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その中でも、特に重点施策として進めてきたのが、巨大ロボ歌の全種類の制覇です。例年、ロボの歌は番組の初期に作られますが、その後、数体のロボットが登場しても、テーマソングが全て作られることはあまりありません。そこで、今年はシリーズが始まるときに、全部のロボットに歌を作って、スーパー戦隊シリーズにゆかりの歌手に歌ってもらったら30作品記念に相応しい音楽のラインナップが揃うのではないだろうか、という宮葉音響監督の発案を受けて、東映・日笠プロデューサーと相談しながら制作を進めてきました。(CD1)
注1:チームで飲んだくれてる訳ではないのである。シリーズの仕事を仕込み終えたハホが、他の音楽スタッフがクライマックスに向かって全力疾走している時期に勝手に打ち上がっている様を赤裸々に書いちゃってるだけなのである。![]() ![]() |
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まず、シリーズの初めに「ダイボウケン」のテーマソングを宮内タカユキさんにお願いすることになりました。久しぶりの戦隊ソングへの登板にご本人もやる気満々の録音が行われました。実は、宮内さんは、僕がディレクターとしてスタジオデビューして初めて歌をディレクションした歌手です。ディレクターデビューといっても、まだほんの駆け出しで先輩のディレクターから「おい、八木! 今日は特別にお前に歌を録らせてやるからスタジオに来い」と言われ、「おーっ、俺もついに歌を録るのか」と恐る恐るスタジオに向かいました。(注2)ところが、スタジオでは、やはり素人がおいそれと出来るような仕事ではなく、すっかり舞い上がった僕は、宮内さんに30テイク以上も全力で歌わせた挙句、収拾がつかなくなってしまい、見かねた先輩からキューボックス(注3)を取り上げられてしまったのでした。とぼとぼとスタジオを後にしながら、当然自棄酒を喰らったのはいうまでもありません。(注4)ちなみに、その時は当時放映中のアニメーション「マッハ GO! GO! GO!」(CD2)の悪役の挿入曲の録音でした。興味のある方はソングコレクションがリリースされていたと思うので探してみてください。申し訳ありませんが、当然廃盤になっているのでお店では入手できないと思われます。(注5)それ以来、中々ご縁を取ることが出来なくて、ずっと心の中にトラウマとして存在していた歌手でしたが、今回改めてスタジオでお会いすることが出来て個人的にも大変嬉しかったです。| 注2:ハホにもこんな時代があったとは…ちなみにコロムビアスタッフの談によると、赤帽ドライバーからの無理のある転身でレコード会社に勤めるようになった当時は、すっきりとして体も締まった好青年であった、とのことである。10年という年月は人をこうもかえるのであろうか。 注3:ディレクターがブースにいる歌手に指示を出すのに使うトークバックスイッチ、業界でも業種によって様々な呼称が存在する。 注4:まさかとは思ったが、やはり入社当時からそういうことだったのか… ![]() ![]() 注5:中途半端な商品告知、大変申し訳ございません。とてもメーカーのプロデューサーとは思えない出鱈目な発言です。現在、コロムビアでは、このような埋もれる旧盤を廉価で復刻するシリーズを展開しております。あのレコードがCDで聞きたいという希望がありましたらどしどしリクエストをいただけたらと思います。 |
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そして次に登場したのが、「アルティメットダイボウケン」の歌です。このロボット、初めて玩具を見たときに、あれもこれも合体するので随分説明書と格闘しました。久しぶりに大型のロボットです。この歌は、キャラクターにも「究極」の名が施されているので、宮葉さんと相談してこちらも究極の手を使うことにしました。満を持して、渡辺宙明先生にご登場願ったのです。
いつもは作家への曲の発注は、日笠プロデューサーと宮葉さんとの打ち合わせを踏まえて、僕が行うのですが、今回は宮葉さんと一緒に先生のお宅にお伺いしました。宮葉さんも気合十分です。宙明先生とは「神魂合体 ゴーダンナー」というロボットアニメでご一緒して以来、時々作曲のお願いをしているのですが、先生はいつもとてもお元気です。今回も打ち合わせの時に驚いたことがありました。ロボ歌については、曲を発注する前に、八手三郎氏の仮の詞があります。この仮の詞に合わせて曲のイメージを作ってもらうのですが、僕が持参した仮の詞をプリントアウトした紙が、こすれてよく読めずに困っていると、先生が「なにかデータで持ってないんですか?」と尋ねてきます。
| 注6:本人が読んでないと思って大変失礼な物言いである。一体上司をなんと思っているのであろうか。とほほな部下を持たされた前山PDの苦労が忍ばれる。 | ||
余談ではありますが、イベントの音響制作に大変に宙明先生を尊敬しているスタッフがいて、ボウケンジャーの劇場版制作発表の時に、舞台上でゴレンジャーがボウケンジャーにエールを送り入れ替わるシーンで、出来立てほやほやのこの曲のメロオケをBGMとして挿入していました。後日、「ゴレンジャーがボウケンジャーにエールを送るシーンなので、宙明先生がボウケンジャーに参加したこの曲以外にはBGMが思いつきませんでした」と話していました。何百人もいる会場の中で、僕と宮葉さんと、あと数人のスタッフだけが感慨深く頷いた瞬間でした。(注7)
そして、この究極のロボソングに迎えられたのが串田アキラです。串田さんと初めてお仕事をさせていただいたのは、ハリケンジャーの時でした。当時、会社では、いよいよサンバルカンの串田アキラ、戦隊へ登板!と盛り上がっていたのですが、個人的には心の中で「ザブングル」みたいに録れるといいなぁ、と思ってスタジオに入ったのを覚えています。(注8)翌年のアバレンジャーではEDテーマも大ヒット曲になりました。戦隊シリーズには欠かせない歌手です。今回も重要な役どころでバッチリ決めていただきました。宙明先生も串田さんのボーカルには絶対的な信頼感を持っています。今回も作曲の時に「串田さんが歌うのであれば」ということでTOPのキー(注9)を決められたようです。
録音の時に、ご本人は「ちょっと高いかも…」(注10)とはおっしゃってましたが、マイクの前に向かえば、なんなく歌い上げてしまいました。流石です。
| 注7:大勢のスタッフが映画の成功を願って一生懸命働いている制作発表の会場で、考えてることはといえばこんなことである。そうでなくともスケジュールのことでみんなピリピリしているのに、呑気なものである。 注8:…宮葉さんの「このアニメヤロウめ!」の台詞が思い出される。 注9:メロディの音域の高いほう 注10:宙明先生が設定した歌のキー(音域) |
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そして、3体目に登場したのが「サイレンビルダー」です。これもスーパー戦隊シリーズではお馴染みだったMOJOさんにお願いすることになりました。MOJOさんとは、イベントやコンサートではご一緒することも多かったのですが、いままで歌をお願いする機会が無かった歌手で、始めての録音でした。シリーズの挿入曲の録音の時は、当然関係者が何人かスタジオにいらっしゃるのですが、今年のロボ歌の録音にはなぜか、いつも以上に人が多く集まりました。「この人、関係者だったかなぁ」と思うような人もスタジオにいて、「うーん、今のところはもっとゴ○グルロボの〜のところみたいな方がいいんじゃない?」等といいたい放題言って、そして録音の終わった歌手と記念写真を撮り、挙句の果てに古いCDにサインまでねだって帰って行くのです。なんだろうなぁ、と思いつつ、MOJOさんはニコニコと応対してくれていたので、録音は終始和やかな雰囲気で過ごすことが出来ました。(注11)
| 注11:ハホがそう思ってるだけで、決して関係者以外の人間がスタジオに出入りしているわけではない。みんな仕事でスタジオに来ているのである。 | ||
野中さんには、「マジンガーエンジェル」(注12)(CD4)ジャケットのイラストでも無理をお願いして大変ご迷惑をおかけしたのですが、迷惑ついでということで思い切ってお願いしてみたら快く引き受けて頂けました。しかし、歴代のスーパー戦隊ロボットを全て1枚の絵の中に収めて下さい、というオーダーです。おいそれと仕上がるものではありません。進行具合の様子を探る度に「いった〜い…」「またいった〜い…」とお皿を数える人のようなか細い反応が帰ってきます。(注13)絵が仕上がって、無事に納品された後に、「今回の仕事はとても大変でした。改めて30作続いているスーパー戦隊シリーズの重さを実感しました。」というコメントを頂きました。これは、CDに収録された楽曲も同じです。全4枚に収録されて、次々に登場するロボ歌の数々が、シリーズの30年を語るのです。読者の皆様も是非BOXを手に入れて、4枚のディスクを一気に聞いて、見てください。きっとシリーズ30作の重みを共感していただけるのではないかと思います。
![]() ![]() 注12:マガジンZ連載中の「マジンガーエンジェル」のイメージアルバム。なぜか架空の主題歌までが収録されていてスタッフの悪ふざけ全開のタイトルである。作詞:永井豪、作曲・編曲:渡辺宙明、歌:堀江美都子、のスタッフで(TVサイズ)と記された謎の歌が収録されているが、ファンとは本当にありがたいもので、無用の突っ込みが入ることはなかったのである。恐ろしいことに、現在、EDのTVサイズとOPのフルサイズを制作する企画が進行中とのことである。しかし中身は漫画のイメージアルバムとはいえ、宙明ファンには必聴のアルバム。 ![]() ![]() 注13:野中様、大変な仕事を引き受けていただいたのにこの書き様です。本当に申し訳ございません。 |
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ということで、30作を記念してロボ歌3部作を完成させ、これで今年もやりつくしたな、と1年を振り返ろうとした矢先に日笠プロデューサーから連絡がありました。「いよいよ、最後のロボットが登場します。巨大な戦艦がフォーメーションして巨大ロボになるのです。」とのことでした。まだ出るの?といろいろな想いが頭の中をよぎりましたが、もう後には引けません。(注14)宮葉さんと相談して、中川幸太郎がBGMとして作ったM204ダイボイジャーのテーマをもとに最後の歌を作ることになりました。急遽、ロボ歌3部作から4部作への変更です。
とりを水木一郎さんに飾ってもらうことにしました。最近では、「超忍者隊 イナズマ!」で主題歌をお願いしたのですが、それ以来の録音です。水木さんも変らぬボーカルで、「ダイボイジャー」を歌い上げていただきました。多分このお話が更新される頃にはテレビにも登場しているのでしょう。ちなみに、今年のロボソング4曲は、全て八手三郎氏から詞を頂くことが出来ました。オール八手三郎のラインナップも近年には実現できなかった試みです。八手先生にはお忙しい中、たくさんの無理を聞いていただき大変感謝しております。ということで、30作を記念するボウケンジャーですが、4つのロボットソングで、30作を飾ることが出来ました。スタッフの皆様、ありがとうございました。お疲れ様でした。本当は、今月はキャラクターソングについて書こうかと思っていたのですが、締め切りを大分過ぎてしまっているので、(注15)キャラソンについては次回に回すことにします。それでは次回お楽しみに。
| 注14:後にはって、もう少し先々の展開を見越して行動することが出来ないのであろうか 注15:S様、毎度申し訳ありません。締め切りが近づいて、なんとなく気にしている素振りを見せてるので安心してたら、又大幅にやらかさせちゃいました。本人にはまったく反省の色もございません。こうなれば何卒厳しい対応をお願いしたします。 |
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