さて、悪役を薦められた梓ちゃんだが、
「子供たちに嫌われたらイヤだな、とは思ったんですけど、話を聞いたらコギャルっぽくて…「じゃあ、嫌われないのかな?」って思ってやってみようって」
かくしてマネージャーさんの戦略宜しく、宇宙コギャル“フラビージョ”の誕生となる。

 それにしても、コギャルからあの衣装は想像つかないだろう? 梓ちゃんはどんな印象を持ったのだろう?
「初めてデザイン画を見せてもらったとき「本当に作れるのかな?」って思っていた」
という。ところがどっこい、そこは天下のレインボー造型さん。きっちりデザイン画通りに作っちゃった。
「衣装合わせに行ったら全く同じだったので「すごいな〜!」ってびっくりして。もう、本当に初めて見たから驚き! 今はもう私服みたいなもんだけど(笑)。ジャケット羽織ったくらいで、普通に美緒ちゃんとお昼ご飯食べに行ったりとか。初めてオンエアされたときはママたちも「すごい!」って言ってたのが、今じゃ普通ですからね。当たり前のように」
と、その奇抜な衣装も今ではすっかり“私服”同然。頭の造り物も、

「前まではずっと着けてて頭痛いとか言ってたんだけど、最近では手慣れたもので、パッと着けてパッとはずして、すごい速い」
と1年の成果が現れている。逆に、
「これが無くなったら、今度は寂しいと思う」
とまたもや、クランクアップの恐怖を思い出したかな?
 それにしても、山本 梓ちゃんとフラビージョでは、まるで使用前使用後みたいに全然違って見える。ならば梓ちゃんの周りの人も、山本 梓ちゃんがフラビージョだと気付かないのでは?
「たぶん、全然気付いていなかったと思いますね。最初の頃、現場にこのままの恰好(私服)でウェンディーヌと行ったら「どこのお姉ちゃんが来たのかと思った」って言われて(笑)。フラビージョです!って言わないとわかってもらえない(笑)」
と、スタッフも気付かないことがあったという。さらにこんなエピソードも……
 梓ちゃんは2002年に三愛スイムスーツイメージガールを務めていたので、大手百貨店等でその水着姿のポスターが張り出されていた。
「ルミネでポスターが貼ってあったんですけど、瞬(塩谷瞬さん)と康ちゃん(山本康平さん)と裕二郎(白川裕二郎さん)と姜くん(姜暢雄さん)が初めのころに、4人で買い物してたらしくて、パッとポスター見て、瞬が「この子、かわいい! 誰だろう」って言ったらしいんですよ(笑)。そしたら康ちゃんが「山本 梓って書いてあるよ! フラビージョじゃん!」って。それで初めて瞬からメールが来て「誰だかわからなかったら、あずちゃんだった」って。気付けよ!って(笑)」
そしてアフレコでも
「たぶん初めの頃はみんな、あずと美緒ちゃんは誰だろう?って思っていたと思う」
ということだ。
そのアフレコだが、最初の1,2話のアフレコで渡辺勝也監督以下スタッフの腰が砕けたという証言が……。
「はははは(笑)」
と笑い飛ばす梓ちゃん。否定しないところを見ると真実?
「そう、諸田(敏監督)さんが大笑いして「お、オッケー」って(笑)」
なるほど。その演技は『ハリケン』のすべての監督を納得させてしまったようだ。当初はしっかりした女幹部の演技を要求しようと思っていた監督たちも、声を聞いた途端に現・フラビージョの路線に変更してしまったのだから。さらには塚田(英明)プロデューサーもその話し方をすごい気に入って、「まげらっぱ〜」と真似していたということだ。
 ということは当然役作りは自分で?
「そうなんですよ。セリフとかも「こういう言葉はもう使わないから、変えちゃっていいですか?」って言うと「任せます」って、結構自由にやらしてもらっているんで、楽しいですね」
なるほど、生きている英語ならぬ、生きているコギャル語でお芝居すれば、当然リアルになるわけだ。というか、梓ちゃんとフラビージョは外見はまったく違うが、中身は相当近いふたりのようだ。そうなると当然普通の生活でも、フラビージョが出ることがあるのでは? すると案の定、
「結構ありますよ。「今、フラビージョじゃん」って言われること本当にありますから。「え〜、なんでぇ〜」とか言うと「ほら、フラビージョ出たよ」って(笑)。本当に、キャストといるときはいつも言われる。おうちでも出ちゃうと、ママが遠くから見ている「フラビージョだ」って(笑)」
やはり! こうしてお話を伺っていても、しゃべり方のそこかしこにフラビージョが見え隠れしているのだ。


 そして、このママがとても天真爛漫な方だという。
「ママがいたから、あずがこういう風に育ったって感じだね」
聞けばまるで姉妹のように仲がいいという。
「康ちゃんとかみんなとも友達みたいなの。「康ちゃん、この前良かったよ」とか言うし(笑)。洋服もマルキュー(渋谷の109のことです、念のため)で一緒に買いますしね。ママは犬を連れて近所の公園とかに行くと、子供たちが「ハリケンレッド〜!」とかやってるじゃないですか、その子供に「私、フラビージョのママなんだよ」って言いに行ったりして。そしたらその子供よりお母さんたちが「本当ですか!」って、すごかったらしいですよ。「鼻高々だった」って(笑)。「今度、康ちゃんたち連れて来てよ。子供たちが公園にいるからさ、みせてあげようよ」って(笑)」
あずママはかなりお茶目なようだ。さらに驚いたことは行きつけの美容院が、あの松田悟志さん(仮面ライダーナイト役)、玉山鉄二さん(ガオシルバー役)と一緒だという。また、美容師さんもそれをとても自慢しているというのが、なんとも嬉しい。
 松田悟志さんのことを“マッツン”と呼ぶ梓ちゃんとライダーチームは、単にメイクルームが一緒になるということ以外に意外な接点があった。
「弓削(智久)くん(由良吾郎役)と高校のとき雑誌でずっと一緒だったから、弓削くんが高2、あずが高1くらいから知ってるんです。初めて決まったときに

あず「弓削っち、『ライダー』決まったでしょ?」
弓削「お前『ハリケン』だろ?」

って(笑)。「がんばろうね」って言っていたのが、今では「終わっちゃうの寂しいね」って」
“雑誌”というのはストリートファッション誌のこと。梓ちゃんは高校生の時からストリートファッション誌の専属モデルで、渋谷では有名なカリスマ高校生だったのだ。正真正銘の“コギャル”だったんだ!
「昔はコギャルだったんです、うふふ(笑)。本当にやっていたんですよ」
とにっこり笑って、目の前のふわふわの卵焼きを美味しそうにほおばった。
「いただきます!」
カリスマ高校生だった彼女、現在もお買い物はマルキューで。
「今では奈央と一緒に行くんですけどね。ロケ終わりとかに「奈央、マルキュー行こうか?」「行こう! 行こう!」ってそんな感じで」
そんな『ハリケン』の美女ふたりが連れ添って歩いていたら、目立ってしまうのでは?
「周りは『ハリケンジャー』を見ている世代じゃないから、全然大丈夫なんです」
と、あっさり否定。なるほど、しっかり現実を把握してる。



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構成/すねやみえこ
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