


まず最初に、直前まで行なっていたアフレコの感想から。
「アフレコは、思ったより難しかったです。セーラームーンの時も、番外編のAct.0に出させていただいて、撮影の時に(同時録音から)ちょっとだけこぼれたセリフを入れたことがあるんです。そういう経験もあったので、アフレコなんて簡単だろうなんて思ったのかな?
今回私は踊りに合わせてカウント取りながらセリフを言っているんですけど、それがなかなか合わないんですよね。カウントを合わせることに夢中になっちゃってたので、セリフが棒読みになっちゃってたんじゃないかな。ちょっと不安なので、そこも見所かな(笑)。
別に撮ってる時は自然に出来たんですけど、アフレコではカウントとかタイミングを取るのに必死だったので、気持ちが入りきらなかったから、棒読みになってないか心配しています」
と、ご本人はおっしゃっていますが、本編を見た方はお分かりの通り、実に自然でしたよね? ちなみにアフレコ時は調整室で、監督を始めスタッフさんたちが「さすが本職。やっぱりリズムがあるから上手いよね」と話されていました。
「えー、本当ですか? 私、あちこちに汗をかきながらやってたのに(笑)。声の張りも、役者さんみたいに発声練習なんてしてませんし。滑舌もすごく悪かったんですけど(笑)。
でも、振り付けの現場だと、私のカウントで皆が踊りのタイミングや間を取るんですよ。まず踊ってもらうために、導く声を出さなきゃいけない。それに、百人とか何千人を一度に指導にする場合もあるので、大きな声も出さなきゃいけない時もあります。そうなると、だんだん声も出てくるし、誰も出せとは言ってないんだけど、私が出さなきゃ締まらない。やっぱり、声で締めることも必要じゃないですか? 子供を指導する時とか。だから、気がついたら声が出るようになってましたね」
確かに、ダンスに限らず何か運動を人に教えるときには、大声を出すこともありますよね。その方が緊張感が出るし、勢いも加わる。ましてや仕事となると、短時間で教えなくちゃいけないとか、ケガさせちゃいけないなど条件が重なるので自然と声が大きくなる。あの声は自然に身に付いたものなんですね。
「昔、芝居に出たことがあるんですけど、全然声は出なかったんですよ。地声での芝居だったんですけど、声が通らないって言われて。だから自分は声が細いし、通らない人間だと思ってたんですけど、ここ5、6年で現場での指導がすごく多くなって。気がついたらハッキリ言えるようになってましたね。ハッキリ言わないと指示も伝わらないじゃないですか。ダメ出しもハッキリ言わなきゃいけないし、カウント出しも『ワン、トゥー、スリー、フォー』と普通に言っても、反応してもらえないじゃないですか。『ファイブ! シックス!』って強く言ったりしないと」
人を踊らせるには、リズムをとってもらうことがまず重要なのだそうです。そこで相手がノリやすいように、声の強弱などでリズムをとるそうです。ある意味、声で人を踊らせるというわけですね。
「そういうことで培われて、声が通るようになったのはすごくよかったと思うんですよ。何かを伝えようとする時、声のニュアンスで受け取り方が変わるじゃないですか。役者さんだと、ただ大きな声を出すだけじゃダメなんでしょうけど、本当に伝えたいのであれば、大声でも伝わればいいじゃんって思います」
振り付け現場での経験を積むうちに、指導者としての声の出し方や、考え方が築き上げられていったという彩木さん。そしてキャリアを重ねることで、振付師としてのオーラを身につけていかれたようです。演技からにじみ出るリアリティは、そういった“本物”の雰囲気が自然に出た結果なのでしょう。しかし、さしもの彩木さんも、劇中でのダンス指導は意外と緊張されたようです。
「「私もセリフを言っていて不安になったんですけど、自分が(本職のダンスの)先生だから、まだ楽だったんだろうと思います。周りの人間には『そのまま自然にやるのが難しいんだよ』とか言われてたんですよ。基本的には自分そのものなんだけど、普段言っていることをセリフにされて、何回も同じことやらなきゃいけないシチュエーションでやるのは難しいと言われてたんで、『出来るかなー?』なんてみんなに心配されてましたね。
和佐野プロデューサーも見に来て下さったんですよ。不安だったんでしょうね、本当に。その時は、『今日はいらっしゃってる。もしかして私が心配だから!?』なんて思ってました。午後には姿をお見かけしなかったので、午前中の様子を見て、安心して帰られたのかな。多分、緊張されてたと思います。私がセリフを言うまでは(笑)。
『大したことはやらないんだから、構えないでよ』って思ってるのに、皆に見られて構えられると逆に緊張するじゃないですか。カメラマンも『おー、次は先生だぞ』とか言って、オーバーな前フリをするんですよ。そんな現場でした。皆私がどうやるのか楽しみにしていたというか、『大丈夫かー?』みたいな(笑)」
エンディングの撮影などで、スタッフの皆さんとは顔なじみになっていたこともあり、撮影中はよくイジられていたご様子。明るく、フレンドリーな彩木さんの性格もあり、絡みやすかったのでしょう。
次に、この役のお話が来た時の感想を聞いてみると、決まってから色々思うところがあったようで……。
「多分、エンディングの振り付けをやったからだと思うんですよね。その指導している時に、プロデューサーの方が閃かれたのかな? その時に『第何話に踊りのシーンがあるんですよ』ということを聞いていたので、また(振り付けが)あるんだな。くらいにしか思っていなかったんです。すると、ある時電話がかかってきて、『彩木さん、色々聞かれてますか?』と言われるので、『何も聞いてませんよ』と返事をしまして。別のプロデューサーの方から『出演依頼もしたいんですよ』とお話を頂きまして、『そうなんですか!?』って驚いたんです。
それで台本をもらって、読んでみると、“鳳秋穂”って役名の下の年齢の欄に“26”って書いてあったんですよ(笑)。『えっ!?』と思って。私に依頼したいって言ってたのに、26はないだろと。むしろ、私じゃ困るみたいなメッセージかと思ったんですけど(笑)。台本には役名の下に年齢を書く欄があるのに、私の役以外には書いてなかったんですよ。本当に。私のところだけ“26”って書いてあるから、『26歳の方がいいみたいなことですかね?』ってプロデューサーの方に聞いたら、『いや、それは……』って。何だったんでしょうね(笑)」
こういった年齢などの設定は、キャスティング担当の方に役者さんのイメージを伝えるある種の目安として書かれているものです。先生、邪推し過ぎです(笑)。ちなみに、この後ジョークで「芸名を、“彩木エリ(26)”にしようかな」なんてジョークを飛ばされてました。
さて、話題を変えて、これまでのお芝居の経験についてお聞きします。先ほどやっていたというお話も出てきましたが、果たしてどのくらいご経験されていたのでしょうか?
「ミュージカルまではいかないけれど、踊りも入ったお芝居に何回か出たりしていますね。あと、CMの振り付けの時とかも。踊りが絡んでいるドラマや映画とかの振り付けもする時に、(ダンス練習用の)デモビデオを渡すことがあるんですよ。その中で、見本として役者さんの代わりにセリフを言わざるを得なかったり。あと、ミュージカルを演出したり、一緒にステージングしたりすると、芝居をつけることもあるんですよね。」










