他の映像作品がそうであるように、東映作品もまた驚くほどたくさんの人達の手によって作り上げられています。その作り手達を知れば、自ずとその作品も見えてくるのではないでしょうか? そう考えると話を聞いてみたい人はたくさんいると思います。そこで、不肖未熟の身ではありますが、私が会員のみなさんに成り代わり、いろいろな方にお話を伺っていきます。今回はこの方にターゲットを合わせました。みなさんの聞きたいことが、少しでも聞き出せていると良いのですが・・・・。

第5回 白倉伸一郎
(『仮面ライダーアギト』小沢澄子役・尾室隆弘役)
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image  桜の花が駆け足で散ってしまったとはいえ、今はまだ4月上旬。なのに今日はかなり日差しが暖かい。デニムのジャケットを羽織っていては少し汗ばむくらいだ。確か5月上旬の陽気だと昨夜の天気予報が言っていた。
 それに引き替え、東映東京撮影所のスタジオ内はひんやりとしていた。薄暗いスタジオ内には大きなセットが組まれ、大きく開かれたハッチからはガードチェイサーのテールランプとマフラーが見えていた。マフラー近くのススがガードチェイサーの走りを実感させ、グッとくるものを感じた。ガードチェイサーのその奥にはG3ユニットのふたりと氷川 誠が多くのスタッフに囲まれた中、芝居に集中している。照明スタッフや音声スタッフ、美術スタッフが忙しそうにセット内を行き来している。カメラマンはもちろん、あのいのくままさお氏。大ベテランの彼は年輩にも関わらず、その動きは俊敏で一番張り切っているようにも見える。彼のカメラアングルはそのアイディアを留めるところを知らず、果てはGトレーラーのセットの上にまで登ってしまう。
 今回『仮面ライダーアギト』の撮影現場であるGトレーラーのセットにお邪魔することができた。G3装着員が氷川 誠から北條 透に変わるなどその対応に翻弄されているG3ユニット、小沢澄子役・藤田瞳子さんと尾室隆弘役・柴田明良さんを訪ねる。
 澄子の性格そのままだという噂の藤田瞳子さんは本当に噂通りの人なのか? Gトレーラーから今まで3回しか出たことのない尾室役の柴田明良さんは一体どんな人なんだろうか?


image 緊迫した撮影現場で、長石監督の声が響く「誠、そこもっとゆっくり!」。氷川 誠役の要 潤さんは目の前のいのくまカメラマンの指示も受けながら芝居を続ける。それを見守る瞳子さんと柴田さん。
「カット!」
長石監督の声で芝居が止まる。
「テープチェックします!」
助監督と思われる人がすぐさま叫ぶ。スタジオ内に張りつめた緊張がほんの少し和らぐ。
「OKです!」
モニター画面を確認していた監督とスタッフがそのカットの終わりを告げる。するとどうだろう、たちまち静から動へと場の雰囲気が変わる。各スタッフがあわただしく動き始める。いのくまカメラマンの指示でGトレーラーの上にカメラの足場用に大きな柱が組まれ始めた。スタジオ中に響き渡る金槌の音。
 そんな中、Gトレーラーの中の3人は楽しそうに談笑している。
「この間のオンエア、氷川くん本当にカッコ良かったね」
と、4月8日に放映された第11話の話を瞳子さんが始めた。
「マジっすか?」
と嬉しそうに要さんが目を細める。劇中とは違い要さんは本当に良く笑う。しかも顔をくしゃくしゃにして。
「本当、本当。”彼女がミスをするとは思えませんが”ってとこが!」
要さんの物まねも交えて瞳子さんが言った。
「そこかい?! アクションじゃないのか…」
自分でもシビレたという、G3を装着せずにGM-01を撃ったアクションシーンだと思っていた要さんは、その瞳子さんの反応には笑うしかないといったふうで残念そうに苦笑い。瞳子さんの辛口なのは澄子と同じで、これには要さんも太刀打ち出来ない。
「僕なんかたまにカッコつけるところがあったと思ったら、”何カッコつけてんのよ!”って殴られちゃうんだもんな、また影薄くなっちゃいますよ」
掛け合い漫才のような瞳子さんと要さんの奥から、柴田さんがぽつりとつぶやく。今日の撮影シーンの話だ。
 すっくと立った尾室隆弘が、事件解明の糸口を発見したらしくビデオテープの謎について長ゼリフを決めるシーン。気合いが入っている尾室だが、澄子に剣もホロロに”何カッコつけてんのよ! 言いたいことがあるならさっさと言いなさい!”とぴしゃりとやられてしまう。すると尾室はいつものあの弱々しい彼に戻りいじけたよう口ごもった。実に良いコンビだ。
 このふたり、役柄の設定では尾室は澄子のひとつ年下だが、実は尾室役の柴田さんのほうが5つも年上。なのにちっともその違和感を感じさせない。瞳子さんの落ち着いた辛口のせいかもしれないが、何より柴田さんのそのちょっと頼りなげな雰囲気が、年下らしさ、後輩らしさを醸し出している。制服を着た3人が並べば、どうみても尾室は最年少なのだ。
「影薄いってセリフにもあるし…あの小沢さんのセリフ、瞳子さん普通に言ってますよね。っていうか最近特にセリフ言いやすそうですよね」
とちょっと恨めしそうに柴田さんが言った。
「言いやすいよ。あれもセリフじゃなくて普通に言ってるからね”そういえば最近影が薄いせいか今やっといない事に気付いたけど、尾室くんは?”って。すーっと普通にね」
とあっさり認める瞳子さんは、これまた鋭い言葉の刃を更にとがらせる。澄子と瞳子さんは正に同一人物、ということか?
「まだね、警部補で下っ端だから目立たないんじゃない? 幹部クラスの会議とかだと、私とか北條くんとかは出るんだけど尾室くんはまだ呼ばれないしね」
「きっと、アンノウンの事件が解決したくらいに昇進するんでしょうね」
「あー、来年くらいにね」
「『アギト』が終わってからか、なるほど…」
って、納得しないでください、柴田さん! 瞳子さんは高らかに笑った。


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