今度は、前回聞きそびれた美容法を伺った。
「私は半身入浴ですよ」
岳美さんが即答する。彼女、とにかくレスポンスが早い。何にでも反応してくれる。
「湯船から出て入って、また出て入って。水のペットボトルを持って入って、水分取りながら台本読んだりとかしてますよ。私お風呂大好きで、大体1時間くらいが一番いいんですけどそのまま寝ちゃうんですよね、昔からの癖で。高校生の頃も部活から帰ってきてお風呂入って、そのまま寝てしまって。途中で親が起こしに来るんだけど「うるさーい」とか言って、結局そのまま朝になって」
「えええーーー!!!」
レイさんが大きな声を出した。そりゃそうだ。朝までお風呂に浸かっていたら、風邪を引いたりとか体がおかしくなりそうな気がするぞ。大体‘お風呂で寝る’って難しそう…。そんな心配をよそにこれまたあっけらかんと状況説明。
「人間ってすごく水に浸かっていると、皺皺になっちゃうじゃないですか。ところがもう痛いんですよ、ふやけ過ぎちゃって。爪とかも、足も痛くて歩けないくらい。みなさん、気をつけましょう(^_^)V」
(^_^)Vって、そんなになるまでお風呂に入っているのは、岳美さんくらいですよ!
「全然美容になってないじゃない」
ほら、レイさんだってびっくりして呆れちゃったじゃないっスか。では、お姉さま・レイさんの健康法を伺いましょう。
「私は気が付くと動いている。というか汗をかくのがやっぱり好きだし。ダンスを習っているときはそればっかりですね。忙しいとそんなにいけないんですけど、時間が空くとテニスの壁打ちとかに行っちゃいます。体にモヤモヤが溜まると気持ち悪いから、つい動いて発散しちゃう。ちょっとしたお休みでも動いちゃう。ゆっくり時間を過ごす、というよりは、わざわざ運動しに出かけちゃいますね」
おお〜! アクティブですね。誰でも日々の忙しさにかまけていると、空いた時間はつい「ダラ〜」っと過ごしがち。それを更に体を動かしているとは!
「レイさんに聞いたんです。なんでこんなに綺麗なボディを保っていられのるか」
と、やはり同業者としては気になるところなのだろう、岳美さんがレイさんにそのプロポーションの秘密を既にゲットしていた。
「レイさん、前に綺麗な姿勢の作り方を教えてくれたんです。これ、私結構気にかけているつもりだけど、絶対こう猫背になっているんですよ。だって、このほうが楽なんですモン」
なるほど、秘密はゲットしたが実践するには更に根性がいるようだ。美はそう容易くは手に入らないのだ。
「あ〜、あれはもう自分の意識の中に無いんです。たぶん小さい頃に親に言われたりしたんでしょうね、バレエとかもやってたから。気が付くとこう姿勢が良くなっているんです。楽な姿勢がこれなんです。みんなに「疲れない?」って言われるんですけど、全然」
さらっと言ってしまう。
「それがまたカッコイイですよね」
岳美さんの言うとおり、カッコイイ!
「猫背って意識しないと出来ないの」
「正座でこれはすごい楽ですよ」
と、岳美さんが猫背を実演。おお! 縁側で渋茶が似合いそう。
「だから、レイさんはいつもすごいなぁ、って思って」
「別にねカチッとしているわけではなくて、これでもね、ぼーっとしているのよ」
と、背筋をシャンと伸ばしたままのレイさんが言う。
「力も入ってないよ、全然。ちっちゃい頃からの積み重ねなのかな? 親に感謝ですよね。たぶん親にいっぱい言われたんでしょうね。母はお茶をやっていたんで、そういうのもあったかもしれない」
レイさんの子供時代が、ほんの少し垣間見えた様な気がした。静かで礼儀正しい家庭だったのでは?
「私、お茶もお花もやっていたんですけどぉ」
岳美さん、納得できないらしい。一体どこでこんなに差が(姿勢に関してのみね)出来てしまったのか?
「お茶は、学校の授業の一環で中学のころから。お花は高校の時に、女の子らしいところをひとつくらい持っとこうと思って、華道を習い始めて。着物を着るっていうことは無かったんですけど。お家で正月に着物を着るくらいで。でも、こんな猫背でした」
「だめだめそれじゃ、先生に怒られちゃう」
レイさんに怒られちゃいました。
「一応日舞の名取りなので。でも背が高いから「しゃがんで、膝を曲げて」とか言われちゃうんですけど、姿勢は日舞や着物に通じてますからね」
なるほど、レイさんのあの美しいお姿は、こうやって保たれているわけだ。では岳美さんのお風呂以外の健康法は?
衝撃! 今レイさんが明かす、岳美さんの休日の過ごし方!
「岳美、ぽや〜んと過ごすの好きだもんね。ぽややや〜〜ん、ってね」
ありゃりゃりゃ。
「あ〜、もう一日中寝てます」
そ、そんななんとレイさんとは対照的な…。やはり縁側で渋茶ですか?
「でも、活動的な時はすごい活動的ですね。冬は活動的です、寒いほうがいいです、暑いともうだめ。冬はスノボとか。これがプロ級なんですよ、私は」
「え!? ははは(笑)、どうかな?」
レイさんが笑うのも無理はない。だって先程の「寝てます」発言とは正反対な言葉、しかもそのきゃしゃな腕や脚を見る限り、スノボ・プロ級の筋肉や体力は見つけられない。それとも、スノボは筋肉も体力もいらない?
「私こう見えても、何気に運動神経だけはいいんですよ。知能が発達してない分(笑)」
こらこら自分で言うな。岳美さんの天然さがどんどん見えて来て、ますます楽しくなってきた。
「運動だけはよく出来たりして、でも体力がなくて気力で。だからマラソンとか走っているの結構好きですね。ランナーズハイになっちゃうんですよ。訳分かんなくなって「楽しいな、はっはは」って」
「え!」
明るく話す岳美さんにレイさんがギョッとした。
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