写真撮影をお願いするべく屋上に上がるや、渡さんが懐かしそうにこんなお話を。
「ここだったなぁ……ここでシャリバンのオーディションをしたんですよ。ちょっと動いてみて、みたいに言われて。えっ……何やればいいんですか? なんて感じでしたね」
その場でオーディションを受けたのは渡さん一人だったということなので、オーディションというよりも、主役決定への確認面接といった感じだったのかもしれませんね。そして、19歳にして番組の主役に抜擢された渡青年の、ヒーローとしての活躍が始まったのです。
そんなお話を伺いながら、写真撮影をビシ、バシッと決めていただいて、いよいよインタビューに突入です!
まずは、小さい頃はどんなお子さんでしたか?
「そうですね……やっぱり特撮物は好きな子供でしたね。『ウルトラマン』から始まって、『仮面ライダー』ですね。あの当時は藤岡弘、さんに憧れてましたね。ふつうに仮面ライダーごっことかしましたよ。ごっこ遊びといえば『キイハンター』も人気がありましたから、だれが千葉真一さんの役(風間洋介)をやるのかとか……でもだいたいは川口浩さんの役(吹雪一郎)になってしまうという(笑)。その役をとられちゃうと、谷隼人さんが演じていた“坊や”(島竜彦)の役を選んでましたね。まぁだいたい千葉さんの役は近所のガキ大将がとっちゃうという感じで……」
役者の道を目指したのも、そういった作品の影響は、やはり大きかったのでしょうか?
「やはり、子供の頃に受けた影響は大きいと思いますね。番組的には先ほどの3作品は、やっぱり特に大きかったと思いますよ。そして中学生になって、岩崎宏美さんのコンサートを観る機会があったんですよ。自分は前から4列目くらいで観ていたと思うんですが、振り向いてみたら、当時ハイティーンだった彼女の舞台を観て、大人を含めた3000人くらいの人たちが熱狂してるわけですよ。そんな、大勢のお客さんを目の前に一人で歌って、熱狂させている女性の姿を目の当たりにして、自分もあの舞台に立ちたい! と思ったんですね。それがきっかけなんですかねぇ……。じゃあ、歌手を目指そうか、なんて考えたんですけど、歌に自信はないなぁ……なんて思って(笑)。芝居の方で何かできないかなぁと思っちゃったんですよね。それで、どうせなるならアクションの出来る役者になろうと考えたんですよ。何かひとつ特技があればと思って。その頃はアクション俳優といえば千葉さんくらいしかいない時代でしたし、倉田保昭さんが『Gメン’75』に草野刑事役で出始めたくらいの頃でしたから……そういった事などが、この世界に入ったきっかけですね」
なるほど。一人の少女が観衆を魅了する姿に感動したということですね。それに昭和30年代中〜後半の世代って、物心ついた時に第一次怪獣ブームとか、アニメの放映がテレビで始まったりとか、もう色々刷り込まれてますからね。この世代が一番メディアにおけるあらゆる“ブーム”というものを体感している世代だと思います。ですから、好きが高じてそれを仕事にしてしまっている人もいるわけなんです。そういった意味では、キャラクター物やアクションドラマを観て、アクション俳優を目指したという渡さんは、この世代の代表格とも言えるわけで、しかも、見事に主役を演じたわけですから、これはスゴイ! 願いってかなうんだな……という、正に典型というかお手本なのです。
……そして、渡さんは、高校卒業と同時にJAC(ジャパンアクションクラブ:現JAE=ジャパンアクションエンタープライズ)の一員となられるわけですが、その経緯は?
「中学生の頃だと思うんですが、志穂美悦子さんの特集をしていた雑誌があったんですよ。“千葉さんに憧れてJACに入ったら、JACにはクマさんがいっぱい居る。みんなクマみたいだ”って書いてあったんですよ。熊? どんな人たちなんだろうってすごく興味がわいちゃったんです。千葉さんは知ってるけどJACって何だろうって思ったんです。それに“千葉さんに憧れてファンレターを書いたら、じゃあ東京に来なさいという返事があって、それで出てきました”ともその雑誌に書いてあったんです。だから、それを真似してボクも千葉さんにファンレターを送ったんですけど、何も返ってこなくて(爆笑)。なんだ、返事なんて来ないじゃないか! とか思ったりして(笑)。それに中学と高校の修学旅行が京都だったんですけど、中学は無かったんですが、高校のときには東映の太秦撮影所が見学コースに入っていたんですね。それで、太秦(撮影所)に行くので会ってくれませんかって、また千葉さんにファンレターを出したんです。何日の何時に日本橋の前で! って書いて。待ってましたよ。来るわけないのに(爆笑)。でも、その時はちょっと期待して待ってみたんですよね。ファンの勝手な思いこみですよね(笑)」
でも分かるなぁ……そのファン心理。自分が送ったファンレターって、何か特別な感じがするんですよね。期待してしまう気持、分かります!!
「まぁ、そのファンレターを見て頂けたかどうかは分からないんですけど……ちょうど『影の軍団』が始まった頃だと思うんで、千葉さんもメチャクチャ忙しい時期だったかな……と。JACに入って、千葉さんと毎日一緒にいられるようになって、これだけ忙しいんじゃファンレター読んで、会いに行ってる暇なんか無いよなっていうのは、当たり前のようにすごく分かったんですけど(笑)」 |