そしてここで、松田さんの『龍騎』以前のことを伺った。 「俳優を目指して…俳優になって東京にきました。デビュー作の頃は、京都の芸術短期大学でファッションの勉強をしてました。その当時に『天然少女萬NEXT』('99/WOWOW)というのに出させて頂きまして、それがデビュー作ですね。その後の『多重人格探偵サイコ』(’00/WOWOW)に出させてもらって。その頃はまだ関西にいましたから、週2回くらい東京に通ってました。短大の卒業がギリギリでしたから(笑)。卒業式の次の日に東京に来ました。早く来ようと思っていたので」 思い立ったらじっとしてはいられない、と言ったタイプだろうか。そもそも俳優になろうと思ったのはどうしてかと、尋ねるとこれがまた複雑、というか偶然が重なったというか…。
「きっかけ自体は“ジュノン・スーパー・ボーイ・コンテスト”に出た事なんですけど」 とは言うが、自分で応募したわけではなく、むしろその存在すら知らなかったと言う。じゃあ、誰が応募したかというと、それは彼のお姉さん。誰にでもある、いわゆる遊び心で応募したと言うのだ。そこへ至るまでも面白いいきさつがある。 「当時バンドをやってまして、バンド練習するスタジオ代がないんで、そのスタジオ代を頂くのに小銭を稼ごうっていうので…。友人でモデルをやっている子がいて、1本の仕事で3〜4万円もらえるって聞いて、それはもうやるしかない!って思いまして(笑)。月に1本仕事があれば安泰ですからね。母親の知り合いのカメラマンに写真を撮ってもらって、母親に出しておいてくれと頼んで京都の下宿先に帰ったんですよ。それで2ヶ月くらいして話がどうなったのかなと思って、実家に電話をいれたら「明後日、空いてるか?」っていわれて。それが“ジュノン〜”の予選だったですね」 彼としては、スタジオ代を稼ぐためのモデルになる用の写真だったが、何故か“ジュノン〜”に応募されてたと、なんとも不思議な展開になっていた。“ジュノン〜”が何のことかもわからないまま、 「「面白そやから行って来るわ」っていう程度で。当日、雨だったんですね「雨だから辞めトコか」くらいなモンだったんですね(笑)」 と、会場が近かったから行った、くらいのノリだったそうだ。 「その本選会が東京・原宿のクエストホールでありまして、それぞれパフォーマンスを披露するんですけど、その時は歌を歌いました」 東京に乗り込んできたわけだ。バンドでボーカルをしていた彼にとって、歌を披露することは造作もないことだっただろう。そして、彼の人生はここで大きな曲がり角を曲がったようだ。 そして、その責任を感じてしまったのは、やはりお姉さん。 「姉はやっぱりね、僕が大学を卒業したら東京に行きますって言ったら「ほんまに良いの? 私が遊びでやったことで、あんたの人生が180度変わってしまう」って。ふたりで真剣な話をしましたね」 こうして東京に出てきた彼だが、やはり最初からたくさんの仕事があったわけではなく、昨年2001年頃から徐々に仕事が増えてきたと言う。心配していたお姉さんもこの『龍騎』での役者ぶりを見て、TVの前でホッとしていることだろう。お姉さん、あなたのお陰で新たなライダー、仮面ライダーナイトが誕生しました。ありがとうございます!
「これだ!」と思うと突き進む。そんな感じを受ける松田さんだが、子供の頃はどんな番組を観て育ったのだろう? 「『宇宙刑事シャリバン』とか、あのあたりを観てましたね。小学校に入ったら「タイムボカンシリーズ」を観てました。『ヤッターマン』とか、遅刻直前まで観てましたね」 「遅刻寸前? と言うことは、朝の再放送ですね?」 そうそう、本放送は1977年1月からだから、彼はまだ生まれてない…。 「そうなんですかね? タツノコプロ系を、中でも癒し系ですね。先取りです(笑)」 もちろん男の子の遊びもちゃんとやっている。 「ガンガン、やりましたよ。運動も。基本的に何でも。釣りが大好きなんで、今でもひとりで茨城まで釣りに行きます。霞ヶ浦や土浦周辺です。それはもう、気合いが入った趣味ですね。ブラックバスです。穴場を探してぶらりと行くと、パラダイスがあるんですよ。1日で40cm〜45cmくらいの間のヤツが、12匹釣れたことありましたよ。もうパニックでした。一緒に行こうと言ってた友達が行けなくて「釣れたら報告して」って言われてたんで、釣るたびに写メールでちゃんと送ってたら、4匹目くらいから「もう辛いから、やめてくれ」って(笑)」 これは本当に筋金入りの趣味のようで、ルアーを自分で作ったりもしたそうだ。最近は忙しいので、なかなか釣りに出掛ける事が出来ない彼は、 「家では“釣りゲー(ゲームですね)”が繋ぎっぱなしですから。釣りコン2と一緒に。今度の釣りコンは巻くときにちゃんと重いんですよね。このコントローラーを傾けると、画面の中の竿も傾くんですよ。だから、合わせがこれで出来ちゃうんですよ」 と、何とも嬉しそうに話す。もうそこには、蓮のイメージは微塵もない。松田さんの素そのものだ。 手応えまで再現されるゲームに驚き、私も思わず声を大きくして 「それはたまらないじゃないですか!」 「そうですよ。もう釣りと変わらないですよ。この寒い中頑張って行かなくても、まあ疑似体験は出来るかなって」 “釣りゲー”は彼を癒してくれているようだ。 「フリーな時間が極端に少なくなっちゃったんで、結構とまどっているところなんですね。自分のHPでコラムを書き始めたんですけど、空き時間にはそれを書いたり、『仮面ライダー龍騎』の日記を付けたりとか。昨日とかは、ファンレターの返事を書いたりとかしましたよ。僕ね、お手紙で頂いたファンレターに関しては、僕の手元にきたものはほとんど全て返事を出してます」 と、意外(失礼!)なほど、まめな部分も覗かせた。この辺は、ぶっきらぼうな蓮とは全く違う部分であるのだろう。 松田さん自身、蓮と自分の関係をどう捉えているのだろうか?

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