他の映像作品がそうであるように、東映作品もまた驚く程たくさんの人達の手によって作り上げられています。その作り手達を知れば、自ずとその作品も見えてくるのではないでしょうか? そう考えると話を聞いてみたい人はたくさんいると思います。そこで、不肖未熟の身ではありますが、私が会員の皆さんに成り代わり、いろいろな方にお話を伺っていきます。今回はこの方にターゲットを合わせました。皆さんの聞きたいことが、少しでも聞き出せているといいのですが・・・・

第10回 斉藤レイ・岳美
(『仮面ライダーアギト』謎の青年役)
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 午後5時、夕暮れの新宿は人で溢れかえっている。ここ新宿3丁目の交差点では手を繋ぎ寄り添いながら歩く男女や、ご近所のお友達とショッピングを楽しむ奥様方、それにアフター5のビールを楽しみたいと手頃な店を探すサラリーマンと、実に多種多様な人々が行き交っている。そんな雑踏の中、スローシャッターで撮った写真のように、ブレた背景の中ひときわ目立つ人がいた。大きなショーウインドウにもたれ静かにたたずむその人は、レザージャケットに肩まで伸びた明るい栗色の髪をなびかせ、誰かを待っていた。その美しい姿にしばし見とれたいところだが…
「すみません! お待たせしました」
全く情けない話、私は遅刻して今回のゲスト・羽緒レイさんを待たせてしまったのだ! 
 『アギト』の中では、謎の青年としてその独特な雰囲気を醸し出している羽緒さんだが、実際お会いして驚いた。その美貌は正にテレビのままなのだが、なんとも明るく笑うのだ。番組内では見られないこの貴重な笑顔を、今回皆さんに是非堪能していただきたいと思う。


写真 『アギト』が初めての仕事だという羽緒さんだが、以前にはモデル等の経験があるのでは? と思い聞いてみた。
「いえ、全然。『アギト』の前は普通の仕事してました。初めて仕事したのは…解体屋です(笑)。見た目より力、あるんですよ」
と、その大きな眼を細めてニッコリ微笑んで答える羽緒さん。それって正に肉体労働。似合わない! だって、私はテレビ放映を見た時、絶対女性だと思っていたのだから。それを正直に謝ると、羽緒さんは慣れっこといった感じで笑いながら
「その仕事していたときも、最初「女かぁ?」って言われました(笑)。その言い方に勢いがありましたから「お!」となりましたけど、もう結構言われ慣れちゃったっていうのが正直なところですね」
なんて穏やかな人なのだろう。低めの声でゆっくりじっくり話してくれる。この辺は事務所の社長も認める「のんびり屋さん」ということか?
 
「怒るというのはなかなか無いですね。何を言われても。早い話ちょっと間違えられただけで、別に「俺は男だよ!」っていうのは無いですね。喧嘩はそんなしないですから(笑)」
ほ〜。あの謎の青年のイメージのせいなのか‘やられたらやり返す’とでも言ったようなどこか怖い部分があるのでは? と思っていたので、いささか拍子抜けだった。一緒にいたスタッフにも多少なりともそんな思いがあったのか、周りの視線に羽緒さんは
「え? なんで?」
と、首を傾げる。
そう、そこにいるのはどこにでもいるような、いや、むしろ今時にしては希少価値かもと思われるほど穏やかで静かで、楽しい話には屈託なく笑う20歳の、いや、もっと若く見える青年だった。
 もう“謎の青年”のイメージは吹き飛んでしまった。


写真  最近の羽緒さんはシルバーアクセサリーに夢中らしい。この日もなぜ新宿でお会いしたかというと、彼のお気に入りの店が近くにあるからだ。実際その店でアクセサリーを見せてもらう事にした。伊勢丹本館の前を出発し人混みの中を縫って、靖国通りへ出た。交差点の向こうマルイメンの1Fにある“Beyound Cool”が目的地だ。店内には高価なシルバーアクセサリーを始め、レザージャケットやブーツ、Tシャツもある。ここのオーナーと彼の事務所の社長さんがお友達と言うことで、彼はこの店に足を運ぶことになったそうだ。しかも、羽緒さんのオリジナルデザインの話まで持ち上がっているという。

写真  「たまたま、お店のオーナーとお話しをしているときにデザインしてみれば? みたいな事を言ってもらえて。「おぉ、デザインか」と喜んだんです。でもすぐ描いて「はい、コレで」なんて出来ないじゃないですか。やっぱりカッコイイものをデザインしたいし、自分らしくて格好良くて、それにほかに似たようなものはない、っていうのがいいなぁと思って、ちょっと色々考えているんです。でもなかなか(笑)。世の中にはいっぱいアクセサリーのデザインがあるから、どこかしら似ちゃう。そう考えると、これは勧められたからといって、すぐには出来ないなと思っています」
なるほど、より自分らしく更にほかに似ていないデザインをするために、今は勉強中と言うことらしい。
 それにしてもなんて嬉しそうに話すのだろう。瞳が輝いてます。余程シルバーアクセサリーが好きらしい。が、それだけでは無いようだ。元々シルバーアクセサリーが好きだった彼を、さらに夢中にさせた張本人こそ、この店のオーナーだそうだ。が、生憎この日はオーナーは不在で、その容姿をこの目で確かめることが出来なかった。一体どんな人なんだろう。
「初めて会ったときは、いっぱいアクセサリーがついてて…ヤバイっすよ(笑)」
何がヤバイの? どうやら一目見ただけで彼の「カッコイイ!」定義にはまっていたらしい。今日の彼も、デニス・ポリチーノデザインのネックレス“フレームハートクロスカーブドチェーン」に「スシュムナー」これもネックレス、そしてブレスレットは「インビジブル」、リングには「ダブルタローン」と割と多くのアクセサリーを付けているが(もちろんウォレットチェーンも)、初対面のオーナーはそれ以上にたくさんのしかも高価なアクセサリーを付け、ウォレットチェーンも髑髏(どくろ)が鈴なり、ジーンズのリベットも純銀の髑髏、しかも空手をやっているそうで筋肉ムキムキだったそうだ。
「すごいんですよ(笑)。カッコイイんですよ」
今あなたは憧れのヒーローに会っちゃったんですね、と言うくらいの笑顔で話す羽緒さん。それ程までに興奮したご対面にも関わらず、当の本人には「カッコイイ」とは言えなかったらしい。
「なんか、その場であまり言えないんですよね」
と、羽緒さん照れくさそうに、顔をしかめる。この表情もまた良い! 素直な表情で、またひとつ人間・羽緒レイを見つけた気がした。
「例えば、今日あの人のあれが格好良かったなっていうのを、その場で言ったほうがきっと「ああ、じゃぁこんなのどう?」っていろんな話になって盛り上がると思うんです。だけど、そういうのが結構言えなくて。それでその人が帰った後に「いや、すごかった」って(笑)」
かなり照れ屋さんだ。照れ屋さんなだけに、その感動は後からジワジワ湧いてくるのか、ますますヒートアップしてくる。
「本当にその人は格好良くて、初めて見たときに「カッコイイ!」って思って。レザーパンツ履いて、アクセサリーもグワーと付けてて、その付けてるものがカッコイイだけじゃなくて…その人がカッコイイんですね。一言で言ったら、本当に“ワイルド”と言う言葉が当てはまる。自分の中で今一番カッコイイなと思う人がその人で。会った瞬間に自分の憧れの人になっちゃったくらいの人なんです。自分のアクセサリーの話をしてくれたときも、すごい格好良くてワイルドで、アクセサリーの知識もあってすごいなって」
おお! 羽緒さんが熱くなっている! 運命の出会いだったようだ。


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TEXT/すねやみえこ
(c)2001 ISHIMORI PRO・TV ASAHI・ASATSU D.K.・TOEI