| 他の映像作品がそうであるように、東映作品もまた驚くほどたくさんの人達の手によって作り上げられています。その作り手達を知れば、自ずとその作品も見えてくるのではないでしょうか? そう考えると話を聞いてみたい人はたくさんいると思います。そこで、不肖未熟の身ではありますが、私が会員のみなさんに成り代わり、いろいろな方にお話を伺っていきます。今回はこの方にターゲットを合わせました。みなさんの聞きたいことが、少しでも聞き出せていると良いのですが・・・・。 (『仮面ライダー龍騎』秋山 蓮役) |
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日が落ちる前にと、先に東映本社屋上にて写真撮影をさせてもらった。が、この日はまだまだ真冬の最中、日が傾きかけた夕方は当然寒かった。割と薄手の上着の彼だったが「全然平気です」と、その寒さも物ともせず、カメラに向かいポーズを決めてくれた。「何でも聞いてください」 部屋に戻り、ソファに腰掛けた彼は開口一番こう言った。 黒の上着に革パンツ、黒ずくめのそのニヒルな外見とは違い気さくに声をかけてくれるその人は、テレビではなかなか見せない笑顔を見せてくれた。そしてその言葉の微妙なアクセントに、彼の出身が関東ではないことがすぐに分かった。 今回も前回に引き続き、『仮面ライダー龍騎』からキャストの方にお越し頂いた。そう、秋山 蓮役の松田悟志さんだ。実は前回の須賀さんと同じ日に取材をさせていただいた。今は隣の部屋で、須賀さんが別の取材を受けている。なんとも妙な雰囲気だ。撮影の合間の時間を上手に使う。これも『龍騎』人気の現れと言えよう。 まずは、オーディションの模様について伺った。すると、彼はしっかりとした、そしてちょっと暗めの口調で語り始めた。 「オーディションが終わって…僕は出来が悪かった。マネージャーとすぐそこの喫茶店で、悔し泣きしたんですよ」 衝撃の事実! まさか! とても想像がつかない。そして彼は、恥ずかしがることもなく先を続けた。 「初めてですよ。東京に来て俳優をやり始めて、初めて…。僕は「絶対に受かる」って言ってたんで、その出来の悪さに悔しくって…僕、泣いちゃったんです。自己紹介のときは多少緊張気味で、その後もなんかしっくりこなかったんですよ。やりきったって感じがしなくて。自分はここに照準を合わせて、これだけやってきたのに「なんでこんなに、出来へんかったんや」っていうのがあって。すごいショックで…」 それは自分が出せなかったということなのだろうか? 「いや、逆に自分が出てたんだと思います。僕は「こうしていこう」って、むしろ作り込みをしていたのにそれが失敗したから、自分は出てたんだと思うんです」 それ程までに悔しかったということは、それだけこのオーディションに掛けていた、と言うこと。そして、この『仮面ライダー龍騎』のオーディションは、彼にとって俳優人生の転換期でもあった言う。 「俳優という仕事をやり始めてからこの約2年間、いろいろなオーディションを数知れず受けたんですけど。始めのほうのオーディションは、ポコポコ落ちるわけですよね。落ちると人間、不思議なものでどうなってくるかというと、落ちたときにショックを受けないように、頑張らなくなっちゃうんですよね。全身全霊でかかると、落ちたときのショックが怖いんですよ。「これだけやったのに落ちた」っていうのも怖いし。でも、それが脱げないから、ダメやったわけなんですよね。『龍騎』のオーディションも次がいよいよ最終選となったときに、「絶対に取るから」ってマネージャーに言ってたんです。そのために出来ることは全部するし、こんだけやって落ちたら…。僕、ええ格好しいなんもんで、頑張ったのにあかんかったって嫌なんですね。僕の嫌いなパターンなんですよ」 確かに頑張ったのに結果が伴わないと、人間誰しもやる気がなくなってしまうものだ。 「その嫌なパターンになったと思ったんですか?」 オーディション直後の手応えを、再度尋ねた。 「そうなんですよね。「うわー! やってしまった!」と思って。だから、忘れもしない。オーディション会場から出てきて、マネージャーが待っててくださってて「どうだった?」って聞いてくれたのに、僕、無言でそのままエレベーター乗って。そのまま歩いて丸ノ内の駅まで行ったんですよ(笑)。でも、このままでは帰れないと思って、マネージャーに「10分でも15分でもいいので時間ください」って言って、喫茶店に行って。僕としてはね、何が言いたかったかというと、その日の出来は悪かったけどそれでもこんだけ頑張ったという事実、それを出せなかったのは僕のせいやけど、頑張ったんです、ということを言いたかった。だから、「俺は仮面ライダーよりも大きい仕事を絶対取る!」って言ってたんです(笑)」 まだ、結果もわからないのに、自分で落ちたと思い込んで、しかもさらに次の仕事にまで方向を向けて、覚悟を決めていたとは…。一体何がそんなに納得できなかったのだろうか? 「100%全力を出せる位置を目指していた訳ですよね。毎日オーディションのことばっかり考えて、いろんなイメージトレーニングもして、それで絶対に仕事を取ろうと。選んでもらうと言うよりも、仕事を取ろうと思ったので。だからその目標値に対して、オーディションでの出来は僕の中では低かった…」 なかなか自分に厳しい人だ。それとも本当に出来が悪かったのだろうか? こうしてナイト・蓮役を獲得しているわけだから、そんなに出来が悪かったとは思えない。だが、少なくともこの熱い想いは伝わったことだろう。 「僕、オーディションの時に武部(直美プロデューサー)さんに言ったことがあるんですよ。「ひらがなばっかりのファンレターをもらってみたい」って。それはそうとう訴えたと思うんですよね。そしたら、白倉(伸一郎プロデューサー)さんが「おっっほっほっほっほ」って笑って。すっごい、姿勢が良かったです(笑)」 観察力も鋭いらしい。 ![]() |
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