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オルフェノクか。懐かしくも空淋しい響きだぜ小人さんよ。
そう呼ばれたのはいつ以来か。しかし……
こんな遠方の地で、俺の正体をばばんと当てられるなんておかし過ぎる。
たとえグローバルなおのが海堂人氣であったとてである。
それに、狙われるとしたら木場である。間違いない。あいつすげえ威張ってたし。
ちなみに俺の携帯料金はやつに払って貰っていたから、
その後差し停められてからというものやつとの連絡が取りようもない。
あいつ元氣でやってんのかな。
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「おおうそうよ。いかにも俺様がオオカミフェノク。ウルフェノクだ。文句あっか」
すると「あんたヘビだろう?」と小人達はくいぎみに返して来た。おもっきり動揺
する。愛がない。ブラフがボケになる瞬間のダメージは想像を超えてきた。
「なーんちゃってーなんちゃって。そうそうヘビヘビ」こうする他ない。
張り詰めた対峙中にボケていくっていう、すげく強い人物像の演出に急遽変更。
以降込み入るので、俺→蛇。小人(赤色1号)→赤。小人(青色1号)→青。
赤・青「オオカミってあんた。。そもそも最終回は観たのかい」
蛇 「なにっ」
赤・青「全国ネットだぜ」
蛇 「なにっ。それはグローバルか!?」
赤・青「それについては東映版権部が目下海賊版の処理に日々奮闘しているのだ」
蛇 「なにをっ」
赤 「それはさておき、結花様については実に惜しかったなぁ」
青 「まぁホントだなぁ」
赤 「お前何ファン?」
青 「え?トシキ」
赤 「突いてくるねー。いきなり突くねー」
青 「突くさ。お前はシラクラタケベ派ウツノミヤ?」
赤 「ハマダ派」
青 「くるねー」
赤 「Dは?」
青 「Dってディレクター(監督)?」
赤 「そうそう」
青 「きた?」
赤 「きたよ」
青 「それは映画版も含め?」
赤 「EDスポットも小学館ビデオも」
青 「含む?」
赤 「含むさ」
蛇 「……あいっ!」
赤・青「?」
蛇 「……」
赤・青「え」
蛇 「え?あ、いや」
赤・青「なに」
蛇 「いやぁ、おまお前らさぁ……むぅ無視すんなよ」
赤・青「なに」
蛇 「いやぁいやいや別にいいんだけどさ」
赤・青「お前よう、ファイズクイズだしてみ、即答だから」
蛇 「は?あーそう。え?ええっとあ、俺様は何の楽器奏者だった、でしょう?」
赤・青「シタール?」
蛇 「なにそれ」
なにそれ。
ひどい。ひどいよ。
緊張感溢るる戦闘に、緊張感なしの呈で望む。まるきり俺の専売特許じゃねえか。ジ
ャスラック呼んでこい。1年かけて築いた流儀を、それをまぁこんなにまぁ。
キレた。
しかし人はよるべない屈辱の前には脱力してしまうのか、全く力が入らない。とにか
く、氣持ちを立て直そうかというところに聴き覚えのある「どん」という音がした。
したのはいいが期せずして俺の眼前にいきなり床が迫って来た。違う、どっちかって
いうと逆。これは俺が床に迫っているのな。あらそう俺やられたの……見事。
見事にハマった奴らの戦法。言うなれば俺の戦略である。
ようし、俺の人生間違っていなかった(←拡大解釈)。
こんなことなら戦国時代に産まれたかった(←三段論法)。
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ゆっさゆっさ。ゆっさゆっさ。
収穫したバナナを男達が村まで運ぶ音が遠くから聞こえてきた。
少しずつ意識がはっきりしてきた。するとバナナも男たちもそこにはおらず,俺が小
二人に担がれて運ばれている音だった。こういう場合すぐには動かずに、「しばらく
様子を見る」のがプロである。同時に、そんなことを考えつつある自分のクールさ加
減に安堵も得た。彼らの担ぎ上げ運動のタイミングを見計らい、指先、手首、足を少
しずつ動かして身体の無事の確認作業を行った。蹴り込まれたみぞおちがまだひどく
痛むが、全体的にとりたてて深刻な問題は感じなかった。
とりわけ手足を縛られている訳でもないので、そうなるといよいよ次ステージである
「脱出」がやおらそこに控えていた。が、それにしてはお腹が痛すぎるので、すぐに
はなんだか動きたくない氣持ちでいっぱいになる。
「あのぅ、もうちょっとこのままでいいっすか?」
「うふん、いいわよ」架空の保健の先生が優しく微笑み返す。
先生、スネ毛濃いっす。そんなやりとりもままあって。
さて、俺は息を潜めてもう暫く辺りの様子を伺うことにした。
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えっさほいさえっさほいさ。
そんなに元氣に運ばなくてもいいんじゃないのだろうかと疑問を抱いたがこの際質問
はぐっとこらえて景色に集中する。俺は両肩両足を支えられた胴上げ状態なので、両
手はぶらんぶらんとしている。流れに身を任せ過ぎると時々小人の脇の下を擦ること
になる(かなりやだ)。
さらに俺の顔は右向きのまま動かせない感じである。眼球の可動範囲の狭さもどかし
い。そんな中ではあったが、屋根があることは確認できた。けれどもここは吹き抜け
る風もやたら感じるのだ。どうやら四角いトンネルのような長い建物を進んでいるよ
うであった。
壁の側面は地上から5メートルくらいの高さでくり貫かれて鉄柵がはめられている。
次世代の馬小屋とでも形容できる「部屋」が等間隔で続いていた。そしてその中に、
数多くの「子供」が閉じ込められていたのだった。反対側は確認できないが、おそら
く同じような牢屋的なものがあるのだろう。それは声で分かった。
子供達は「きゃあきゃあ」元氣いっぱいだった。心配無用か?察するに捕獲されてる
身であるはずなのに、子供はいつの時代もたくましい。
だが、ひとつだけひっかかることがあった。彼らがここにいる理由を考えるより先に
その「きゃあきゃあ」具合に疑問を持った。
俺が動物園の「動物側」的立場に置かれている筈なのにたいして、子供達の「きゃあ
きゃあ」が向けられているのは、俺を通り越したもっと奥。つまり俺が今運ばれてい
る中央通路の反対側の、いわば確認できない側に「きゃあきゃあ」の対象があるらし
かった。事実「それ」側に幽閉されている子供達の反応は「え?こっち側?」「とな
り?隣になんかいる?」という、明らかな温度差がある。しかし共通して「それ」に
たいしての反応は、少し過剰なほどであった。うお観てぇ……。パンダさんかな?何
クマさんかな?そんな好奇心は次の瞬間、露ともなくなった。
「ぎえええぇおぉぉぅ」まぁ文字にするとこんなもんか。
声の大きさから音の衝撃波から、もうなんかとんでもないものが頭の後ろで吠えたの
だ。さらに、いきなり先生が怒鳴リ出した時のような子供達のよるべなき静寂が余計
に「見れない猛獣」像を巨大にする。お前ら黙んな!
観たくねぇー!なにいんのっ?これはコアラじゃねーな!
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その時、怯える子供達の中の一人と目が合った。しかしその子はすぐに奥の方へと視
線を移した。みんなの視線はかなり上だから、多分やっぱでっかいんだ。
続いて2度目の「げええぇっいっぃっ」「ひゃーっほほほう」後の方は俺の心の声。
するとちょっと先の方で「びったーーん」虫の鳴き声が伝染呼応するように、別の
「ナニか」がさらなる沈黙を破った。その時またあの子と目が合った。が、すぐ奥を
見る。で、また俺を見た。といってもこちらはえっほえっほと移動しているので、そ
の子の視線は流れで「切れて」しまってなんだかよく解らないまま過ぎてしまった。
しかし、その「見比べ」とも取れる視線移動の意味をなんとなく考えるだに、
「あら俺エサかな?」という過程計算式無視のズバリ解が脳裏を過る。
やばいっっ!!
逃げ出そうにも長いことじいっとしていたので、なんかタイミング?がなんか正直分
からない。そうこうしていると更によく分からない。
よしイクか?いや俺待て!あぶねぇ急にやめんなよ俺。がひたすら続く。
人のマリオのプレイを見ながら、もやもやする感じ。…ちがうか。ただ、今逃げ出せ
たとて、この弱った身体ではすぐに小人に追いつかれ、また「どん」で意識のないま
ま「たんとお食べ」への流れは目に見えていた。眼前に迫る猛獣のむしゃむしゃ加減
に対するそれは、意識があったにせよの痛みと、ないにせよの痛みの……う〜ん、
もうそれは好みの問題であった。やいやいや!いずれにしても未来はない。。
どうする俺!つづくーっ!続きはWEBで!いやこれWEB!!(くだらない)。
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くだらない。
くだらないが現実とはすなわち、その中に見い出す危険度との攻防なのである。
昔、腐りかけのモモに文句を言う俺に、母親はよくこう言った。
「腐りかけが一番美味しいんじゃないの」
そして身をもってしてそれを証明せんと、彼女は実践に移す。
嘘だった。
20分後彼女は激しく「くだって」いた。
そのようにして子供は「くだらない」ための術を身につけてゆくのだ。
くだらないけど面白い。くだらないけど金になる。その中で僕ら、生きてるんじゃん
(トレンディ俳優)。しかして目下俺に至ってのくだらなさは、「つづくーっ!」と実
際に声に出して「言っていた」ことにある。びっくりしたのは小人達だった。
「続くの!?」
と、2匹はびたんと俺を投げ出した。すごい痛いじゃない。こんなんで相当痛いのだ
から、食べられちゃうなんて多分もっと痛い。このカードで正解。(まだやってる)
「てめぇ!氣がついていたのだな!」
ものすごく間抜けなセリフであるのだが、小人達は本意氣である。
そこにちょっぴり「ずうっと重かったんだぞぅ」というニュアンスが込められていた
分、真実味が濃い。俺体重何キロらっけ。そんな同情やるかたない思考を巡らせてい
る2〜3秒を、あろうことか俺は体育座りの状態で無駄に過ごしてしまっていた。
なので「別に意識はありませんでした。寝言です」で済ませる道を自ずと断ってしま
っていたのである。間髪入れずに2匹は勢いよく飛びかかってきた。悲劇が始まった
のだ。
おなか痛ーい
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郷に行っては郷に従え。
そこ相応に、雰囲気あるよ。という意味だ。
国語の先生も社会の先生も、あの保健の先生も言っていた。
彼らの執拗な指針矯正はいずれ、僕らが社会に出るだに発揮されるのだろう。
そう思っていた。
しかし、道を尋ねてくる外国人は日本語喋る氣全くないし、あわあわしたって英語で
押し通してくるし。それでも頑張って英語でつなぐと、なんか笑うし。サークルの先
輩は十年経っても威張ってるし年下のくせに。
でも、俺はあれだけ先生が言っていたのだから、いつかそのベクトルが抜群に「効い
て」くると信じて疑わなかった。
果たしてさしものこの牢屋の通路では「走るってはいけない」というルールが効いて
いた。非難訓練の三つの「ない」、「押さない」「駆けない」「死なない」にもある
通り、廊下はやたら走るものではない。
そこを小人達は走った。
それが致し方ない走りであっても教頭と猛獣に「郷」はない。
そして、この機敏な物体移動を動物的反射が見逃す手はない。
耳をつんざく破壊音。
濃く砂煙りがあがり、ことの次第を見とれるまでにはしばらく時間がかかる。暗中模
索。ここでアントユー茂作?という古典が浮かんだのは言うまでもないが、遠ざかる
子供達の声と足下に飛散し続ける小石で、以下のポイントを抑えた。
「びっくりした猛獣出ちゃった」と「鉄格子、子供は通れるサイズだった」
要するに「鉄格子意味なし」そして「俺まだ無事」以上の4点。
けれども「俺まだ無事」に至っては今後それを脅かすだろうものがじわりじわりとや
がて開ける視界の向こうに見え隠れしていた。それは著大なシルエット、それを
さらに凌ぐもうひとつの猛獣シルエット。エサを取りに行き放題になった自由の象徴
シルエット。君、世界はエサで溢れて候。
俺は目を凝らす。
煙が目に滲み呼吸もろくにできないけれど、そいつらの次の動きいかんで俺の人生が
大きく変わってくるのだ。頼まれなくったって頑張る。
つまり、俺は人生に目を凝らす。
もちろんそれでも人生なんて見えやしないし読めもしない。まるで見当がつかないん
だ。いつだってそうだ。そうじゃなかったら涙の価値が値崩れを起こす。人生とは、
「え?」の千本ノックだ。理解する前に、え? 納得する前に、え? それが早いの
なんの。
時々その豪速球にマジックで何が描いてあるかを読めるやつがいるけども、少なくと
も俺には見えたためしがない。見えたとて次の瞬間顔面キャッチだ。鼻血ぶーだ。
だから…、目を伏せた。ケガが恐くっていつもいつも目を伏せた。
選手交代?それもしょうがねえ。感情に従っていたら鼻血ぶーだよ。それより早く帰
ってラーメン食ってる方がまだ俺の人生温度は暖かいんだ。
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・
・
砂煙りの中で大きな二つのシルエットがゆっくりと倒れていくのを見ながら、俺はそ
んな事を考えていた。今まさに目の前から脅威が去らんとする中、全身に走ったのは
「安堵」ではなく「失望」に似た虚脱感だった。
えー?
俺は訳が解らず目を伏せた。
なるほど。
俺は馬鹿みたいに、昔送り出したはずの二匹のペットに猛獣を重ねていたのだ。
いつも心の何処かで,二匹を探していたのだ。いる訳ないじゃん。こんなところに。
ホーちゃんはアジアの何処かで伴侶を見つけぬるぬるくんは南の島に追いやった。
でも、、
ずうっと昔,二匹が海の上でじゃれている時に俺の大事な帽子を無くしてしまったこ
とがあった。その時は随分ムッとしたが、夜通し海に潜って帽子を探す二匹の姿に、
「いつか見つけてくれればいいから」と許した。
俺は,俺はそれをもしかしたら覚えててくれたらいいなって、
いつか二匹が帽子を持って現れるんじゃないかって、正直思っているフシがある。
ズルズルと。だせえな。。。
…はっとした。
ぼろぼろこぼれるこいつは別に涙じゃねえ。痛いから!柄にもなく頑張ったから目に
なんか入ったの!猛獣は猛獣だ。そして別れは別れだ。生きてるヤツは生きてるし,
死んだものは、…ないものだ。
そう。俺はここで「生」に執着した。
生きたいからゴロゴロ小石がうるせーけれども、目を開けていたんじゃねえか。
なるほど、まだまだだ。「痛くて泣いた」いいねぇ。生きてる感満載じゃねえか。
生きて未だにどっぷり人生に足踏ん張って立っている。鼻血もまぁだ出ちゃいない。
涙は最後にとっとくさ。
なんか、これじゃ泣いてもしょうがねぇって言える最高のやつ。
ここまで来たんだもうちょい生きてみようと思う。この、氣持ちゃーりー人生。
俺はもう一度、目を凝らす。
すると、わりと近いところで意味なしの鉄格子に挟まりもがくMr.バルーン。
……お前って、なごむなぁ
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