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2ヶ月ぶりの八木喜多です。すっかり桜も咲き、ビールが楽しい季節がやって来ました。
3月の下旬に、急に寒い日があったりと、花見のタイミングにはてこずりましたが、皆様はお花見とビールを楽しめましたでしょうか。
こちら、音楽チームは、実は例年のこの時期に比べるとなんだかバタバタしております。
実は、昨日も挿入曲の録音があって、関係者に録音のスケジュールを知らせていたのですが、宮葉さんから「今日のスタジオ、Aスタジオじゃなかったですか?」 と本番中に連絡がありました。
「いやいや、Bスタジオですよ、ご案内メールしませんでしたか?」と返したところ、「メールではしっかりAスタジオになってましたよ」とのことでした。戦隊シリーズの音楽録音は関係者も多いので、一瞬、何人の関係者が違うスタジオに行ってしまったのだろう?と不安になりましたが、幸いなことに、プロデューサーチームは遠方のロケがあって、録音に立ち会えないことが分かっていたのと、場所的には、AスタジオとBスタジオは近くなので、許してもらうことにしよう、ということにしました。(注1)
それでも宮葉さんに「バタバタしててスイマセン。3月の末で決算があって、なんだかんだ事務処理に追われて、ご案内が出鱈目になっちゃってスイマセンでした。」等と、一応言い訳めいたことを言ってみたりすると、「ハホさんがサラリーマンみたいなこと言ってる!?」と驚かれてしまいました。
| 注1:こういうミスは、音楽業界では普通は許されません。スケジュールの正確な連絡は、新入社員でも出来る仕事です。関係者の皆様、本当に申し訳ありません。ハホは何年業界にいるのでしょうか、罵る気力も無い次第でございます | ||
てなこともありつつなのですが、(注2)昨日のスタジオでは、実は、今年の戦隊ソング前半戦の目玉とも言える挿入曲の録音が行われました。
今回、戦隊ソングに登板していただいたのは、成田賢氏です。そう、あの成田賢がデンジマン以来、戦隊ソングに復帰していただけたのです。
成田さんは、一時、歌の世界から離れていらっしゃたようですが、今回、ご縁あって再び戦隊ソングを歌っていただけることになりました。録音の現場には、誰が呼んだのか(注3)各特撮誌の取材が集まり、ボーカルダビングの後には長々と取材が行われました。ご本人の色々なエピソードは各特撮誌をご覧いただけたらと思いますが、今回、戦隊ソングに成田さんをお迎えするにあたって、音楽チームが敷いた布陣は、作・編曲に岩崎貴文氏、作詞には藤林聖子氏です。ここ数年は、主題歌も含めて活躍してもらっているエースを投入しました。当然、成田さんに歌ってもらうからには、それに相応しい戦隊ソングがあるはずです。このコーナーにも何度か登場している音楽チームのコロムビア営業部隊、谷口がこの壮大なプロジェクトの総指揮を務めました。谷口は大の成田さんファンで、カラオケでは必ずデンジマンで口火を切り、誰がためにで締めくくるという位、成田さんのボーカルに心酔しているのです。昨年の暮れから、その谷口を中心に、壮大な成田賢、戦隊ソング復帰プロジェクト構想が練られていました。(注4)このプロジェクトは、実は、今年1月7日のアニメ・特撮ソングを披露するコンサート会場に成田さんが登場した時に本格的に始動したのですが、それがいよいよ実現する運びとなったのです。これまでは、成田さんは、連絡先を含めて、コロムビアの学芸・アニメチームとも長い間音信不通になっていたのです。しかし毎年、歴代の戦隊音楽スタッフに活躍してもらって勇気を得ている戦隊音楽チームとしては、いつか、成田さんに新しい平成の戦隊ソングを歌唱してもらうことは悲願でした。それが、ひょんなことから、ご本人からの連絡を受けたのがきっかけでにわかに関係者の期待が膨らみました。
しかも、電話の内容が、あるイベントでデンジマンを歌いたい、という連絡だったのです。その知らせを聞いた戦隊音楽チームは色めき立ちました。特に、谷口のガッツポーズは、マジレンジャーがゴールドディスク賞を頂いた時に見せたよりも気合の入ったガッツポーズだったことはいうまでもありません。まず、われわれは、成田さんが新曲で戦隊ソングに復帰する、という途方も無い野望に向かって定期的に社内会議を始めました。
こういう時のビールは格別です。(注5)当然、会議の時間帯とそれぞれの想いと、あとは少々のアルコールが手伝って、みんながぞれぞれの「成田さんに録音して欲しい新曲のイメージ」を押し付けあいます。言うだけはタダなので、それぞれが言いたい放題です。やれ作詞はどの先生がいいに決まってるの、作曲は何先生がいいのと、とてもこの場では公表できないような出鱈目なアイデアが投げ続けられ、そして夜が更けていくのです。
注2:しかし、そんな大それたミスをいけしゃあしゃあと、よくもネットで公表できるものだ
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こういう場合は、当然翌日の始業時間には、どんなアイデアが出たか半分も覚えていないものですが、それでも一見無駄に思えるこのような熱い作戦会議をひたすら続けてきたのでした。(注6)そして、いよいよ、その努力が実現する時が来たのです。今回は、制作現場に、更に強力な助っ人を、ということで、あにまーとの藤田氏を召喚しました。藤田氏は、もともとコロムビアの学芸にも在籍していた音楽ディレクターで数々のヒット曲を世に送り出した制作マンです。最近ではタッグを組んで、テレビマガジンの付属のCDで戦隊とプリキュアの夢の競演を果たしたこともある頼もしい仲間です。今回、成田さんの歌を録音するに当たって、ボーカルディレクションを依頼することにしたのです。そして迎えた本番の日、成田さんがブースに入り、コンソールルームのスピーカーからイントロに続いて聞こえてきたテストテイクは、皆が待ち焦がれていた成田賢の声でした。岩崎貴文氏アレンジによる16分音符の派手なイントロに導かれて、藤林聖子氏作詞の出だし「気をつけろ! 君は狙われている!!」というフレーズが聞こえてきた瞬間に、スタッフは確かな手応えを得、そして感動を深く胸に刻んだのでした。
今回の楽曲は、5月にリリースされるゲキレンジャーの1枚目のアルバム「真激音盤 其之一」に収録される予定です。本編でも近いうちに聞くことが出来ると思います。
成田さんの変わらぬ歌声にご期待下さい。
それと、成田さんですが、ここはコロムビアとしては、アニメ・特撮ソング界のために一肌脱がなければならない!とうことで、ファンから熱望されていた「成田賢 スーパーベスト」をリリースすることが決定しております。こちらも5月にリリースされる予定です。詳しくはコロムビアのHPで情報をゲットしてください。
注6:ここまで飲みネタの内容を堂々と書きながら、仕事だと言い張れるのは立派なものである![]()
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今回はまだまだ新曲ネタが続きます。(注7)
成田さんの曲を完成させた翌日、今度はBGMの特別追加録音が行われました。
通常、シリーズのBGMは、年間を通して2回に分けて行われるのですが、演出の要望で、BGMを1曲だけ追加で録音することになりました。
音楽の仕事をされている読者がいらっしゃれがば、BGMを1曲だけわざわざ録音することがどんなに制作費的に効率の悪いことかご理解いただけるかと思いますが、通常の番組では、まず考えられないことです。(注8)
しかし、そこはスーパー戦隊のためならば、ということで、思い切って1曲だけ録音することにしちゃいました。制作予算だとか、権利だとか、考えてる場合ではありません。(注9)
演出の要望です。戦隊音楽チームとしては、演出に音楽で不自由させるわけにはいかないので、後始末のことはさておき、(注10)えいやっ!と作っちゃうことにしました。きっと、このBGMが評判になって、アルバムの売り上げもアップして、お客様にも会社にも喜んでもらえことになるだろう、ということにしてとにかく録音に臨んだのです。(注11)
が、そのBGMのお題が、「本格的な京劇に使用されるような音楽が欲しい」という、これまた難易度の高い注文でした。(注12)
まず、「京劇の音楽ってなに」とういうところから始まります。会社に戻って色々資料をあさっていると、さすが音の百貨店コロムビア、アニメ部のお隣の学芸の部門に音源がありました。
この部門は、学校教育で使用される教科書に付随するCDの制作も手がけているのですが、(注13)昨年度の教科書改訂で制作された教材の中学校用教科書の中に、「世界の音楽」があり、その中に「京劇」とあります。まさかこの年になって、中学校の音楽の教科書で勉強することになるとは思いませんでしたが、これも仕事なので、一応教科書をちゃんと読んでみました。教科書なので、それなりの分量で解説が記されていたのですが、冒頭の「西遊記等がもっともポピュラーで」という下りを読み、「なんだ、西遊記なら知ってるや、堺正章さんがやってたやつだ」(注14)と思い、大体理解したことにして実際の音源を聞いて見ました。
すると、又頭の中が?マークで一杯になります。これは一体、どんな楽器で演奏されてるんだろうか、全く想像がつきません。とはいえ、もう時間も無いので、とにかく三宅さんに曲を発注しなければなりません。簡単な説明と、曲の雰囲気と、京劇であることを伝えると、三宅さんは快く引き受けてくれました。(注15)そして、録音に辿り着いたのですが、いつもミュージシャンの手配をお願いしているジェニュインの間宮さんから、電話がありました。なんとかって楽器があって、(注16)演奏できる人が中国の人に限られることと、通常の洋楽器のように簡単には録音が出来るものではない様子です。そんなこといわれても、作っちゃわないとしょうがないので、とにかく、中国楽器の奏者の方を手配してもらうことになりました。
そんなこんなで、辿り着いた当日、まず、弦楽器の京胡の奏者の方がいらっしゃいました。二胡という楽器は時折BGMで使用したりするのですが、それよりもさらに一回り小さい形をしている弦楽器です。しかし、なりは小さいくせに、その音の大きいことといったら、エンジニアの三浦さんも驚く位のものでした。
そして三宅さんが作ってきたバックトラック(注17)に合わせて演奏して見ると、なるほど、この間、教科書で聞いた西遊記の音楽のような雰囲気になってます。そして、その後には中華銅鑼の奏者の方がいらっしゃいました。通常の録音で使うものよりも小振りで、叩くと、「シャン! シャン! シャン!」と独特の音がします。この楽器も無事に録音されて、ようやく全体の仕上がりが見えてきました。
戦隊の仕事をしていると色々なことを勉強できるなぁ、と改めて思いました。このBGMも、これから番組内で印象的に流れると思います。放送をご期待下さい。
注7:珍しく仕事の話ばかりしているが、現場ではハホが働いているわけではなく、作家やスタジオスタッフが日々奔走しているのだ。ハホは、何をするわけでもなく、周りのスタッフが懸命に仕事を回しているのである
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そしてさらに録音三昧の日々は続きます。
次はイナズマです。(注18)こちらも色々な話があるのですが、そろそろ紙面も尽きてきたので、(注19)この続きは次回、ということにして、ビールを飲みにいくことにします。
では又次回をお楽しみに。
注18:戦隊じゃないジャン!!
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