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さて、インタビューを始めようとした所、この日は以前、徳山くんが出演していたドラマ『ホーリーランド』の原作漫画をまとめた『ホーリーランドセレクション2』(白泉社)の発売日だという話に。「路上のカリスマ・伊沢マサキ」を演じた彼は、巻頭グラビアでトレーニング方法と技の解説を行うページに登場しているのでした。さっそく持参したその本を差し出すと、そのページを見ながら自身の体型についてポツリ。本人としてはもう少しシェイプアップしたかった様子。お話しがあってから撮影まで2週間という短期間だったようで、今ひとつ納得がいっていないそうなのです……ということで、体作りを行うのって、やはり大変だと思うのですが、その辺りの苦労から伺ってみると……。
「僕の場合は“役作り(体作りや精神的なものなど)”っていうのは、自分の芝居をもの凄く助けてくれるものなので、逆に苦でも何でもないんですよ。やってる時は確かに辛いんですけど、その役作りをしないで現場に立ってしまうと、自分としては仕事をバカにしているという意識に繋がってしまうんですよ。まず、自分の中にある“種”というか、役に対する部分を育てないと、と思います。それは出来て当たり前の事だと思っていますし……」
「後で後悔したくない」という事も含め、それが徳山くんの“プロ意識”なのでしょう。本人はそこまで言ってしまうと口幅ったい、という事でしたが、でも、プロだからこそ言える事でもあるわけですよね。役作りのために、それを当たり前の事としてウエイトコントロールを行うのは、やはり大変な事だと思いますが、そこはボクシングを学んだアスリートとしての経験が、今も役立っているという事なのでしょう。……ということで、帰ってくる矢車想の役作りに関して早速伺ってみました。
「TV版の最初からお話ししますと、僕の実年齢が24歳なので、日焼けや髪型もそうなんですけど、その年齢のままのキャラクターで演じてしまうと、設定年齢が27歳でしたから、そう見えないんですよね。なので、まず最初にウエイトをちょっと上げたんですよ。後は自分の中でのイメージ的なものは作っていた部分はあったんですが、結局どうすれば良いか全く分からずに現場に入ったんです。そうしたら、全く想像していたのとは違うキャラだったんですよね。石田監督とどんどん作っていったという感じなので、毎シーン毎シーン石田監督との戦いでしたね。僕が最初に考えていたのは、凛々しい上司というか、あまり笑顔を見せずに愛のムチというか、クールに部下に対応するイメージだったんですが、全く逆だったんですよね。ウエイトを上げた体作りの方はOKだったんですけど」
最初はなるべく無駄な動きをせず、凛と構える事などを意識し、天道との接触によって、徐々に体の動きに落ち着きが無くなってきたり、ちょっとした表情でも“あれ? 完璧じゃないなこの人……”という人間的な弱さを垣間見せるような動きを見せることで、キャラクターの変化を表現していったのだとか。
「部下の前では落ち着いた感じで話をしていても、ひとりになった時の顔の表情が異なっていたりとか、そういう部分は意識しましたね。芝居的には難しいことではないですし、なんか人間らしいキャラだなと思ったんです。人間って色んな面を持っていると思うので、それを出せるキャラだったんじゃないかと思うんですよ」
その人間くさい部分も含めて、ファンのハートをがっちりと掴み、今またこうして番組復帰を果たすキャラに矢車は「成長」したということですね。忘れられないキャラクターという評価を得ることが出来たわけですが……。
「ほんとに嬉しいですよね。色々な方に“隊長、カムバック!”って言って頂いて(笑)」

「ずっと今までファンとの交流というのが出来なかったので、ブログを通してというか……僕も憧れの俳優さんと“コミュニケーションが取れたらいいな”と思ってきましたから、普通のブログじゃなくて、色んな方とコミュニケーションをとって、いつも身近にいるような感じで出来たら良いなと。自分なりの恩返しでもないですけど、そんなブログを作りたいなと思っていたんです。今回『カブト』に復帰できたのも、劇場版に出して頂けたのも、本当にファンの方達のおかげだと思うんですよ。プロデューサーの方にも“隊長、凄い人気があるね”って言っていただけましたし、皆さんの声援で矢車が復活したと思ってるんです。そこで強く思ったのが、矢車想というキャラは、石田監督と今まで必死にストーリーの流れの中で作っていったキャラだと思っていたんですが、再登場の脚本を頂いた時に、もしかしたら、矢車想って僕の手から離れていったのかな? って思ったんです。キャラクターもかなり違ってますし。いろんな意味で僕の手から離れていった……逆に僕がその矢車想を追いかけなければいけない立場になってしまったんじゃないか? って考えたんですよ。ファンの方達の応援と、それを評価して頂いたスタッフの方々の力で復活できたキャラなんだなと。自分の中で今矢車想を演じるという事は、自信を持って頑張ろうという事よりも、みんなの期待を絶対裏切らないために全力を尽くすだけだ、ということなんです」
だから、こんなに愛されている矢車だからこそ、例えば彼がどんな嫌なキャラになろうとも、また良いキャラであろうとも、みんなの期待を裏切っちゃいけないなと思う……それが恩返しかなと思ってるんです。と徳山くんは語る。静かな口調ながら、その熱い思いがヒシヒシと伝わってきました。
「まだ撮影には入っていないんですが、自分なりに考えていることはいっぱいあって、どうやって演じてやろうかと……。今回目標としているのは、監督の想像を超えたものでありたいと思うんですよ。監督に“よし、これはいただきだ!”って言われるようなお芝居を出していきたいなと思ってます」
テレビの時といい、映画の時といい、そして今回……悩まされることが多い役なのだとか。まったく自分でも読めないキャラが矢車というキャラクターなのだそうです。台本をもらって読んでいても、矢車想が何を考えているのか分からないという事も多いらしい……。
「彼のバックボーンも自分で考えなきゃ行けないし、もの凄く色々な試練をくれる役だなぁ……って思いますね(笑)。監督もプロデューサーも色んな事を考えさせてくれて……」
なるほど、徳山秀典の真価を問われる仕事って訳ですね隊長。では今回は、どんな感じで挑んでやろうと考えているのでしょうか? 「ホッパー」という新たなライダーになるわけですが……。
「僕は“キックホッパー”らしいんですけど、まだ再登場する33、34話の脚本しか頂いていないので、ま〜ったく分からないんですよ。いきなりヘビメタブーツで登場するんですけど……」
……ヘビメタブーツ???
「“パーフェクトもハーモニーも無いんだよ! どうせ俺なんか”って感じで変身して、そうしたら“誰か俺を笑ったな?”ってザビーをぶっ倒したりするんですよ……だからもう、どういう風に演じよう……って、悩んでます。ひとつ間違えると、すごいヘタレキャラになってしまうし、ひとつやりすぎちゃうと格好良くなりすぎちゃうし……“うわっどうなんだろう?”って感じなんですよ。お話しの先が見えないじゃないですか? この後どうなっていくのか分かっていればまだ良いんですけど。いなかった間のストーリーは描かないと聞いているので、このキャラの変わりようについてのバックボーンは自分で作らなきゃならないんです。かといって、この先々で矛盾点が生まれても大変なことになるので、変に役作りしすぎてもいけないし、だから凄くむずかしい所なんですよね」
まさに180度真逆のキャラクターといっても過言ではない状況で帰ってくる矢車。役作りに悩む毎日が続きそうですね……。自分の中では3パターンくらい芝居の方向性を用意していて、とにかく矢車想をヘタレキャラだけにはしたくない! という強い思いがあるのだそうですが……。

このインタビューをした翌日に衣装あわせを控えているという事で、そこでも役作りの方向性が見えてくるのでしょう。何でも登場シーンで生身のままワームを倒してしまうとかで……。
「元シャドウのエリートだけあって、生身の格闘術もなかなかのものだろうということで。初っぱなからガツンと行こうと思ってます。まるで今までと変わっているということは、それなりの事があったわけで、人って余程のことが起きれば変わってしまう部分もある訳じゃないですか? だから矢車想の信じる自分というものを出せたらなと思ってます。その場その場で感じたことを、何者にも縛られないという感情と共に出せたら良いんじゃないかと思ってるんですけど」
加藤くんの演じる大介は、そのまんまという感じで再登場している訳ですから、そのギャップなども楽しめる要素になっているのでは? 苦労は多そうですが、演じている方も楽しいのでは?
「一体、何人の矢車を演じているのか……4つくらいキャラ変わってますよね(笑)? テレビシリーズの最初のエリートっぽいのがあって、ちょっと落ちてからガツーンと落ちて、そして劇場版があって、今回があって。で、また更に変わったら、一体ひとり何役演じてるんだろうって(笑)。でもね、役者としては凄くやり甲斐があるんです」
それで反響も良い訳で、これほど嬉しいことも無いに違いない! 「やり甲斐」という楽しさを見出して、矢車役に取り組んでいる訳ですね。そして、この時に封切り真っ最中だった劇場版の演技についても少し伺ってみました。

カットされちゃった部分なんかは有ったのでしょうか?
「ヘラクスと戦う時の“変身”カットが無かったですね。後は冒頭で変身したカブトがキャストオフした後に“完全調和を乱す不協和音め!”っていうセリフがあったんですけど、それが無かったですね。でも矢車さんはそんなにカットされたような所は無かったと思いますよ」
毎年ディレクターズカット版のDVDが出ますが、ぜひ矢車カットは差し込んでいただいて……ということで(笑)。
「たぶん、虎牙さんのケタロスが一番違っていたんじゃないですか? 宇宙から落ちてくる所とか。落ちてくる途中でカブトとのやり取りがあるんですけど、完成作品ではいきなりドーンと落ちて来るじゃないですか。虎牙さんと並んで観てたんですけど、その手が僕の腿の所にガシッと乗っかって、ググッと力が入りましたから。“……虎牙さん落ち着いて”って(笑)。相当ショックだったみたいですよ」
虎牙さん熱かったからなぁ(インタビューでも)……。石田監督! ディレクターズカット版ではここら辺もよろしくお願いします。ケタロスが男気を見せてる力の入っているカットですからね。今回の映画は、もっと上映時間が欲しいと思わせる作品でした。アクション編でない分、役者さんの芝居できちんと時間を取らないと成立しない話ですもんね。逆にその条件で納めなければいけない、監督の苦労も忍ばれますけれども……。
| 構成/竹中 清(ブレインナビ) (C)2006 ISHIMORI PRO・TV ASAHI・ADK・TOEI (c)Toei Company, Ltd. All Rights Reserved. |










