今回はRicky!! 愛すべきRicky!!について書かせて頂きます。
彼との初めての出会いは、私がエイベックスに在籍している時でした。当時彼は、とっても人気のあるアーティストグループ「DASEIN」を組み、エイベックスからCDをリリースしているボーカリストでした。
私のエイベックスでの仕事の中には、アニメの主題歌やエンディングを交通整理する役割というのが随分ありました。どういうことかというと、新しいテレビ番組の話が成立すると、レコード会社に対して主題歌(OP)やエンディング(ED)の製作依頼が来ます。レコード会社では、それをオリジナル(その番組用に完全書き下ろしでして作る)でやるか、タイアップ(既に発売されている、あるいは発売が決まっている楽曲を当てはめる方法)でやるかを決めます。
その後、楽曲の作曲家・作詞家を決め、(大体はタイアップになり、楽曲は決まっていることが多いのですが)、担当してもらうアーティストが決定されると、会社内でそのアーチストを担当しているA&R(Artist And Repertoireの略:そのアーティストの楽曲製作から販売戦略までコーディネイトする、映像で言うところの監督とプロデューサーを合わせたような役割)と連絡を取り合いながら、音源やアーティストの写真の手配などをやるわけです。
「交通整理」の仕事自体は、大体はその担当のA&Rとの連絡で事は済んでしまうので、アーティストの方と直接会ったりする機会は少なく、録音現場やプロモーションビデオの撮影現場に出かけて、アーティストと直接ご挨拶させてすることは、ごくまれなことでした。
なので、仮面ライダー剣(ブレイド)のエンディング曲「覚醒」の製作現場でRickyに会った時は“エイベックスのアーティストだ!”というような、ちょっといつもとは違う感覚を感じたのを覚えています。
しかも、特撮番組使用楽曲を初めて歌うボーカリストとして、関係者に説明や挨拶をしていかなければならないのですから、彼にとっては相当勝手が違っていたと思います。私も、契約やら、社内調整やら、番組制作チームとの意見確認やら、普段、アーティスト部門で仕事されている方々には聞きなれない条件や慣習を説明したりして、かなり気を遣ったことを覚えています。
でも、彼の歌を聞いたとき、その気遣いは全て吹っ飛びました。「おっ!! なんと、上手!!」とビックリさせられたのです。
例によって私のディレクション(最も良い状態のものをほぼ一発録りする)ですから、ボーカル録音は1.5テイクで終わったことを覚えています。
何にも言うことがない・・・。本当に、とってもうまかったのです。
“こいつ、出来るな”と思い、一方で“さぞかし、プライドの高いやつなんだろうな”と思い、ちょっと、警戒しつつ、録音終了後に「打ち上げ」と称して、自由ヶ丘に呑みに出かけました。そしたら、これまた、予想をすっかり裏切られました。全然お高くとまった人間ではなく、とても気さくでアッタカイいいヤツで、僕がその頃着けていた、ちょっと近未来的チックな安めの時計をジッと見ているので「これ、好きなの? ならあげるよっ」と言ったら、「ホントッスか!!」と心から喜んでくれた様子でした。それ以来、彼のライヴを観にいくと必ず着けてくれていたのが、その気持ちの証拠でしょう。まだ、使っているかなぁ。
そんなわけで、(いつも感じることではありますが)“すごいやつは何にも飾らない、気取らない、でも、実力は隠し様なく、フット出てきちゃうんだな”とシミジミ思いました。その後、彼は「RIDER CHIPS Featuring RICKY」として、仮面ライダー剣(ブレイド)のセカンドエンディングを担当し(いわずと知れた“ELEMENTS”)、仮面ライダー楽曲史上最高位(オリコン第6位)を達成するという偉業を成し遂げ、更にそれまで特定のボーカリストを立てずに活動していたRIDER CHIPSに正式なボーカリストとして迎えられたのです。きっと、あの素敵なメンバー達と、相変わらず楽しく、素敵な音楽を作っていることでしょう。私にとっても、またどこかで一緒に仕事をしてみたい、素敵な歌い手さんなのです。
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