「ウェンディーヌ役を射止めたのは、オーディションだったんですよね?」
と改めて尋ねると、
「ヒロインのオーディションで呼ばれて来て、でも最初から日笠さんに「福澄さん、悪役でいいですか?」って」
と、このオーダーに美緒さんは即座に快諾。悪役に抵抗は無かったのだろうか?
「大好きだったんですよ、悪役が。白雪姫だったら毒リンゴを持ったおばあさん、シンデレラだったら意地悪なお母さんとか、悪っぽい人にすごい憧れがあって。魅力的じゃないですか、悪って。綺麗とか完璧なものよりも、崩れたもののほうがすごい惹かれちゃう。いろんな角度から見れる気がして。本当に悪役に憧れていたから心から「やります!」くらいな勢いで(笑)」


 なるほど、子供の頃に“ドロンジョ”が好きだっただけあって、ウェンディーヌはまさにうってつけの役だったわけだ。憧れの悪役をゲットした美緒さん最初は意気揚々としていたようだが、実はそんな美緒さんの気持ちを萎えさせてたこともあった。
「本当に役が決まったときはすごい嬉しかったんですけど、撮影にはいる前にJAEの練習に行った途端にやめたくなって(笑)。絶対やめてやるって、竹田さんが大嫌いで(笑)。怖いですよ〜。「前転をしろ!」って言われて、1回回転したすぐあとにすぐ後ろで「もっと早く回れ!」って竹刀でバーン!とマットを叩くんです。回転し過ぎて気持ち悪くなっちゃうし」
 竹田アクション監督の洗礼を受けたわけだ。この方、かなりの強面で初対面の人には大抵怖がられるキャラクターの方。但し、前回の梓さんの回でも登場したように、実はとてもシャイで優しい方らしい。が、そこはまだ撮影も始まっていないような時期、そこまで見抜ける人はまずいないだろう。
「家で練習したんですよ。気持ち悪くなったりしてたら、みんなの足を引っ張ると思って。お布団を広げて」
 と、当時の苦労をふり返る。かなり大変だったようだ。しかも彼女の場合衣装とともにカツラを着けるため、劇中での前転があるとは到底思えなかったという。それでも、持ち前の負けず嫌いが作用して、彼女の堅い決意となって自宅での自主トレとなったようだ。
 そして、その衣装は露出度こそ少ないが体のラインがばっちり見えちゃうなど、セクシー120%というもの。やはり恥ずかしかったのだろうか?
「最初は抵抗がありましたね。衣装を作って行く段階から試着して、直してはまた作ってって感じで。プロデューサーに見せるのが、なんかちょっと恥ずかしくて(*^_^*)。胸元も開いているし、タイツでお尻とか体のラインがすべて見えているじゃないですか、「どうしよう〜」って思っていたんですけど、でもカツラを被っちゃったりすると、余裕で」
と、ウェンディーヌになりきるすべが、あのピンクの髪のカツラにあったようだ。
「逆に最初はスタッフのほうが目のやり場に困るってなっちゃてたから、私は全然平気でした♪」
とさらに余裕の発言。そのカツラももちろん実際に使用する美緒さんのニーズに合わせて、改良が加えられていった。
「最初は頭が痛くて…でもだんだん改良してもらって。髪の毛を流すところを作ってもらったり、ポニーテールの下に髪をお団子にして入れられるようになっているんですよ。あと、最初、耳が聞こえなかったんですよ。カツラを浮かして「もう一回お願いします」って(笑)。なので、聞こえるように穴を開けてもらったんです。耳のところ、よく見ると穴が開いてるんですよ。放映中に徐々に、進化しているんです」
 そして、進化は美緒さんにも顕著に現れた。 
「最終話くらいになると自然にスポッ!って、自分で被れるようになって」
とは、進化を遂げたカツラの脱着について。しかし、進化しきれなかったこともあった。
「下が脱げないんですよ。コルセットみたいになっているんで、全部ほどかないと脱げないんです。だからひとりじゃ着れないんです。トイレとかも行けないし、行くとなると本当に自分の出番の無いときに行かないと。じゃないとみなさんをお待たせちゃうことになるので」
なるほど、あのセクシーさの陰にはこんな苦労も…。もちろん、日頃から水分調整も怠らず、寒いロケでスタッフが差し入れてくれる暖かい豚汁でさえ、具だけで汁は控えめにしたという。
 さらにそれだけでなく、ロケともなると戦いのシーンや爆破のシーンも彼女を悩ませることとなった。
「もう、爆破は大嫌いでしたね。音と熱さがイヤでした。石とかが飛んで来ちゃいます。あと、1対1で斬ったりしているとき胸元が出ているんで、付けている弾着の火の粉が飛んできて「熱っ!」ってなったりとか。だから「やだ! やだやだやだやだ!」ってずーっと(笑)。戦いのシーンがあると爆破担当の方に「少なくして」ってお願いして。でも、やってみるとバーン! 「多いじゃん」って(笑)」
 とはいうものの、最終回では「爆発バックに記念写真取ろうよ」って言っていたという。
「最後になると恋しくなってf(^_^; 。結構あるんですよ、爆発バックの写真が。「あ、楽しんでたんだ」みたいな(笑)。嫌よ嫌よも好きのうち?」
かなり楽しんでいたようだ。


 それにしても、フラビージョを除く共演者が着ぐるみばかりとなると、お芝居も難しかったのでは?
「最初はもう、わからなかったですね、どうやったらいいんだろうって。表情も見えないし口も動いてないし、なんか大きいじゃないですか、動きとかもずっと考えてて、大丈夫なのかなって思っていたら、案ずるより産むが易しって感じで、やってみたらみんなプロだし、周りが支えてくれて、あたしがこんな深く考えること無かったんだなっていうくらいスムーズにできて(笑)。やはりそれはJAEさん、すごいですよね。あまり見えてないのに慣れているから、セリフも聞こえるように大きな声で言ってくれたりとか。お陰ですぐにジャカンジャの一員になれました♪」
と、心配していたことは難なくクリア。しかしほかにも心配事はあったようだ。それは意外にもハリケンジャーたち若手俳優との共演だった。

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構成/すねやみえこ
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