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今回はやはり思い出深いプロデューサーの一人である日笠 淳プロデューサーについて書いてみたいと思います。
日笠さんとの出会いは前回お話した高寺プロデューサー(東映)と同時期でありましたが、僕が『激走戦隊カーレンジャー』を担当することになった時、当時同僚だった熊田和生氏(現コロムビアミュージックディレクター)が「宇宙刑事シリーズ」のワクで放送される『ビーファイターカブト』を担当することになって、それぞれの作品におけるプロデューサーと打ち合わせすべく一緒に東映にお伺いした時に『ビーファイターカブト』のプロデューサーである日笠さんにお会いしたのが最初だったような気がします。もう十年近く前の事なので確かな記憶ではありませんが。その後、私自身が最初に日笠さんとお仕事をする事になったのが『未来戦隊タイムレンジャー』です。 |
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日笠さんはその人柄からか、皆さんから尊敬と親しみの気持ちを持って『ひーさま』と呼ばれています。とても穏やかで、優しくて、そんでもって、少し頑固で、で、独身で(歳がいくつなのかはもう忘れました。とにかくこの10年くらいはずーっと独身です。)最初にお会いしてから現在もイメージの変わらない日笠さんですが、最近、お互いにちょっと、っていうか、かなり?お腹がでてきたかもしれません。 |
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日笠さんの思い出の一つには、先ほど挙げた「見かけによらない頑固さ」があります。自分で理解するまでは絶対に納得しないのです。日笠さんとは合計5年ほどお仕事をする事になったのですけれど、驚く事に、最初は全く読めなかった楽譜を、この5年の間にご自分で勉強して、読めるようになっていた事でした。私達音楽ディレクターは作曲家から主題歌などのデモテープが送られてきたりすると必ずメロ譜(メロディー楽譜)を見ながら、どこがいいとか悪いとか分析をするのですが、通常東映のプロデューサー達は曲を聴いた感想を述べるにとどまり、特に楽譜をみて指摘をすることはないので、私たちは彼らの感想を取材して作曲家にダメ出しをするのが通例ですなのですが、日笠さんは楽譜も頂戴と必ずおっしゃるようになっていて、その箇所を分析しながらダメだしをされていたのがとっても印象的でした。「ひーさま、学んでしまったんだぁ」って感じでした。『ひーさま』は自分で理解して納得して打ち合わせを行う方でした。その、学ぼうとする姿勢と、理解してしまう能力には何度となく頭が下がる思いでありました。 |
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もう一つ、日笠さんとの強烈な思い出は、日笠さんの御自宅に伺った時の事です。正確に言うと、ご本人は不在だったので、玄関の扉の外から、新聞受けから、玄関の靴が並べられている土間を覗いた時の事です。
その日、僕は作曲家から出来上がったデモテープを受け取り(確かタイムレンジャーの主題歌だったでしょう。作曲は亀山耕一郎さん)テープを聴いて頂くために(もう発売までに全然時間がなかったので)自宅まで押しかけて確認をしてもらわなければならなかったんだと思います。当時、携帯電話なんてまだなくて(皆さん信じられないでしょう!)「今日の夜自宅に届けるから聴いたら夜中でもいいから電話ください」と朝、約束をしたものの、そのまま連絡が取れなかったので、日笠さんの、「もしかしたら、自宅にいないかもしれな
いが、自宅に電話しながら来てください」との言葉に従って、何度か留守電状態の日笠さんの自宅電話にメッセージを入れながら御自宅に向かったのです。予想通り、やはり日笠さんはご不在で玄関のチャイムを鳴らしても反応がなく、建物の入り口にあるポストにデモテープを入れようとしたら中が一杯で入らない。覗いてみるとピザ屋や弁当屋のチラシ。ダイレクトメールの類があふれいるわけです。大事な大事なデモテープなので、紛失したり、日笠さんが気がつかなかったりするとマズイと思い、さっきチャイムを押した扉に行って、扉の中央下に開いている新聞受けの蓋を開けてそこから投函しました。 |
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で、これが先ほど申し上げた“土間を覗いた”状況でありますが、投函した封筒を確認しようとその蓋を開けて覗いて見ると、室内からのほのかな明かりで土間の状態がうっすらと見え、私が投函した“デモテープの入った封筒”の存在もぼんやりと確認できたのですが、その下に、何かが、見える・・・何だろうと目を凝らしてみると、大量の靴であったわけです。10足以上あったかな。一瞬、「ひーさまって独り暮らしだよな、家族がたくさん同居?」とか思ったのですが、全部男物だったので、全部『ひーさま』の靴なんだと理解をして扉を離れました。 |
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その後、電話で話をして、心配していたテープは帰宅された『ひーさま』に無事発見され、事無きを得たのでありますが、その時、チラシであふれているポストの事を申し上げると、半年くらい開けていないとのこと。「10足の靴」問題に関しては、以前妹さんがいらっしゃった時にその状況を見て、玄関で帰られたとのエピソードを語られ、「そうですか・・・」と絶句するしかなかった別な意味での頑固さ(?)を垣間見た事を思い出します。懐かしい思い出です。 |
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尊敬すべき『ひーさま』は様々な面を持っていらっしゃいますが、日夜子供たちのために素敵な番組を制作されています。僕の『ひーさま』との最新のお仕事は現在放送されている仮面ライダー剣(ブレイド)でありますが、また、大好きな『ひーさま』と楽譜をみながらご一緒出来ればと思っております。 |
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『ひーさま』、これからもよろしくお願いいたします。 |
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東映株式会社プロデューサー。主として30分連続TVドラマの企画に関わる。「爆竜戦隊アバレンジャー」まで5年間スーパー戦隊シリーズを担当の後、今年「剣(ブレイド)」で仮面ライダーシリーズに初参画。それ以前の担当作に「星雲仮面マシンマン」「巨獣特捜ジャスピオン」「魔法少女シリーズ」「重甲ビーファイター」「ビーロボ
カブタック」など。S33岡山産。 |
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本地大輔(ほんじ だいすけ)
1963年大阪生まれ。東京芸術大学音楽学部器楽科チェロ専攻卒。日本コロムビア入社。avex音楽ディレクターを経て、現在は(株)インターチャンネルに所属。戦隊から仮面ライダーまでテレビ等の中で使用される数々の楽曲のディレクションを行う。クラシックへの造詣をバックグラウンドに持ちながら、自らが求める「音による幸せ」を具現化しようと日夜奮闘中。不惑を全う出来ない40歳。
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