最近の撮影現場の事を伺おう。
「最近はいろんなことをやれるようになってきて。6話でアドリブを入れたんですけど、そのアドリブが一番初めだけ上手くいって、あとが全然出来なくて、苦痛になっちゃって。カメラマンさんに怒られちゃって「普通の演技が出来るようになってからにしろ!」って(笑)」
と、そのアドリブは残念ながら収録されなかった。
「そんなの多いですよ。奈央ちゃんにも「一番初め、上手かったよね。あと全部変だったよ」って言われて(苦笑)。スクリプターの方がすごい良く見てくれているんですけど。いつも言われるのが「吼太はいつもテストのほうがいいわ」って。だから俺、考えるとダメなんですね。だから演ってみて「良い」って言われると、「俺、今こう演ったな」って考えちゃうから自然じゃなくなるなぁって。テストの時に撮ってもらうのがいいんじゃないか?って思いながら(笑)。いつもね、言われちゃうんですよ。「吼太ね、テストのほうがいいから納得いかないのよね」って」
 分かっているのに出来ない、そんなもどかしさを感じる山本さんだった。テストを撮ってもらいたいと良いながらも、もちろんテストの重要性も分かっている。
「テストってやっぱり大事じゃないですか、カメラ位置とかね。で、本番で違うことをすると怒られちゃうから。瞬くんが「テスト通りしろ」って怒られるのを見てるんで(笑)。テストと本番を同じように演らなきゃいけないと思うからこそ、難しかったり……だからあまり考えない」
確かに相手の役者さんもいることだから、急に本番で変えては相手のお芝居も変わらざるを得なくなってしまう。だからカメラマンさんも怒るのだろう。
「そうそう、だからすごい勉強になってます。デビューが『戦隊』で良かったと思ってます。こんなに言ってもらえて。他の現場でどれくらい言ってもらえるのか分からないですけど。他のドラマとかだったら、いきなり主演とかなるわけないじゃないですか。レギュラーだからこそ言ってくれる、子供のヒーローだからこそ言ってくれると言うのもあるし、勉強になるんで楽しいです。また、周りも同じ年代って言うか、年代は違うけどこれから頑張っていこうと言うメンバーだから、余計に頑張りやすい。竹田アクション監督とちょっと話したときに、「仲良くしてもライバル意識はちゃんと持っていたほうがいい」って言われて。「アイツが出来るのに…」って言うのがあったほうがいいんだと思います。そう言うのも言ってもらえたり。自分でも思っていたんですよ。思ってたんだけど、言ってもらえると「ああ、やっぱり」って。だからね、すごいライバル意識は各自あると思います。たぶん、瞬くんは俺に対してあると思うし、俺も瞬くんに対してあると思うし。ゴウライジャーはゴウライジャーであるみたいなんで。
 でも、普段はすごい仲が良い。だから、上手いこと回っているなぁって思ってます。だからこそ、楽しい。これがね、変な風にライバル意識持って、いがみ合っていたら全然面白くないし。そうなったら辛いだけですよね」
 本当にキャストのみんなが仲良しであることがよく分かる。とても画面のあのいがみ合ったシーンからは想像できない。しかも
「逆にみんなと会わないと寂しいですからね。休みになるとすることがなくなるから、「現場見に行っちゃおうかな」って(笑)。この前も朝6時半撮影所集合で、俺は朝9時くらいに撮影が終わったんですよ、第13話のケーキ屋さんの時で。事務所の先輩の小林すすむさんがケーキ屋の主人役で来てるから、小林さんの演技を見ていこうと思って見てたら、結局、夜の6時までいました。その時は同じ事務所で同じ頃に入った小川綾子ちゃんが女子高校生の役で来てて、その子と話をしつつ、結局残ってて(笑)」
そんなに撮影現場が好きなのだろうか? 居心地がいいのだろうか?
「居心地がいいと言うか、「見といてくれ」って頼むんですね、助監督の塩川さんとかが。そんなに頼まなくても、俺見ます。竹内(康博・ハリケンイエロー役)さんとか演っているのはやっぱり見ないと。声入れするのは俺ですから。竹内さんと話したときも「俺はこう言う気持ちで演技したんだけど」って言う、俺の演技との温度差みたいなのがあったらしくて、そう言う話をしたんです。俺たちがアフレコ録っているときに、竹さんたちは撮ったりするんで、結構見れないときが多いんですよね。だからなるべく見れるときは見るように、みんな、そうしてます」
 山本さんも他の出演者同様、やはりスーツアクターの方々とのコミュニケーションは欠かせない。ふたりでひとりを演じる“変身ヒーロー番組”ならでは、だ。さらに
「視聴率も『ガオレンジャー』と比べられたりとかじゃなくて、自分で比べてるんですよ。だって、嫌じゃないですか負けるの。せっかくやっているんですから」
と負けず嫌いな部分も覗かせた。その意気込みが番組作りに活かされていくのだろう。もちろん視聴者、特にチビッコあっての『ハリケンジャー』、ファンサービスも欠かせない。
「現場で子供たちが来ると、スタッフさんも「ほら、行って来い」って言うんですよ。忙しいときとそうでないときとあるから、いつもと言うわけにはいきませんけど。忙しくないんだったら、ファンサービスはしたほうがいいって言ってくれるわけです。俺は元々行きたい訳ですから、そう言ってくれると行きやすいですよね」
かなりの子供好きらしい。
「子供は大好きですね。小学4、5年生になるといろいろ言ってきますけどねぇ…小さい子はかわいくて仕方ないです。「ハリケンイエロー弱いんだろう?」って言われながらも「弱くないんだよ〜。実は強いんだぞ」って(^_^)。楽しいですよ。幼稚園生くらいだとまだ引いちゃうんですよ、おかあさんの後ろに隠れちゃったりしてね。でも、「おいで」って言って手を伸ばすと来る子もいますしね。抱っこしてかわいいですよ。本当に子供好きなんで、戦隊は合ってましたね」
と目を細める。
 どうしてそんなに子供が好きなのだろうか? 末っ子の彼はこう言う。
「兄貴しかいないから、弟や妹が欲しかったって言うのがあると思いつつ…俺、「先生になればいいのに」ってよく言われましたモン。でもね、難しかったんでやめたんです。ちゃんと考えたんですよ、高校の時にね」
一時は学校の先生も考えたくらいとは、本当に子供が好きなんだ。現在は大学でも教職課程は取っていないと言う。しっかり役者に専念しているわけだ。
「本当は高校を出たらすぐに役者をやりたかったんです。そのことで親とちょっと喧嘩して。親父は自分が大学行きたかったのに行けなかったから、子供には行かせたいらしくて。でもまあ、無事に大学も卒業して…」
そこは親孝行と言うことで大学を卒業して安心させてあげて欲しい。それに大学に行ったから今のたくさんの友達もいるわけだし。真面目に授業に出て単位ばっちりの友達や、逆に単位すれすれの友達など、かなり幅広いいろんなジャンルの友達に恵まれているそうだ。それは自分でも「誰とでも友達になれちゃいます」と言う、その人なつこい性格のお陰だろう。


 では具体的にはいつ頃から“役者”と言うものが頭に浮かんだのだろうか?
「小学生の頃はお笑い系になりたい、ってそれはアバウトに思ってました。中学校に行くと、同級生のヤツが全然面白かった。それで「これは、俺は無理だな。こいつらこんなに面白いのに俺がなれる分けないな」って。すごい面白い学校だったんです。笑いに相当厳しかったですからね。つまらないことを言うと、叩かれましたから(笑)。すごかったです。口が悪いんですよ。みんながみんなですからね、ある意味怖かったです(笑)。高校に入った時に「なんで、そんなに笑いにこだわるの?」って言われたくらい。俺の仲良い連中がそうだっただけだと思うんですけど。それでもう、お笑いは無理だなって。でも役者はやりたいなって思ってました。いろんな事をやっていみたい。自由に出来るじゃないですか、演じることで。こう言う人になりたいな、とか」
“他の誰かになれる”それは、演じることの原点なのだろうか。



前へ 次へ
line
構成/すねやみえこ
(c)2002 TV ASAHI・TOEI AG・TOEI