さて、ここで三輪さんの芸能界入りのきっかけを伺いました。
「高校生の時、アルバイトの代わりにエキストラをやっていたんです。そのときに運が良かったのか、きっかけをいただいてそれで徐々に」
ということは
「芸能界に興味があったんですか?」
と尋ねると、意外にも日給が良かったからだという。もちろん仕事の内容はそれなりに大変だったみたいだったようですが…


「こんなにほっとかれて、私はどうしたらいいんだろう?っていうのが多かったですね。CMとかの撮影だとエキストラは朝1番で集合して、役者さんがその1時間後に入って、それからさらに1時間後くらいにスタッフが動き出すんですね。3時間も私は何をしていればいいんだ?って思っていたんですよ。私が入ったときは「原則的に現場に行ったら座るな」って言われていたんですよ。だからずっと立って待ってて「何でこんなに疲れる仕事なんだろう」ってすごい嫌でしたね。でも、お金をもらっちゃうと「またやろう♪」って思っちゃったんですね(笑)。現金な子でしたf(^_^;。そのエキストラも数回やったくらいで、その後すぐに「再現VTR」のちょっとした役をもらったりして。今思い出すとおもしろいですね」
いわゆる下積み経験なわけで、当時はツライこともあったのでは? すると三輪さんは
「いつでもやめられる状態だった訳じゃないですか。だからやめたいとは思わなかったです。逆に「何でこんなにお金がもらえちゃうんだろう」って。そんなに大変な仕事では無いじゃないですか。なのに体を張って仕事する建設労働者の方と同じくらいの日給を頂ける訳ですよ、芸能界ってなんかすごいなって思いましたね」
 では、どんなきっかけで女優を目指すことになったのでしょうか。
「映画『D坂の殺人事件』に出てからですかね。実相寺監督の作品で真田真之さんとか結構有名な方が出ているんですけど、これで本当の役者さんというのを間近に見て、「すごいな! ああなりたいな」と思ったのが最初かもしれないですね。一番初めに演った映画で本当のプロフェッショナルなものを見れちゃった訳ですよ。カルチャーショックみたいなのが大きくて」

と、語る三輪さんの瞳は大きく見開いて輝いていました。この『D坂の殺人事件』は、1998年の実相寺昭雄監督作品で、三輪さんは明智小五郎の助手・小林少年に挑戦したんです。つまり男役! 頭も刈り上げて七:三にした彼女を見て、監督は「俺の若い頃に似ている」と言ったそうです。
 それではここで、恒例のお子さん時代のことを伺ってみよましょう。
「まずは、幼稚園の頃はどんなお子さんでしたか?」
と聞くと
「すっごい悪ガキだったらしくて(笑)。悪ガキというか“いたずらっ子”だったんですよ。男の子も女の子も引き連れて“探検ごっこ”とか、その辺に生えている木の実を全部取って行っちゃったりとか。油性のマジックでどこかの壁にいたずら書きをしてきちゃったりとか、そんなことばっかりしてたらしくて。幼稚園に入る前ですっごい覚えていることがあるんです。友達の家に遊びに行って、そのうちでなぜか私の目に付いたものがあって……“ヴェポラップ”だったんですよ。新品で、それを幼なじみの子と隠れて全部お腹に塗りまくって、カラにしたんですよ」
風邪を引いたとき「やさしいママの手とヴィックスヴェポラップ」ってCMしていた、あの薬。今も小さいお子さんのいる家庭では常備薬なのでは? それを一瓶カラにするとは……絶句。
「ものすごく怒られたらしいんですよ。怒られたことは忘れちゃっているんですけど、お腹に塗っていたというのは覚えているんですよ。そこの家のお母さんが部屋に入ってきて「何このにおい!?」って。それで母に伝わって「人の家のものでやっちゃだめ!」って言われたんです。とんでも無いことをするんですよね」
と、まるで人ごとのように楽しそうに話す三輪さん。あなたがしちゃったことですよ。しかし、ひとみ少女のいたずらはまだまだこんなもんじゃぁありませんでした。
「押入れに入って布団に絵の具を塗ってみたりとか。私の感性が何かひらめくんですね、きっと(笑)。柿のなっているおじさんの家があって、そこのおじさんはちゃんと赤くなると柿をくれるんですけど、その前に取りたくて(笑)。「こらー!」て怒られて本当に漫画みたいに(笑)。活発でしたね。「子分がいっぱいいたんだから」って母に言われました。“ちびっ子ギャング”って言われてたらしいですよ。母が近所を歩いていると呼び止められて「本当にひとみちゃんには困るのよね」って(笑)。せっかく育てた花とかをむしるらしいんですよ、手に持って歩くのが好きだったみたいで。でもちょっと歩くともうほかに興味が移って捨てちゃうんですけど。取っては捨て、取っては捨て。点々と、私のいる場所がわかるらしくて(笑)」
 目の前のおしとやかな女性が、そんな“ちびっ子ギャング”だったなんて、とても信じられない! しかし、そんなひとみ少女にも弱点がありました。
「犬だけが嫌いだったみたいです。吼えられるのが嫌いで。当時アパートに住んでいたんですけど、大家さんが犬を飼っていて。まだ子犬だったらしくて私がそばに行くと、すごいシッポを振って私を呼んだらしいんですね「遊びたい」って、それなのに私は吼えられたと思って、怖くて怖くて。いつもの王様ぶりが発揮されないのが犬の前だったみたいです(笑)」
 さすがのちびっ子ギャングも、子犬の「アソボー!」攻撃には勝てなかったようです。もしかして今も犬、お嫌いですか?


 かなり外での遊びが活発で、家の中でじっとしてテレビを観るなんて縁遠いことだったみたい。でも、なぜか日曜の朝は違っていました。
「日曜日の朝は観ていたみたいですけど、『宇宙刑事ギャバン』とかやってましたよね。そう! 今回ハリケンジャーでギャバンの役の方、大葉健二さんが出てらして、ちょっとだけお会いして「きゃっ♪」って思って(^o^)。でも私「ギャバン観てました」とは言ってないんです。言う機会に恵まれずにいて…失敗したなぁと思って。サイン欲しかった〜」
 現在、大場健二さんは四国は松山に在住なので、今回の撮影のためにわざわざ上京してくださった恰好のチャンスだったのです。でも、間近で生のあのキックを見られたので、それだけでも幸せそうな三輪さんでした。

 男の子兄弟がいる訳ではないのに、『ギャバン』を観て、さらにヒーローショーも大好きだったという三輪さん。
「当時私がすごく感動したのが、5階建てのビルの前とかでよくショーをやっていたんです。それは何のショーだったか覚えていなんですけど、その5階建てのビルから何とかレンジャーの人が飛び降りたのを見て、それまでは中に入っているのは別の人だろうと思っていたんですけど、飛び降りたのをみて、本当にこういうすごい人たちがいるんだと思ったんですよ。びっくりしましたね。今見ても結構怖い高さなんですよ。もしかしてそれが『ギャバン』だったら、覚えてないのが悔しいなぁって(笑)」
 そしてショーには欠かせない体験もしっかりされていました。
「小さい子って前で見ていると、ショッカーが出てきて連れ去られるじゃないですか。それで大泣きして。それまでヒーローはいると思ってますから、ショッカーとかの悪者もいると信じてたんで、それに連れ去られて恐怖になって。それ以来歩道橋の上から観るとかで、絶対に近寄らなかったらしんですよ。かなり強烈な印象だったようで。おもしろいですよね」
 さぞかし怖かったでしょう。でも、体験してみたかったなぁ、ショッカーに連れ去られるの……。


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構成/すねやみえこ
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