“Beyound Cool”を出ると街はすっかり日が暮れていたが、街のネオンのせいか先程よりもむしろ明るくさえ感じた。もっとじっくり羽緒さんのことを伺おうと、落ち着ける店を探した。食事にはまだ少し早かったようで店内は比較的空いていて、すんなり奥へ通された。まずは、生ビールで乾杯。お酒もいける口らしい。さて、羽緒さんの学生のころは?

写真「普通ですよ。16、17歳くらいですね。自分の仲間や友達と一時期バンドを組んで、その時初めて音楽をやりたいな〜と思って、コピーバンドみたいなのをやってました。LUNA SEAとかL'Arc〜en〜Cielとか。そういうのをちょっとやってたくらいですね」
これは似合う! ボーカルだったそうだが楽器は?
「そんなには出来ないですけど、多少ギターを」
それにしても、自分でも認める照れ屋&恥ずかしがり屋なのに、バンドとは?
「それはまた別なんですよね。仲間うちで数回ライブもやりました。でも、やっぱり初めてのライブをやったときはすごい緊張して、「どうしよう」と思いました。どんどん時間が迫ってきて「よし! 行こう!」ってみんなでステージに上がって1曲目歌うぞ!って時に、いきなりマイクがコードから取れちゃったんですよ。「ヤバイ!」と思って(笑)」
うわー! 緊張してるのにそんなアクシデント。ステージはどうなっちゃった?
「でもすぐに直って、パッと平然と何も無かったかのようにやりました。それが第1回目のライブ」
おー! すごい度胸が座っているじゃないですか! 実は本番に強いのでは?
「だけど、次のライブからはコードの無いマイクにして(笑)。そんな経験もありつつ。本当に仲間うちで趣味っていうか、音楽が好きだからみんなちょっとやろうよ、って感じで。結構面白いんですよね。みんなで集まって練習するとやっぱり楽しいですし」
かなり音楽好きらしい。今も音楽活動は何かしているのだろうか?
「いえ、それ以来は。でも、もうそろそろ…元々音楽をやろうと思っていたので、またやろうかなと思っているんですけど、なかなか(笑)」
そう、元々は音楽をやりたかった羽緒さんだが、役者を経験することによって表現力などを学ぼうと思ったんだそうだ。さて、最近はどんな音楽を聴いているのかな?
「毎年毎年、ちょっとずつ変わって行きますね。今まではすごい日本のロックっぽい、SADSとか清春さんとか、黒夢とかすごい好きで。カッコイイじゃないですか。勢いのあるものって、すごいインパクトが強くて。今は音楽もすごい幅広いから、洋楽とかも聴いてボブ・スプリングとか。それも仲間から「すごい良いんだよ」って言われて聴いて。ああ、こういうのもいいな〜って、音楽の方向性もすごい散らばっているんですよね。ひとつに定まらず、こんなのもあんなのも出来ればいいな〜って」
アンテナがいろんな方向に向いている羽緒さんが生み出す音楽、益々楽しみになってきた。聴ける日が待ち遠しい!

 もっと子供のころの羽緒さんが知りたい。子供番組はどんなのを見ていたのだろう。このコーナーお決まりの質問を投げかけた。
「やっぱり『仮面ライダー』見てましたよ。『仮面ライダーBLACK』を。また色も黒が好きだったんで(笑)」
子供の頃から一貫したポリシーが! そう、羽緒さんは黒が好きだそうで、この日の服装も黒のレザージャケットに黒のTシャツ、ジーンズはブルーだったがブーツも黒と、全身を黒でコーディネイトしていた。確かに『BLACK』も『BLACK RX』も実に格好良かった! ちなみにあのBLACK RXを演じていたのはJAC(ジャパンアクションエンタープライズ)の岡元次郎さんであることは有名だが、嬉しいことに映画『PROJECT G4』ではG4を演じていた。これは羽緒さん、初耳だったようで
「へぇ〜! 今頃ドキドキしてきた(笑)。すごいですね」
時代が繋がったようだ。話を子供の頃に戻そう。『BLACK』を見ていたと言うことは、もちろん仮面ライダーごっこをやったのでは?
「あ! やってましたね。ちっちゃい塀に登って飛び降りたり(笑)。そういうの、みんなやりませんかね? やりますよね?」
はい! やります。それはみんなが通ってきた道です。ちなみにご兄妹は? 
「上に3人居ます。兄が二人と姉がひとり。すぐ上の人とも結構離れてますから、遊んでもらえなかったことが多かったですね。ひとりで遊んだり、近所の子と遊んだり、学校の友達とかと普通に遊んでましたよ」
と、ウズラの卵をパクリ。お好きなんだそうだ。


写真 なるほど、ペットとかは飼っていたのかな? ちなみに東映撮影所近くの犬にはよく吼えられたとか、犬は嫌い? 
「最近は、大丈夫です。友達の家が犬を飼ってるんですよ。始めは遊びに行くと犬が走ってきて「うわー!怖っ」って思ってて(笑)。「犬、抑えておけよ」って友達に事前に電話して入っていくんです。でも、最近はその犬とも結構仲良くなって、名前呼ぶと来たりして「あ、かわいいじゃん」って(笑)。だから最近は小さい犬が、チワワとか飼いたいな〜って。賀集さんのところで飼ってるらしいですね」
なんとも可愛らしく子供のような表情で、うらやましそうに話す羽緒さん。
「僕が今まで飼ったのは小鳥ですね。小学校上がったくらいの時に、知り合いの人から頂いて。色々飼ってたんですよ、ジュウシマツとか、お袋が拾ってきた雀とか。ヒナが巣から落ちちゃったらしくて。すごいんですよね、鳥ってこうやって手のひらで暗くしてあげると、寝ちゃうんですよね、手の中で。雀も本当にちっちゃいときから飼ってたんですよ。家族の近くにいると普通なんですけど、知らない人が来ると細くなるんです。普通はこんな丸かったのに、人がくると緊張してピーンと細くなって。大丈夫か? っていうくらい。やっぱり動物とかって、人間より早く死んじゃうじゃないですか。その辺もあって迷うんですよね。チワワ飼いたいんですけどねぇ」
と、端正なその顔をちょっとしかめて話す。う〜ん、意外、チワワが好みだったとは。もっとワイルドな大型犬も似合いそうだけどな。

 静かに落ち着いて話す羽緒さんだが、やはり友達と一緒ならもっと喋るのではないだろうか?
「まあ、喋るときもありますけど、喋らないときもありますね。本当にあまりおしゃべりじゃないんで(笑)、結構黙り込んじゃうことも多いかな〜」
それ故に、ちょっと近寄りがたいあの“謎の青年”の雰囲気が出るのだろう。では、周りで騒がしくおしゃべりされては、苦手なのでは?
「いや、出来ればやっぱり喋れたほうが話も盛り上がるし、ああ、いいなぁ〜って思います。苦手ではないです」
ホッ。良かった、安心してインタビューを続けよう。それにしてもその大人しい雰囲気は子供のころからだったのだろうか?
「いや、一日中黙っているわけじゃないですけど(笑)。ははは(笑)。まあ、普通ですね。喋るときもあって喋らないときもあります」
あぁ、また羽緒さんが笑った。何かほんわかする。怖いほどの雰囲気と、こんなにも明るいほんわかする雰囲気、相反する陰と陽を同時に存在させている人。そんな感じがした。

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TEXT/すねやみえこ
(c)2001 ISHIMORI PRO・TV ASAHI・ASATSU D.K.・TOEI