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さて、電王の撮影も残すところ後2ヶ月という感じになってきて、物語もクライマックスに向けて大きく動こうかという時期。そんな中、野上愛理を演じていて、最初の頃と大きく違ってきた所などはあるのか伺ってみました。
「最初の頃は、私自身も探りながら演じていた感じで、私なりに“野上愛理”という像を演じていたんですけど、7、8話の石田(秀範)監督の時に、もっとこうしてみたら良いんじゃないか、というアドバイスをいただきまして、そこでもっともっと野上愛理というキャラクターを濃くしていったんです。それが今演じている、あのかなり天然なキャラの愛理ちゃんに至っているんです(笑)」
なるほど、この時点で明確に“良太郎のお姉ちゃん”から“野上愛理”としてのキャラクターの確立をみることになる訳ですね。野上愛理に開眼したというか……。
「それがあってから、私の緊張もほぐれてきましたし、演じていても楽しいという気持ちが増しました。例えばふだんニコニコしている愛理ちゃんが昔を思い出すとか、侑斗くんの事を思い出す時もそうなんですが、そういった過去の暗い陰の部分の演技はむずかしいんです。ですから、それらの演技をするときは、観ていただいている方々にどう分かりやすく伝えるか、という事を考えて演じたりしています。今は終盤になってきて、どちらかというと物語は悲しくシリアスな感じに向かいつつあるので、そんな中にもちょっと癒されるというか、ミルクディッパーのシーンはそういうシーンだと思っていますので、視聴者の方の安らぎの場所になれば、そういう風に観ていただければ良いなと思って演じてます」
視聴者としても、愛理と侑斗の関係など、今後どうなるのかということはずいぶん気になる所だと思います。ミルクディッパーのシーンも徐々にシリアスになっていくのではないか? とか。
「う〜ん、そうですね。私も実はそこが気になるんですけど、でも愛理ちゃんが侑斗くんのことに気づいてない所とか悲しいことなんですけど、それを画面に出すわけにはいかないので、あえて私はそこは何も考えないで演じるようにしてます。本当に知らないと思って演じてないとダメかなぁと思って……」
愛理がそういう“闇”の部分を、どう知らないでいるかということが、お芝居をしていく上での大きなポイントだと語る松本さん。あまり感情の起伏の激しい役ではないので、ちょっとした表情の変化で見せなければいけないお芝居が多いのではないかと思うのですが……。
「そうですね…でも表情というよりも、シリアスな時と天然な時であまりにもキャラが違いすぎることがあるんですよ。ですから過去の愛理と、現在の愛理、そしてちょうど今撮影している、もしも桜井侑斗が存在しなかったら、という全く違う3人の愛理を演じているという部分はあるので、そこが大変なんです。でも良ちゃんみたいに5パターンも6パターンも変わる訳じゃないんですけど(笑)。1人の女性(愛理)として、それだけの表情を出すというのはなかなかむずかしいですね」
桜井侑斗との失った時間を考えたとき、彼女の中でも演じ分ける際に悩ましい部分が存在するようです。そんな愛理姉さんですが、最終回はどんな感じになって欲しいのでしょうか?
「それはやっぱりハッピーエンドですよね〜、一番は(笑)。ですけど、何がハッピーエンドなんだろうねって、よく話をするんですけどね……。30歳の桜井侑斗が戻ってきて、今の侑斗が消えてしまうのがハッピーエンドではないと思うし、愛理ちゃんの記憶が戻ったらいいのか? というと、そうとも言えないですし……むずかしいんですけども、今のままじゃ終われないので(笑)。最後はみんなで笑って終われるようなストーリーになって欲しいですね。映画のラストシーンの良ちゃんと愛理ちゃんの笑顔のように、視聴者の方に想像を膨らませてもらうようなラストも楽しいんじゃないですかね。もしかしたら、愛理ちゃんはすべてを知ってるんじゃないか? という笑顔にとられる方もいらっしゃるかもしれないし、まったくいつもの良ちゃんと愛理ちゃんに戻った笑顔というような見方もあると思いますし、そういう想像をしていただく楽しみというのもあると思うんですよね」
すべてを解決するのではなく、余韻を残した終わり方というのも確かに魅力的ですよね。映画といえば、撮影の苦労などはあったのでしょうか?
「実は私の撮影は2回しかなくて、合計しても3時間くらいでしたから、TVと平行して撮影の苦労というようなことは無かったですね。でも、TVと映画ではスタッフの方が違うので、いつものミルクディッパーがまったく違う場所のように感じて、最初の頃に戻ったようにすごく緊張したのを覚えてます。」
これまでは、パラレルワールド的な作品が多かった劇場版。しかし、今回は逆にもの凄くTVとリンクした作りの作品だったわけですが、そういった部分で何か変わったことなどは?
「初めて両親に触れたお話しだったので、それまで無かった、野上姉弟にも陰にこんな辛い思い出があるんだ、という表情は出そうと努力しました。映画そのものに関しては、TVのオンエアを観ていただければ分かると思うんですが、無理に映画につなげているというような所も無くて、自然と映画を観てみたいな、と思わせる作りだったと思うんです」
現場での緊張はあったものの、特にTVと映画の別なく愛理というキャラクターに集中できたという事でしょうか。
ところで、電王は女優への第一歩を踏み出した作品でもあるわけですが、そういった面での苦労などはあったのでしょうか?
「ドラマはまったく初めての経験だったので、同じシーンを何回もカットを分けて撮影する意味が、最初よく分からなかったんです。でも出来上がった作品を見てみると、なるほどこういう風に出来上がっていくんだ、という驚きがあったので、スタッフさんあっての作品なんだというのは、そこですごく感じました。何も知らない私に、イチから指導してくださる監督さんもそうなんですが、スタッフの方々の努力がないと成り立たないんだなと……」
自分の苦労というよりも、周りのスタッフに感謝の念が向かうというのは、ずいぶんと自分を客観的に捉えることの出来る方なのだと推察。ふつうに考えたら、初めての仕事なんだから自分の事で精一杯なのが普通ですよね。
「とにかくこの1年は、やりがいのある一年でしたね。やっぱり好きなことが出来ているというのが一番の喜びですね」
やりたいことが出来ている幸せ……鳥取県出身ということで、バラエティ出演時には親善大使(?)としての活躍も行っている松本さん。今回私がインタビューしたというのも、実は実家がもの凄く近いという事実が判明したためでした(笑)。その同郷の人間が考えるに、この地方の親としては、娘を東京へやるのはまずなかなか認めないのでは? と思われるのです。我が子を都会に出すといえば、だいたいが大阪止まりが普通な地域です。六大学を受けるとかなら別でしょうが……。そういった意味では、上京するには本人もそうですが家族の理解も必要だったはず。では、彼女の芸能界への道はどのように開けていったのか伺ってみました。
「15歳の時に、米子(よなご)駅前のショッピングセンターへ友だちと遊びに行っていたんです。そこへたまたま今の事務所の社長と奈美悦子さんが、お仕事でいらっしゃっていて、そこで初めて声をかけられたんです。でもその時はまだ高校生でしたし、自分の周りが目まぐるしく変化している時期なのに、更に東京に行って仕事をするなんて考える余裕もなくて、その時は一端お断りしたんです。その後、地元で就職もしたんですけど、何かやり甲斐というか……心の底から楽しいと思えなかったんですよ。だから、自分がどれくらい出来るか試してみたくなって、一度そういう道を提示してくれた社長に連絡をとってみたら快く了解してもらえたので、一年半前に上京しました」
彼女の地元は、一面に畑の広がるのどかな雰囲気のある場所。市内は古くから流通の要であったので商業地区なのですが、やはり田舎の常で仕事の幅に広がりがないのも事実。“生き甲斐”を探すのも、若者たちにとってはなかなか大変な場所だと言えると思います。のどかな情景に溶け込むように暮らして行くには最適の場所なんですけどね……。その枠に収まりきれなかった彼女は、一大決心をして上京することに。運命の扉が開いたわけです。そして、初めてのオーディションでこの役に受かったので、この1年はあっという間でしたと語る松本さん。では、スカウトされたその頃、何か熱中していたことなどはあったのでしょうか?
「何ですかねぇ〜……今思えば、特にやっていたことはないんですけど、ジュース1本で何時間も友だちと長話しをするとか、そういう他愛もない友だちとの思い出が多いですかね……」
学生らしい青春の時間を送ることが出来たのが、彼女の糧となっているようです。そういえば調理師免許もお持ちだとか?
「それは資格をとることが出来る高校だったので、将来のことも考えてですね。いずれは結婚とかも考えたときに、女性としては必要かな、とか思ったりもしましたし、元々料理が好きなのもありましたけど(笑)」
将来的にはお店を、なんて考えは?
「飲食にかかわらず、何かお店はやってみたいなと思ったことはありますから、将来何かできたらいいですね」
そうなればリアル愛理姉さんですよ! 将来は副業にぜひ!!
では、もう少しふるさとの思い出でも……。
「私はかなり地元を愛してますので、時間があれば帰ってるんですよ(笑)。だから思い出というか、こっちに来て両親の有り難みというのが、すごくよく分かったんですよ。独り暮らしの今は、家に帰ってもお風呂も沸いてない、ご飯もない(笑)、風邪を引いて初めてそこで気づいて……冷蔵庫を開けても何もない、誰も居ないみたいな(笑)。そういうときに両親の有り難みをかなり感じましたね……。あっ、そういえば最近は地元に帰るとよく温泉に行ってますね、新しくできた施設に。友だちと毎日通い詰めるくらい好きで(笑)。あとは最近行けてないんですけど、冬には大山(だいせん)にスノボをしに行ってましたね……。海は泳ぎがそんなに得意じゃないのであまり行かないんですけど、魚介類は大好きなので食べるの専門です(笑)。海があって山があって、そして温泉もあるという、とても良い場所なので!」
| 構成/竹中 清 (C) ISHIMORI PRO・TV ASAHI・ADK・TOEI (c)Toei Company, Ltd. All Rights Reserved. |










