北條役はやはりオーディションで決まったのだろうか?
「オーディションですね。僕は最初『クウガ』のオーディションを受けたんですよ。去年の9月か10月くらいに『クウガ』の最後に出てくる怪人役(もしや羽緒レイさん同様ン・ダグバ・ゼバか?)のオーディションで最終まで行ったんですけど、ちょっとキャラが違うということで。でも「来年また『アギト』というのが始まりますから、是非そちらのほうを受けてみてください」とお話を頂いて。何故か知らないんですけど『ガオレンジャー』もオーディションに行かされました(笑)」
ということは、もし『ガオレンジャー』で受かっていたら、かなりクールな戦士が誕生していたかも? どの役のオーディションだったんだろうか? 孤高の荒鷲? 怒濤の鮫? 
「オーディションの時って「この役ですよ」とは、あまり明かさないんですよ。『アギト』の時も「主役オーディション」ということで、多分みなさんそれで受けていると思いますよ。
 ただ、それで“北條”というイメージだったのかと思うと…最初ちょっと悩んだんですけど。そんなに嫌な人間に見えるのかなと」
と、寂しそうに言っていながら、またあの鼻で笑う“ふっ笑い”だ。う〜〜ん、謎めく。というか、意外と気にしていたのね。


写真 「性格のイメージではなく、物腰がクールだったのでは?」
とちょっとフォローにも聞こえる質問を投げた。
「ん〜〜〜。オーディションの時はあまり出しゃばって喋らないようにしてるんで、それかな? 熱く語るのはあまり好きじゃないんですよ。だからついついほかの人の熱い自己アピールを見てると…」
そう言ってみせた表情はあの、北條さんの人を見下したときの表情ではないか!
「あ! その表情を白倉プロデューサーが見ていたのでは?」
思わず言ってしまった。
「見られてたのかな?(笑)。出ちゃうんですよね、恐らく顔に」
と、何故か笑顔。何か楽しんでるって感じだ。


「で、一番最初に衣裳合わせをしまして、撮影に入る前にリハーサルが東映のほうであったんですけど、その時初めて要くん、友井くん、藤田瞳子さん、柴田明良くん、田口主将(河野刑事役)さん、後藤ゆろゆき(涼の水泳のコーチ役)さん、滝沢涼子(三雲咲子役)さんにお会いしたんです。最近発覚したんですけど、その時に柴田さんも藤田さんも、すごく僕のことを嫌な人間だと思っていたらしくて(笑)。彼らも台本を読んでる訳じゃないですか「こういう役を演る人だからきっと…」って思っていたらしくて。「すごい嫌いだった」って。要くんはすごくフォロー入れてくれてましたけど「いや、僕はそんなことないっすよ」って」
テレビのG3ユニットの様子がそのまま浮かんできた。
「最初上手く出来なかったんですよ、ああいう役じゃないですか。最初から普通の山崎 潤として皆さんに接していると、なんとなく上手く切り替えができないんじゃないかなという想いが多少あったんですね。だから、最初のころはあまり進んで皆さんとお話しをする事もなく、ロケバスの中で本を読んでいたりとかしてたんで(笑)。切り替えが上手い方だったらいいんですけど、そういう切り替えに時間がかかるタイプなんで、最初の頃は。ちょっと人見知りもするんで最初は…不愛想だったらしいです。おとといも一緒に飲んだんですけど、昔話になってまた言われました(笑)」
ちょっと困った笑顔で話す山崎さんだが、以前の藤田瞳子さんと柴田明良さんとの回(vol.6)でも伺ったように、今ではG3ユニットの方々とも非常に仲がいい訳で、昔話を酒の肴にきっと盛り上がるのだろう。
「まあねぇ、北條という役を演るにあたってはハマり過ぎてもどうかな〜と、ちょっと複雑な心境ですね(笑)。でも人間としてはどうか分からないけど、役者としてハマってると言われることは嬉しいことですよね」

とっても北條にハマりきっている山崎さんだけに、子供たちの反応には少々困っているようだ。
「小学校5、6年生かな? 囲まれちゃって困ったことがありましたよ(笑)。ロケが僕だけ先に終わってしまって、ロケバスで近くの駅まで送ってもらったんです。また、このロケバスが側面に大きくアギトが描いてあって“『仮面ライダーアギト』に使っています”っていう分かりやすいロケバスなんです。駅前に着けてもらったら、サッカーのユニフォームにジャージを羽織ったような子供たちが14〜15人位いて。バスが泊まった瞬間に「うわ〜、アギトだ」って注目するんですよ。そしてガッシャってドアが開いて出てきたのが、ズン!みたいな感じの北條で、みんな一瞬たじろいだんで僕も普通によけて歩いていこうとしたんです。そしたら、その中のひとりが「おい、北條!」って。これは怒ってはいけないと無視して行こうとしたら、「北條だ、北條だ」って騒ぎ始めてしまって「ああ」(冷たくまさしく北條の視線で)と返事をしたんです。そしたら「やっぱ怖ぇよ、こいつ」って。もうねえ、本当にね、困りますね!(笑)。


写真  この前はすごい面白かったんです。電車に乗ってたら、5歳くらいの子供の手を引いたお母さんが、赤ちゃんを抱いてたんですね。その手を引かれている子供はきょろきょろしてて、僕と目が合っちゃったんですよ。そしたら、北條だって気付いちゃったみたいで、僕のほうを見たままピタッと止まっちゃって。その子はず〜っとこんな感じで」
と母親の手をぎゅ〜っと握ったまま、母親の問いかけに返事も出来ず、しかも視線を山崎さんからはずすことも出来なくなっているその子の緊張の表情を再現してくれた。
「僕、ニッって笑ったんですけど、その子は固まったままで…緊張しちゃったのかな」
とちょっと寂しそう。しかも


「恐らく僕は、2001年度子供に一番嫌われた大人かも知れないですよね(笑)」
とまで言う。そこには山崎さんにそう思わせる決定的な事件が潜んでいたのだ。
「ロケ先で写真撮るとき子供が泣いて写真が撮れないとか、結構あるんですよ。兄弟の家族連れで「すみません、今お時間あれば写真お願いできますか?」って言われて、子供を両脇に座らせて優しく肩に手を回したら、緊張していた弟のほうが絶えきれなくなったらしくて「うわ〜!」って泣き始めちゃって。お母さんが「大丈夫よ、北條さんは怖くないから」って言っても「うわ〜んうわ〜ん」。しかたないので弟抜きで写真を撮ったんです」
キャラクターの性格上それは仕方ないことと分かっていても、やはりショックは隠せない。山崎さん、とっても寂しそうだ。しかもこの話にはまだ続きがある。
「僕、撮影の続きがあるからロケバスから戻ってきたんですよ。そしたらさっき泣いた子が友井くんと、にっこにこ笑って写真撮っているんですよ」
と、山崎さんは肩を落として深いため息をついた。やはり正義の味方にはかなわないのか…北條さん、頑張れ!
山崎さんが続けた。
「それがちょうどアギト捕獲作戦で、僕がギルスをガス弾で打ちまくった時ですよ」
なるほど、その悲しみを銃弾に込めてギルスにぶつけた訳ですね。あ、違うか。


写真 「北條も最近は結構お茶目になりましたけど、ある種『アギト』の中で一番悲劇的なキャラクターだと思うんですね。す・べ・て! 上手くいかない。目の付け所はいいのに」
そうですよ、あかつき号に着目したりして…もしや、あかつき号の謎を北條さんが解くのでは?
聞いてはいけないと思いつつも聞かずにはいられない『アギト』の謎に、山崎さんはニヤリと北條笑いをすると
「どうでしょうね。あ、お茶のおかわりいかがですか?」
見事にかわされてしまった。


『アギト』ではヒーローを始め素敵な男性がたくさん出演していることは言うまでもないが、実はここで見落としてはいけないことがあるのだ。それは美杉家の太一役の田邊季正くんや、謎の少年役の神木龍之介くんら子役たちだ。ふたりとも実力ももちろんだが、何より可愛いらしい。未来の“いい男”予備軍だけに、特にお母さん方にはチェックしていて欲しいな。
「僕より太一のほうが芸歴が、キャリアが長いんです(笑)。ひょっとしたら龍くん、神木龍之介くんのほうが長いかも知れないですね。彼もいろいろなドラマに出演してますね〜。うらやましいなぁ、売れっ子だなぁ。それにしても可愛いですね」
男の人から見ても、彼らはやはり可愛いんだ。う〜ん、その魅力は底知れない。
「僕は現場では会わないんですけど、ちょっとしたパーティとかで一緒になると、みんなが見てない隙に持って帰ろうかなって思いますね。ホント! カワイイ!」
子供好きという程ではないという山崎さんに、ここまで言わせる神木龍之介くんの魅力とは一体!? 
「彼はもう! もう! 本当になんて言うんですかね、頭からむしゃむしゃ食べたいくらい可愛くて、ちょっと変な表現なんですけど、可愛くてほっぺたつねりたいって感覚に襲われて」
“ほっぺたつねりたい”って、それってとっても北條的、と思ってしまった。
「初めて会ったときに、トコトコトコって僕のところへ来て気を付けをして「神木龍之介です! よろしくお願いします!」と挨拶されたんです。そのとたん「可愛い〜〜〜! なんてしっかりした子や」って。ドキドキしちゃって」
と顔をメチャクチャ崩して別人になってしまった山崎さん。恐るべし、神木龍之介!
「そしたら横で藤田(瞳子)さんもドキドキしてて、藤田さんが写真を撮りたいっていうんで「じゃあ、呼んでこようよ」っていったら「いい、いい、いい、」「え? 撮りたいんでしょ?」「いい、恥ずかしいから」って、藤田さんを見たら耳が真っ赤になってるんですよ」
この辺りはvol.6で藤田さん自らも語っていたので、是非ご参考あれ。
「みんなやられてますよ、現場では。誰もがやられてます。可愛くてしょうがないなぁ。本当にしっかりしているので、プロ意識を持った子供って怖いですよね(笑)。
 太一もね、すごくお茶らけた感じでやっているけど確信犯的なんですよね、彼。狙ってはしゃいでるんじゃないか、自分を子供に見せているんじゃないかって疑いたくなる瞬間があるんですよ、マジで。普段から“役作り”みたいな。一時期太一とメール交換してましたね(笑)。すごい誤字脱字だらけなんですよ、彼のメール(笑)。なんて読めばいいのかなって言うメールで」
へっ? 26歳の山崎さんと小学生の太一くんがメル友? 一体どんな内容だったんだろう? って、小学生がメール打つこと自体すごい! ダブルびっくり。しかも年下なのに先輩。脇役をベテランが固めてる!? 芸能界ってとっても不思議な世界だ。思わず、
「小さな先輩がいっぱいいますね」
と、素直な感想を伝えたつもりが
「それ、凹みますよ、マジで。すごいショックなこと言われた〜。確かにそうだ。年齢が若くなればなるほど芸歴が長くなる、不思議な現象ですね(笑)」


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構成/すねやみえこ
(c)2001 ISHIMORI PRO・TV ASAHI・ASATSU D.K.・TOEI