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今日は本田さんの最後の撮影日だということで、この1年間をふり返ってもらうと、
「早いような…。僕は1年間やっていたような感じがあまりしないんですよね、毎回ではなかったものですから。長丁場という感じが僕の中では全然ないですね。まだまだ半分も出し切ってないような、あと2、3年続けてくれればそろそろ出すよ、みたいな(笑)」
と、低い渋い声でゆっくりと話し始めた。
『仮面ライダーカブト』への出演依頼自体、不思議だと思っていたという本田さん。ご自身をヒーローとは逆の生き方をしていると明言し、
「僕はどちらかというと地に足つけた地味な生き方でも良いから影のほうで生きたいという、そっち系なんですよ。職人系というかね。ですから、ヒーローインタビュー的なものは非常に場違いな気がしているんですよ。ふふふ(笑)」
と、今回のインタビューを場違いだと、あの怪しい笑みを浮かべる。
他の作品でも、いつも独特のあの怪しい雰囲気を醸し出している本田さんだが。
「本質は違うんですよ。本質はとっても土臭く素朴な良い奴なんですけど(笑)。俳優っていうのはいろいろな顔を見せなくちゃいけないし、あまり実態を見せたくないっていうかね。だから、ヒールな悪をやってもその裏側がこぼれ落ちて何か醸し出してきたりすれば、その人の何かが見えてくるわけで。だから表面的な演じ方はあまり好きじゃないし、パターン的な芝居って一番嫌いだし、……実態は見せたくない」
ということはTVの姿は本人とは全くの正反対なのか?
「その中にさっき言った醸し出してくる何かがあるわけで、それが視聴者なり観客が『この人は本質はこういう人なんだろうな』とか、感じてくれたほうが有り難いので、役作りというか表面のキャラクターだけで底が知れちゃうと非常に浅いじゃないですか。だから、よく分からない実態が一番好きなんですよ。ふふふ(笑)」
ああまた、あの怪しい笑みだ。本田ワールドへ引き込まれる。
そして、もちろん加賀美陸も怪しく実態が分からない。
「ふっ(笑)、でもまだ半分も出してないですよ。ちょうど底が見えないくらいの時に終わったほうがいいのかもね。句読点というか『。』という終わり方はあまり好きじゃない。『・・・。』くらいのほうが好きだから、ちょっと余韻を残すというか。ミステリアスな、実態が見えない存在がとっても好きだから、全部が見えちゃうのはあまり好きじゃないんですよね」
では、陸も謎めいて終わるのか?
「今回は意外と『。』って感じぽいですけど、ただ、そういう風に演るつもりは無いけどね。ふふふっ(笑)。これだけドラマが氾濫していると観客の目線は結構深い物があって、表現者とあまり素敵にキャッチボールしちゃうと面白くないのね。それを良い意味で裏切ったり、意外性とか何かそういうところが漂っていないと、予定調和じゃ一番つまらないからね。こういう作品の観客は結構マニアが多いわけだから、かなりツッコンで思考していたりするわけで、それを平気で裏切るくらいのほうがいいかな、って。ふふふ(笑)。
『仮面ライダー』だからこういう芝居をしなくちゃいけないとか、レールの上に敷かれた芝居が暗黙の了解であったとしたら、僕はもう全く逆を演るよって。そういうことでの1年間だったって気はしますよね。僕が演るんだったら暗黙の了解をなぞっちゃ面白くないわけで、今まできっとやられてきたであろうことじゃない何か、プラスαがないと。レールの上の芝居はあまりやりたくない。それが良い悪いは結果論として分からないんだけど、何かどんどん化学反応を起こして行かないと『仮面ライダー』という作品は、10年先まで残らないような気がしちゃうんですよ。昔の価値観でなんかやっていたら、今は全然違う訳だしね。常に時代が動いている訳だから、前へ前へある程度挑戦しながら戦っていかないといけないと思う。それは非常に感じますよね。特に歴史があるものは逆にそう思う。
異分子がみんな集まって化学反応を起こして発想外の何か結果が出れば、良い方向でね。ドラマ作り、物作りはそう言うことだと僕は思っているから。予定調和で終わっちゃうと面白くないからね。良い意味で素敵に変な人達が集まって、好きなことをやって、『え!?』というのが生まれちゃうのが一番理想ですよ。だって観客も視聴者の人達もそれなりに真剣に生きてる時代じゃないですか。生活する上でも、職業の上でも、いつリストラされるかわからないような人もたくさんいる中で、その人達が観たときにその人達の背負う物よりも、もっと軽い物をやっていたら観ている暇無いよね、多分。そう言う人達が背負っている物よりも、もっと多くを背負った感じで画面に出てこないと、柔な芝居なんて観ている暇がない。ただ、感じる何かがあって『あ、面白い。コイツ好きやねん。コイツ見たいから観るわ』っていう、そこまで引っ張れないとね。僕がもし子供を守らなくちゃ、女房の顔色伺って稼がなくちゃ、とかっていうそっち側の人間だったら、刺激的なものじゃないとTVなんか観ないよ。観ている暇が無いし、つまらないでしょ? 早く寝たほうがいいよ。『あいつ気になるから、観たいんだ』って、何かそういうことが大事なような気がするんだよね。それはきっと、良い芝居をするとか良い演技をするとか、そういうことじゃなくて考え方とか生き方とか何かそういうものが、醸し出て来るような気がするんですよ、俳優っていうのは」
常に観客の目線を考えている本田さん。
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