他の映像作品がそうであるように、東映作品もまた驚くほどたくさんの人達の手によって作り上げられています。その作り手達を知れば、自ずとその作品も見えてくるのではないでしょうか? そう考えると話を聞いてみたい人はたくさんいると思います。そこで、不肖未熟の身ではありますが、私が会員のみなさんに成り代わり、いろいろな方にお話を伺っていきます。今回はこの方にターゲットを合わせました。みなさんの聞きたいことが、少しでも聞き出せていると良いのですが・・・・。

第21回 栗原 瞳
(『仮面ライダー龍騎』島田奈々子役)
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 ラッキーなことに、強い雨と風を伴った台風は昨夜のうちに関東地方を通過してくれた。まだ梅雨だというのにまるで真夏日のような暑くなった昼下がり、銀座の東映本社にてその人と待ち合わせをした。彼女とはもちろん初対面。テレビでこちらから一方的に拝見するだけだ。が、そのテレビの彼女は非常に個性的で、強烈な印象をもつキャラクターを演じている。そんな人物が実在するのだろうか? 待ち合わせ時間よりも早めに到着していた彼女を見つけ、案の定、私は驚きを隠せなかった。全く違うのだ! そう、目の前の小柄で細身の彼女が、『仮面ライダー龍騎』のあの強力インパクト娘・島田奈々子とは、とても想像できない。
 島田奈々子は独特の雰囲気を醸しだし、時としてふてぶてしさすら感じさせる。その態度の大きさからか比較的大柄、と、までは行かなくともそこそこ身長もある人を想像していただけに、比較的小柄で髪を下ろし、かわいらしいピンクのカットソーを着て、にこっと笑う栗原瞳さん=島田奈々子、この方程式を理解するのはなかなか困難を極めた。
 そんなわけで、栗原瞳さんがどんな方なのか、島田奈々子との共通点はあるのか、その謎を解くべくお話を伺った。


 まだ二十歳の彼女だが、実年齢よりもさらに若く見える。そして、島田の設定年齢は23歳。大人の雰囲気の彼女には、近づくどころか、遠いような気さえする。そんな彼女はどのようにしてこの島田奈々子役を射止めたのか?
「普通に『仮面ライダー龍騎』のヒロインオーディションを受けて」
と、彼女は普通の二十歳の女の子が語る口調で、全く島田の雰囲気を感じさせることなく言った。普通にオーディションを受けたようだが、本人が言うほど、“普通”では無かったらしい。
「最初オーディションに行くにも、本当に初めてだったので「どうしよう〜」と思っていたんですけど。実際に行ってみたら「ほかの子たちに負けている場合じゃ、なくない?」って(笑)。それで「やってやろうじゃないの!」くらいの意気込みに(笑)」
と、実は度胸が据わっていることを露わにした。


「オーディションの最終組のとき、久遠(桃井令子役・久遠さやか)さんと一緒だったんですよ。久遠さんの声が印象的で。久遠さんに初顔合わせの時「覚えているよ。すごい変わってたよね」って言われて(笑)。「私、超普通だったんですよ」って(笑)」
やはり、久遠さんの証言もあるように、このとき既に彼女は“不思議少女”オーラを発揮し目立っていたようだ。さらに、マネージャーさんの証言によると、審査員である、白倉伸一郎プロデューサーや武部直美プロデューサーをその目力の強い瞳で睨んでいたらしい。その威力が絶大で、彼らに「奇妙なやつがいる」という印象をばっちり与えた。


 その噂を聞きつけた田崎竜太監督も「見てみたい」と、栗原さんを注目。「本当に睨んでるな、おぉ怖い(笑)。変なオーラが出ている」と言ったそうだ。本人には睨んでるつもりは微塵もなかったらしいが。
「審査員って、どういう視点で見ているんだろう? とか思っていたので(笑)」
と、彼女は笑いながら言った。
 そしてプロデューサー達に強烈な印象を残した彼女は最終審査まで残り、その個性を活かす役・島田奈々子が彼女のために用意されたのだ。
「7,8話くらいから登場する準レギュラーの役で考えてくださっている、っていうのをお聞きしていたんです。それがクランクインする1週間くらい前に、いきなり第1話から登場するレギュラーが決まりまして…」
それが、あの島田奈々子だった。初めは彼女のイメージを掴みあぐねていたという彼女だが、
「台本でも普通なセリフだったんでイメージは沸かなかったんです。設定も「主役の真司くんの同僚」ということしか、それ以外は何も明かされてなくて。衣装合わせの時に「島田はどうしようか?」と、監督たちとみんなでいろいろ考えていくうちに、メガネをかけて、髪型をおもしろくしたいとか、アイディアが出て、そして島田のあの容姿ができました。それに合わせて想像を膨らませて役作りをして、ああいうキャラクターができあがった、って感じですね」


と、監督達とともに作り上げていったキャラクターであることを話してくれた。しかも、台本のセリフだけでは浮かびにくかったところを、先にビジュアルから作りあげることでイメージがすぐに浮かんだとも言う。そしてそれは本人とは全く違う雰囲気を持ったキャラクターとなった。
「普通に町中を歩いていて気づかれたことは一度もないですね。ほかのキャストの方はローカル線に乗っていても「気付かれちゃった」とか、「新宿で人だかりになっちゃった」とか言う話を聞くんですけど、私に限っては普段の姿で気付かれたことは全くないですね」
と、目の前に置かれたケーキ、アンジュ・ブランをほおばりながら、彼女が言った。そしてその傍らにはマットな緑色をした液体、抹茶ミルクティがあった。意外と和風好みか?


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構成/すねやみえこ
(c)2002 ISHIMORI PRO・TV ASAHI・ASATSU-D.K.・TOEI

Toei