| 他の映像作品がそうであるように、東映作品もまた驚くほどたくさんの人達の手によって作り上げられています。その作り手達を知れば、自ずとその作品も見えてくるのではないでしょうか? そう考えると話を聞いてみたい人はたくさんいると思います。そこで、不肖未熟の身ではありますが、私が会員のみなさんに成り代わり、いろいろな方にお話を伺っていきます。今回はこの方にターゲットを合わせました。みなさんの聞きたいことが、少しでも聞き出せていると良いのですが・・・・。 (『仮面ライダーアギト』木野 薫役)-前編- |
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師走も押し迫った昨年12月のとある日、東京・銀座にある東映本社でその人と待ち合わせをした。マネージャーさんとは何度となくお会いしていたので安心はしていたが、当の本人に対してはやはりその年齢や風貌、演じている役柄からか、どうしても恐怖にも似た緊張は否めなかった。 浅黒い顔に黒縁のメガネを掛け、黒いダウンジャケットを両手で抱えてその人は立っていた。メガネの奥の目が大きく、テレビで見るよりもずっと若い感じだった。私は恐怖感を悟られまいと、背中の筋肉を緊張させて、いつにも増して姿勢正しく挨拶をした。にっこりと笑顔で挨拶を返してくれたその人は、『仮面ライダーアギト』木野 薫役・菊池隆則さんだ。アナザーアギトと言ったほうが分かりやすいだろうか。そう、変身前も変身後も独特の雰囲気を醸し出すあの仮面ライダー。「アギトは俺ひとりでいい」と渋いセリフを吐くその役を演じる菊池さんには、どうしても“いい人”のイメージは湧きにくい。さて、この先、どんな話を聞いたら良いのだろうか? 「30年の仮面ライダー史上、最年長のライダーですから」 落ち着いた喫茶店に場所を移して、早速インタビューを開始した。するとのっけから、意外な程明るくこんなセリフが飛び出した。しかもにっこり笑うのだ。安心するような、ちょっと不気味なような(菊池さんファンの方々、ごめんなさい!)。 え〜っと、何から聞こう…、頭の中で脳味噌がフル回転しているにも関わらず、ろくな質問が出てこない。 「菊池さんはおいくつなんですか?」 「43歳です。1号ライダーの藤岡さんだって、当時はまだ30歳にもなってなかったんじゃないですか?」 なるほど、それで“最年長ライダー”となるわけだ。がしかし、がっしりとした体格に浅黒い彫りの深い顔、見たところとても43歳には見えない。そう、その彫りの深い顔がもたらす数々のエピソードがあるようで、この日もまずはそのエピソードから始まった。 「撮影現場でメイクの人が俺に粉をはたいていたんですよ。彼女が「凹凸が激しいですよね?」って言うんですよね。「それって、濃いってことでしょ? 顔が」「ええ、まぁ(^_^)」「俺さぁ、時代劇とか似合うでしょ?って言われるんだけど、俺だけひとりアラブ人みたいになっちゃうんだよね」って言ってて、メイクさんが粉はたきに来るたびに「オサマです」とか「ラディンです」とか、冗談言ってたのね」 とても冗談なんて言いそうにないイメージだったが、その明るい話し方からメイクさんとのやり取りが安易に浮かんできた。さぞやメイクさんもリアクションに困ったことだろう。笑い上戸の私はこれだけでも、ケラケラ笑いが止まらなかった。が、話はまだ続く。 「それが前哨戦としてあって。別のドラマ撮影の現場で、すごく待ち時間が長くてね。何度か共演してた女優も出てたんで、そのことも話していたんですよ。その子は俺が『仮面ライダー』に出ているって知らなくて、「へ〜! 菊池さん仮面ライダーに出てるんですか!」って感心するんですよ。「そうだよお前、最年長ライダーだよ」って自慢したら「で、なんて名前? 仮面ライダーアフガン?」って。それで、俺、大笑いしちゃって」 うわぁ! スゴイ会話。でも、語呂がいいなぁ。それにしても、菊池さんは木野薫とは全く違い、話している間も表情豊かで、動きはむしろコミカルなくらいだ。その気さくな話し方に、どこか近所の面白いおじさん(お兄さん?)と話している様な気になってくて、“怖い人”のイメージはどこかへ行ってしまった。が、菊池さんは私が怯えていたことなど、すっかりお見通しだった。 「木野薫のイメージしかなかったから…」 と言い訳すると 「だから、怖かったんでしょ? ああいう人かと思ったんでしょ? インタビューしても「よくわからない…」って答えると思ったんでしょ?」 と、途中木野薫になったが、すぐさま菊池さんに戻って「へへへっ」と笑った。さらに 「疲れちゃうじゃない、あんな風に人生生きていたら(笑)」 とまで、のたまう。う〜む、実体はこんなにもお気楽陽気な菊池さんに、どうして木野薫がキャスティングされたんだろう? 「白倉さんと前に、京都のドラマで一緒にお仕事させてもらったんですよ。でまあ、同じ事務所の友井雄亮が出てて。そんなご縁ですかね? このお話しを頂いて…」 と、『アギト』のプロデューサー・白倉さんと顔見知りで、さらに、ギルス・葦原 涼役の友井雄亮さんと同じ事務所であることが明らかになった。つまり菊池さんの所属事務所は、平成ライダーを2人も輩出したことになる。これもまた『仮面ライダー』30年史上に残る偉業ではないだろうか? どちらも影を背負ったライダーだが、役者本人は友井さんも菊池さんも役柄とはかけ離れているくらい、明るい。もしかして木野薫役には苦労しているでは? 「いえ、苦労はしてないです。自分の暗い部分を使えばいい訳ですから」 自分のダークサイドが木野薫だと言う菊池さん。自分自身、ああいう時期、軽い自閉症気味な時期があったという。他人との距離、何をどう伝えたらいいのか分からなかったという。これもまた意外な一面、というか、木野に近いのだから思った通り、というか…菊池さんがますます分からなくなる。 ![]() |
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| 構成/すねやみえこ (c)2001 ISHIMORI PRO・TV ASAHI・ASATSU D.K.・TOEI |