。仲間うちでも「『ガオレンジャー』やってるんだね」なんて言われてね、「え? あんた見てるの?」「見てるよ」って。「朝早いのになんで〜?」って思うくらい。
 でも僕が感心するのも変ですけれども、本当によくあれだけの怪人が出せるなぁと思ってね、しかも良く出来てるわけですよ。現代の道具を全部ひっくり返して、あの着想はすごいな。それを着想に終わらせず、形にする、形に心を入れるというか。一週間で何か作るって大変ですよね。いや〜! 気の遠くなるようなことを既にしてんでしょうけど」
 増岡さん、すっかり視聴者になっていますよ。『ガオレンジャー』にハマってますね。
「今度ほら、映画になるじゃないですか。日笠プロデューサーに聞くと「いや、まだわかりません」って(笑)。いやぁ、大変な事ですよね、テレビのほうも作りながら映画も作る。う〜ん、やっぱりすごいなぁと思いますね」
 感心しながらとっても楽しそうに話す増岡さん。やっぱり『ガオレンジャー』ファンになってますね。映画のほうも出演はもちろん楽しみなんでしょうが、何より観る事を楽しみにしているような…。

 そんな増岡さんの子供のころのヒーローと言ったら、『鞍馬天狗』とかかな?
「僕の子供の頃はヒーローは…戦争中でしたからね。そうですね、『黄金バット』でしょうね、紙芝居の。あれが僕らの一番のヒーローでしょう。『黄金バット』が僕らの中で一番印象深い…。その後はいきなりもう、力道山とかになりましたからね。そういう時代。『ゴジラ』も出てくる前ですから。何か面白い喜劇…『脱線トリオ』とかがテレビの中のヒーローでしたね」
 テレビがあるのが当たり前の戦後生まれにとっては、紙芝居はカルチャーショック! 話には聞くけれど、今一ピンとこない。『黄金バット』だって確かアニメで見たような……違ったかな? ソノシートがあったのを覚えているけど。

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