| 監督は舞台挨拶などにも参加されましたが、各地での反響はいかがですか?
「反響はものすごく良いですよ。初めてという人ももちろんいるんですけど、2、3回見ているという方も多いんですよ。京都、大阪、神戸も回ったんですけど、ほぼ満席でしたね。だからありがたいのは、みなさんリピーターになってくれてるんですよね」
公式HPでは、なぜうちの近くではやってくれないのか! という意見も多いですよね。
「そういう人も多いですね。それから、上映館が遠いので、始まる5時間前に家を出たという方もいたりして、本当にありがたいですね」
ファンのみなさんがご覧になった感想などは、どのように監督には伝わっているのでしょうか?
「お世辞かもしれないですけど、評判は良いですよ。だから本当にありがたいです、何回も何回も来ていただいて。実をいうと、東京国際映画祭で上映してもらったんですけど、舞台挨拶が終わって、客席を覗いたんですけど、上映が終わったと同時にみんな拍手してくれたんですよ。だから久しぶりに映画館で拍手が聞けたんですよね。やっぱりライダーファンは熱いなぁ……と思いましたよ」
ファンの持つ、熱い期待に応えるのは大変だったんじゃないですか?
「だから、ひとりずつ気に入るように、意見を聞いて作れないのが……それこそみなさんそれぞれに好きな仮面ライダーがありますから(笑)。まぁ、これを撮れば、喜んでもらえるかな? というカットはいくつか意識しましたけど……まずは、オープニングでのカットとか、昔の唄を使うのもそうですし、戦闘員が泡になって消えるのとか、そういうことはもちろん狙ってやりましたね。改造シーンでのドリルも、今ではああいう描写はしないと思うんですけどね。でも、アメリカの医療ビデオなんかもいくつか見たんですけど、新しすぎて逆に大したこと無いんですよ。血の交換にしたって何にしたってコンピューターの時代ですから。「絵」にならないんですよ。血液交換しながら平気で食事なんかしてるし、和やかなもんですよ(笑)。パソコンがポンと置いてあって、飯喰いながら血液交換してるんですから。これが本物ですって言われても、それじゃあ絵にならないじゃないですか(笑)」
確かに改造人間のリジェクションを押さえるための血液交換が、パソコンと循環器があれば出来るなんて描写では、一文字の置かれた状況に緊迫感は出ない……。恐るべし先端技術(笑)。ヒーロー物にケレンみは必要不可欠なのだ!
そういった意味も含めて、オープニングに「レッツゴー!!ライダーキック」を持ってきて、喜んでいたファンは多かったんじゃないですか?
「そうですね。当初からああいう形にしようと思ってましたね。ただ、スタッフの中にはもう少し長く入れてくれという意見もあったんですけど、このぐらいの長さかなと。ギリギリですね。昔の作品を完全リメイクする訳じゃないんでね。主役ももちろん変わるわけですし」
歌もそうですが、タイトルバックの爆発とサイクロンのジャンプのカットはシビレましたけれども。
「あの爆発は、夜に栃木県まで撮りに行ったんです。石切場みたいな所でね。デジタルの火だとインチキっぽくなっちゃうので、本物の爆発を撮って、それにサイクロンのジャンプを合成したんですよ。あれを撮りに行った時は雨が降っていて、ずっと待機してたんですけど、もう撮れないかなと思ったんですけど、何とか撮れましたね」
公開前のインタビューで、34年前には出来なかったことをやってみたいとおっしゃってましたが、それは具体的にはどういったことになりますか?
「やっぱり、技術的なことですよね。昔は空を跳ぶなんてトランポリンぐらいしか出来なかったんですけど、今ではデジタルでワイヤーを消したり出来るようになったのでね。でも、仮面ライダーというのはボディーアクションが基本ですから、それとうまく絡めて出来なきゃいけない、ということを思ってましたね」
そんなアクションシーンで、いちばん力の入った所といえばどういうシーンでしょう?
「それはやはり、バイクのシーンですね。ライダーといえばバイクですからね。提供してくれたバイクも良かったですしね(笑)。だから余分な物は付けなかったんですよ。昔のサイクロンみたいにマフラーが6本無いといけないとか、こだわりはお持ちだと思うんですが、それをやっていると、派手な走り方とかがむずかしくなるんですよね。重量のバランスなどが崩れちゃうんで。だから、できるだけシンプルな形で、昔のイメージに近づけてもらってるんです。街中を走ってもおかしくないでしょ。走っちゃイいけないんですけど(笑)」
他にアクションの見どころといえば?
「マスクを付けていないところのアクションにも注目してもらいたいですね。アクション監督の横山さんが、よく練習してくれてたんですよ。だから主役のふたりもいきなり現場で本番ということではなかったので、それは良かったですよ」
そんな本郷役の黄川田将也さん、一文字役の高野八誠さんはいかがでしたか?
「黄川田くんに関しては、さわやかさが出ればいいかな、というのがいちばんの狙いでしたね。その通り演じてくれましたから。注文を付けることはあまり無かったですね。本郷猛は純粋なさわやかさが出ないとダメだと思ってましたから。それから、どの役者も嫌々やるのは困るので、プロデューサーにはやる気のある人を選んでくれ、とはお願いしてましたし、黄川田くん本人もやる気十分で演じてくれましたしね。ふつうこういう番組の役ってやったことないでしょ。でも、だからがんばってくれましたよね」
役作りに関しては、どんなことを話し合いされましたか?
「最初の時に、昔の作品なんか一切観るなと言おうと思ったら、本人が観ないようにすると言ってましたので、何も言うことは無かったですよ。昔の作品を観て物まねされたら、かなわないなぁと思ってたんですよ」
逆に高野さんは、昔の作品を観て研究したようですけれど……
「素のまま来ればよかったのにと思いますよ。そんなに悩まなくても(笑)。経験がある分余計なことを考えちゃったのかな? でもよくやってくれましたよ、高野くんは。今回は二役ということで、まったく違う人物を演じるわけで、メリハリが必要だったしね。そこに気をつけてもらいました……ずいぶん編集でシーンを切っちゃったんですよね、克彦は」
では、あすか役の小嶺麗奈さんはいかがでしたか?
「こういう作品をやるのは初めてなので、やっぱりあれこれ考えてきたみたいなんだけど、結局そのまんまで良いということで。これは他のキャラクターにも言えることなんですが、あまり生活感というのは必要無いと思ったんですよ。むしろ出さないようにしようと思ってました」
確かに自室のシーンとか、ふだんの生活に関するシーンは、誰も無かったですね。その中でも、ウエンツ瑛士さん演じる晴彦と、小林涼子さん演じる美代子のシーンは病室でのシーンなどがあって、お話の中でも重くウエイトがかかっているという風に観ているファンも多いようですが?
「う〜ん、あれでも軽くしたつもりなんですけどね。どうしても話の展開の仕方で、あちらに気が行ってしまうという部分があるので、重く感じられちゃうのかもしれないですけど……あのふたりも良かったでしょ? がんばってくれました」
そういえば、小林さんにインタビューをしたときに(第7回参照)、ルーレット団子は監督が当たりじゃなかったのかということを、ずいぶん気にしてましたけど(笑)。
「真っ先に持ってこられて、真っ先に当たったら困るじゃないですか(苦笑)。ロシアンルーレットにならないもの。だから、我慢するしかないじゃないですか。だから美味しそうに食べましたよ(笑)。」
涼子ちゃん、やっぱり当たりだったんだそうですよ(笑)。そして、同じく宮内洋さんにもインタビュー(第6回参照)をさせていただきましたが、旧知の仲である監督とのエピソードを色々と語っていただきましたが……。
「よく引き受けてくれたなぁ、と。立花藤兵衛という役は、ご存じのように小林昭二さんが完全にイメージを作り上げちゃってるものだから、じゃあって簡単にできない役ですよね。だから、みんな嫌がってたんですよ。でも、彼は引き受けてくれましたね。戦隊シリーズ(超力戦隊オーレンジャー)でも一緒でしたしね。あの作品は僕は夏ごろからの途中参加でしたけれども……。彼とは昔、よく飲みに行ったりとか色々してましたからねぇ……。あまり変わってなかったんでホッとしましたよ(笑)。あの藤兵衛の衣裳は、自分で考えてきたみたいですよ。ツナギの色具合とかは、昔『Gメン’75』の時によく流行ったものに似てるんですよね。背中にマークを入れるのも彼がね。藤兵衛っていうセリフを削ってますからね。気付く人はそれでこれが立花藤兵衛だと気付いてくれればいいし、そうじゃなくてもそれっぽく見えるかな? ということにしたんです」
宮内さんは、あっという間に撮影が終わったので、もっとやりたかったっておっしゃってましたが。
「ワンシーンしかなかったからね……」
スパイダー役の板尾創路さん、バット役の津田寛治さんも、出演を快諾されたそうですが?
「そうですね。スパイダーの方は、もう少しくだけた感じで撮ろうと思ってたんですけど、板尾さんは喜劇の方が得意な人だから、ドラマの中で、面白い人を面白く撮ってもしょうがないなぁと思っていたんですが、大まじめに役作りをしてきてくれたので、それで行こうということにしたんです。津田さんとは1年間『仮面ライダー龍騎』で一緒でしたしね。出番が少なかったので、あのテンションで行かないと目立たないですからね。まぁ、スパイダーと同じテンションでは面白くないし、その対比ですよね」
冒頭に政治家と秘書官役で石橋蓮司さんと本田博太郎さんが登場されてますが。濃いなぁと……(笑)。
「あのキャスティングも、プロデューサーの方でお願いしてるんですけど、候補は何人かいたと思うんですけどね。良いんじゃないでしょうか」
ショッカー幹部役の辺土名一茶(ISSA)さんと佐田真由美さんはいかがでしたか? ISSAさんは主題歌も担当されていますが。
「ふたりとも今風で良いんじゃないですかね? 主題歌(エンディング)もISSAくんはもっとノリノリのを歌いたかったみたいなんですけど、頭にノリノリの主題歌(オープニング)を使うので、スローな方が良いかなっていうことですよね。ISSAくんはライダーファンだということも知ってましたし、『仮面ライダー555』でも作ってますしね。だから安心して任せたということです。本番で使う衣裳もたくさん候補を持ってきてくれていたし、やる気満々で演じてくれましたよ。衣裳は打ち合わせの時に着ていた普段着でも良いくらいだったんですけどね」
昔と違って、最も今風にアレンジされていた部分(キャラクター)とも言えそうな幹部役ですが、ひとりだけ異彩を放っているキャラクターがいらっしゃいましたが……。
「天本英世さんも、当初はIT企業の社長みたいな感じで考えていたんですけど、武部プロデューサーが天本さんはどうですかって言うので、面白い! って言ったんです。オールドファンが懐かしがってくれればいいなぁ、という思いもありましたけどね」
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