| 他の映像作品がそうであるように、東映作品もまた驚くほどたくさんの人達の手によって作り上げられています。その作り手達を知れば、自ずとその作品も見えてくるのではないでしょうか? そう考えると話を聞いてみたい人はたくさんいると思います。そこで、不肖未熟の身ではありますが、私が会員のみなさんに成り代わり、いろいろな方にお話を伺っていきます。今回はこの方にターゲットを合わせました。みなさんの聞きたいことが、少しでも聞き出せていると良いのですが・・・・。 (『仮面ライダーアギト』木野 薫役)-後編- |
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まずは、『仮面ライダー』の存在について。まあ、菊池さんの年齢からすると、知っていて当然かも知れないが、趣味趣向によっては、全く興味無かった、なんて人もいるわけだから、そこのところを聞いてみた。 「知ってますよ。1号の時オンタイムですからね。中学生くらいでしたけど、僕、見てましたね」 お! 良かった。だてに“最年長ライダー”を演じてない。 「好きでしたね。小さい頃からSFが好きでしたから、良く見てました。特に『仮面ライダー』って『ウルトラマン』と違って、暗かったじゃないですか、あれが好きでしたね。ちょっと暗めの暗い感じが…」 しかも、ちゃんと趣向に合ってしまっていたようだ。りっぱな大人が『仮面ライダー』が好きでした、なんて公言してくれるのは、勇気づけられるようで嬉しいなぁ。 「コウモリ男とか出てきちゃって。画面が真っ暗でしたしね。連載は(週刊)少年マガジンでしたっけ? 本郷が「どうしたんだ、俺の身体はどうしたんだ!」みたいなくだりがあって、それが妙に暗くて、「良いなぁ、これぇ」。変わった子供でしたからね。変な子でしたから。暗いですよ」 別に『仮面ライダー』が好きだと暗い、というのではなく、単に自分が暗い子供だったと言う菊池さん。今の明るさからは、とても想像できない。 「ひとりでマンガ読んだり、テレビ見たり。閉じこもった子だったんですか?」 という私の質問に隠そうともせずに、 「そうそうそう、オタクでしたから。今も軽いオタクですけど。今のオタクの人みたいにマンガにどっぷりとか、そういうのはなかったですけど。大体、いつも家にいるのが好きでしたね。家で本を読んでいたりするのが」 ほぅ、身体も大きくがっしりした感じの菊池さんだけに、子供の頃も結構大きいほうだったと思える。そんながっしりした子供が家で読書とは、う〜む、結びつきにくい。一体どんな本を読んでいたのか聞いてみた。 「宗教書、思想の本とか読んでましたね」 「はぁ?」 思わず、リアクションに困って愛想笑いと共に、こんな声が出てしまった。 「いや、みんな笑うんだけど(笑)。親、心配してましたよ。子供のころからそんな本ばっかり読んでましたから、「この子、坊主にでもなるんだろうか」って。はははは!」 いや、そんな。親御さんにとっては笑い事じゃないでしょう? おかしいな? さっきSFが好きって言ってたと思ったが…一体どうして? 「なんでかわかんないけど、大好きだったんですよ。座禅組みに行っちゃったりね。変な子だったんですよね」 悟りを開こうとしていたのだろうか? 聞けば中学高校生くらいの頃に、熱中していたらしい。その年頃なら普通は、禅とは正反対のところにあるものに興味津々、な年頃ではないだろうか? もしかして、学校で孤独だったとか、いじめられていたとか? 「いえ。「社交的じゃない」ということはなかったですよ。俗に言われる暴走族になってツッパッてとか、そう言うのはなかったですね、僕の場合は。正確に言うと「暗い」というのではなく、「趣味が変わってた」…ってことですね」 確かに、変わった趣味だ。しかも、都内に住んでいた菊池さんは、禅を組むためにわざわざ寺へ出掛けていたというから、まあ、御自身がおっしゃるとおり“変な子”だったと思う。それでも、友達はたくさんいたと言う。そこがまた、不思議な所だ。 「友達はたくさんいるんですけど、みんなで連(つる)むのはあんまり好きじゃないんですよ。だから、あんまり連まない(笑)」 微妙〜な感じがする。連まない友達、それって自分が友達だと思っていただけで、向こうは友達としての認識はなかったりして? さらに、学校内でのポジションも教えてくれた。 「身体が大きかったんで、みんな一目置くわけですよ。中学高校生のころって。だから、いじめられるとかはなく。「あいつはちょっと、置いておいたほうがいい」みたいな存在で(笑)」 笑い飛ばしているが、かなり特別な存在だったことがうかがえる。更にそれを強調する出来事を教えてくれた。 「学校内でもツッパッてるヤツとか、いるじゃないですか。体育でバスケットの授業をしたときに、僕がバーンと投げたら、一番ツッパッてるヤツに当たっちゃったんですよ。みんなが、怖がって引いてると、そのツッパリが「投げたヤツはどいつだ!」って怒鳴って。イヤなヤツに当たっちゃったな〜と思いながら「俺だよ」と言ったら、凄んでたそのツッパリが「君か、君なら良いんだよ」って。そんな感じでしたね(笑)」 ツッパリじゃないけど、ある意味ツッパリよりも強かったようだ。返って怖い存在だったりして…。ということは、邪魔者はいないわけだから、何でもやり放題だったのでは? 「いやいや」 と、菊池さんは首を横に振る。 「なんて言うんですかね。パワーゲームを好むほうではなかったので。誰かを従わせて「パン買ってこい」とか、そういうのはむしろ嫌いだったので…」 なるほど、禅を組みに行ってしまうくらいだから、そういうことには興味がなかったのかも。いやぁ〜、菊池さんがツッパリにならなくて、本当に良かった。それでも、ツッパリが一目置く存在だから、クラスでも周りを寄せ付けず、ひとりでたたずんでいたりして? 「いや、それは木野っちのイメージでしょ? そういうのはない!です。普通にしゃべってました(笑)」 これは、失礼。孤独にたたずんでいてくれると、非常に想像しやすくて…。でも、だからといって友達と、連むわけではなく、禅だってひとりで組みに行ってしまう。マイペース? 自己中心型? 「変な人でしょ?」 と、菊池さんはにこにこ笑いながら言う。更に 「親は心配してましたからね。今みたいに「オウム」みたいのがあったら、引っかかってたでしょうね。もしかしたら、ヤバかったかも知れないですね」 と、自己分析。信じてしまうとのめり込んでしまうのだろうか? 聞けば、のめり込みやすいかも知れないが、信じ込みやすくは無いという。
「小馬鹿にしてるタイプなので、世の中のことを。年端もいかぬ小僧が、禅の本を読んで世の中、分かった気になっていた口ですからね(笑)」なるほど、気持ちは既に悟りの境地。そんな高校生、ちょっとヤバイかも。しかし、大人になった菊池さんは、当時の自分をこう振り返る。 「経験が追いついていないから、バカヤローみたいな感じでしたね(笑)。悟ったつもりの、仙人みたいな小僧でしたからね。いけ好かない事この上ないタイプでしょ?」 その仙人気取りの小僧は、高校卒業後、何を思ったのか単身ニューヨークへ留学することとなる。 |
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| 構成/すねやみえこ (c)2001 ISHIMORI PRO・TV ASAHI・ASATSU D.K.・TOEI |