
30代でも大丈夫、実績がある『仮面ライダー』シリーズですから。
「細川茂樹さんですよね。大人の男で、カッコ良かったです『響鬼』。『555』も好きでした。若干今の『カブト』にテイストが似ているというか。オルフェノクとネイティブとか何か共通点みたいな物を感じて好きで、たまにDVD買って観たりしてました」
なるほど、ライダーのベルトのシステムを巡るストーリーなど、多少オーバーラップする所があるのかも。とは言え、剣はちょっとライダーシステムのストーリーとは少し離れていたようだが…。
「まあ、僕はあまり本編には関わらなかったんですけど(苦笑)。サイドストーリーを駆けめぐって居たんですけど、でも剣は最後『全てのワームを倒す』って言ってワームを集結させて…カッコ良かったなぁ。彼はカッコ良かった」
と、剣に惚れ惚れする山本さん。そして迎えた最期の時。いえ、最後の時は満足のいく物だったのか?
「そうですね。じいやの元で眠れたので。岬さんにも気持ちが通じたし良かった感じでした。でも、僕オンタイムで観れなくて、マネージャーさんの家で一緒にビデオで観たんです、涙を堪えながら。放映の後は、おかんから電話がかかってきて『お父さんたら、もう3回位泣いてるよ』って。『今日が3回で、トータル15回泣いたよ。ちょっと、どうにかして』みたいな(笑)。おとんに代わってもらって『もう、観るなよ、恥ずかしいだろう』って(照笑)。本当、おとんはミーハーで」
と、照れる。感極まって泣いてしまうお父さんなら、随分応援してくれただろう。
「今は超応援してくれているんですけど、最初はあんまり乗り気じゃなかった、やっぱり心配だったみたいです。でも、今は多分一番の理解者であって、一番のファンですね。おかんは、おとんをクールにおだてる感じなんです。おとんはもう、駆け上がりますからね。実家に帰ったら仮面ライダーサソードのフィギュアをいっぱい持ってきて『これにサインして』って、息子のサインを求めるんですよ(笑)」
と、照れながら両親に感謝する。どうやらお父さんはキャラクター物がお好きらしい。
「もう大好きで。フィギュアを集めてて、仮面ライダーも普通に好きなんです。だからおとんの誕生日に歴代仮面ライダーのフィギュアを全部買って、ドン!ってプレゼントしたんです。すごく喜んでくれました。バンダイさんからオモチャを、サソードグッズをもらうと1個位は部屋に飾って、他はおとんにプレゼントしてます」
と、親孝行。もちろん『カブト』出演が一番の親孝行だったのだろう。一番に喜んでくれたと言う。
「もう就職が決まっていて、それを断ってこの仕事へ転向したので、親としては心配だったみたいなんですけど、やっぱり『カブト』に出て安心したみたいで、今は応援してくれています」
就職が決まっていた? そこの所、もっと詳しく教えてもらおう。
「高校3年の12月頃に『JUNONスーパーボーイ・コンテスト』があって、そこで準グランプリ賞を頂いたんです。でも、その時就職も決まっていて。だけど、高校卒業と共にその就職を蹴ってこの仕事に就いたんです。『カブト』は仕事を始めて2ヶ月位で頂いたお仕事だったので、本当に右左も分からないまま撮影現場に入って、かなり戸惑いました。僕が何も知らないなんて周りは分からないじゃないですか、だから結構業界用語とかいっぱいって感じで接してくるから…。もう、右も左も分からない状態だったから、周りが敵に、最初は助監督さん達が悪魔に見えちゃって(苦笑)。『山本君早く早く!』『え? え? え?』みたいな感じで、大峯(靖弘)助監督が悪魔に見えました(笑)。今では、たまにテレビに出たりすると『山本君、よかったよ』ってメールが来るんですよ。『ありがとうございます』って返して。だからいつか大峯さんが監督になったら、『仮面ライダー』に使ってもらおうと、ぼっちゃま役で使ってもらおうと思ってるんです」
まさにずぶの素人状態で挑んだ『カブト』の撮影現場。それ故の苦労も多かったようだ。だが、その『カブト』を始めその後もドラマが決まったりと、とんとん拍子である。
「でも、全然まだまだで。求められている演技だとか発想だとか、そういうのがまだ上手くできないから悔しいですね。自分に期待してくれて出させてもらえるのに、まだ自分の中では未完成な状態だから、早く一人前になってみんなに観てもらえるような立派な良い演技が出来たらいいなって、毎日日々研究しているんですけど…(苦笑)。頑張らないといけないですね」
と、とても謙虚で前向き。頑張っているのだ。そんな彼にこの『カブト』での色々な経験は、大きな自信に繋がって行くはずだ。
「今、テレビ朝日の深夜ドラマ『パズル』に出させてもらっているんですけど、そこのスタッフさん達がみんなライダーファンだったんですよ。僕がびっくりしたり、怒りを出すようなシーンがあると『剣だ、ワームになる』って(笑)。そんなにライダーの演技が抜けてないかな?って思って、オンエアを観たらこれこそ仮面ライダーだって、そういう表情しているんですよ(苦笑)。この前は『パズル』の現場で、ちょっと剣っぽくやっちゃったんですよ。そしたら『山本君、もうちょっと抑えて』って。でもそれって結構抑えてた演技だったんですけどね(笑)。『カブト』では『もっともっと』って求められてたから。『カブト』の剣という役であれだけハイテンションな役をやったから、今は楽なんだなって。(テンションを)落とすほうが結構楽ですから」
と、早速『カブト』の経験が活かされていた。
では最後に『カブト』は山本さんに取ってどんな作品だったのか伺った。
「デビュー作であると同時に、これから色々な作品に出会うと思うんですけど、僕の俳優人生の中で忘れられない作品であると思います。周りの人達の支えとかがあって、剣もどんどん成長して行ったし、山本裕典としても成長出来た作品で、本当に心に残っていています。心から『カブト』のキャスト、スタッフ、みんなにありがとうって言いたいですね。絶対一生忘れない良い思い出の良い作品です」
と、しっかりとしたコメントをくれた。
この後には最後のトークショーが控えている。壇上でその熱い想いが伝わるといいのだが…。
「熱い想い、上手く言えないんですよね」
と、苦笑する山本さん。彼の成長はまだまだ未知数だ。
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