
「最初は『少年ジェット(1959)』かな、実写のね。白いマフラーに白い手袋をはめて、『サイボーグ009(1966)』みたいな恰好をしてスクーターに乗ってて。シェパードのシェーンを呼ぶと、西部劇の『シェーン(1953)』みたいに出てきてね。ワルがブラックデビル。シルクハットを被って黒いマントを着て黒ずくめの悪の象徴。で、ジェットはミラクルボイスで地震を起こせる。「うーやーたー!」って言うと、地震がガガガーーー!と起きるんだよ。それから『まぼろし探偵(1959)』って言うのがあって、それはハンチング帽みたいのを被って『ナショナルキッド(1960)』みたいにこう…ナショナルキッドって知ってる? 知らない? 知らないかぁ。お面とか欲しくてね。でも、お面が平らで俺納得しなくて立体にしたくて…。ウチはカメラ屋だから販促物で来るんです、紙製のが。目の部分をくりぬいてゴムで耳に止めるんだけど、それが気に入らなくてさ。ナショナルキッドの頭って全部被っているんだよね。それが欲しくて…スキー帽があるでしょ?毛糸の。頭のてっぺんに毛糸のボンボンが付いてる。それをふたつ縫い合わせて作ったことがあったんだけど、おかしな物が出来ちゃったんだよね(笑)。
やっぱり最初に観たのは『まぼろし探偵』だったのかな。ラジオでやっていてそれからテレビで観て、イメージが全然違わなかったのが不思議だった。それから『少年ジェット』でしょ。その次はアニメですよね『鉄腕アトム(1963)』『スーパージェッター(1965)』。実写だと『怪傑ライオン丸(1972)』とか『快傑ハリマオ(1960)』も見たな。サングラスかけてターバン巻いて。洋物だと『スーパーマン(1956)』でしょ、『0011ナポレオンソロ(1966)』とか、もっと前だと『ララミー牧場(1960)』だとか『ローハイド(1959)』とか『コンバット(1962)』とかね。その後は円谷プロさんが作り出した『ウルトラQ(1966)』シリーズだね。怪獣映画は『ゴジラ(1954)』が最初だったね。で、『キングコング(1976)』。それから『キングコング対ゴジラ(1962)』とか『モスラ(1961)』かな。ザ・ピーナッツが歌っていたモスラの歌、今俺の息子が俺の教えた通りに歌うよ(笑)」(※海外ドラマは参考として日本での放映開始年を記載しています)
あまりのタイトルの多さ(&古さ)そして、細かく覚えていることに目が点になった。「たくさんご覧になっていますね」と驚くと、
「映画が好きだから。必ず授業中に絵を描いてるんだよね。『キングコング』に行くとキングコングの絵を描いているし。『ゴジラ』の絵も描くし、粘土細工でモスラ(の幼虫)作ったもん。モスラって作りやすいんだよ。ドーナツみたいなのを重ねていけばいいんだけど。でもね、足が難しいんだよ」
生き生きと話す渡辺さんについ引き込まれて、「足があるんですか?」と間抜けな質問をしてしまった。
「あるよ、足が無きゃ動かないじゃん。いっぱい足があるんだよ、虫だから。口がね縦に蓋がしてあるんだよ、横に開くけど、こうやって動くんだよね(と手振りで説明してくれた)。目がすっごいつぶらなんだよ。凹んでいるの。オール巨人さんみたいに、分からないだろうな(笑)」
止まらない勢いだ。正に子供の頃から好きだった作品に出演し、夢が叶っている渡辺さん。中でも一番のヒーローは何かと尋ねるが、作品の多さ故か、どれも好きで甲乙付けられないのか、
「一番は何かな? その時代によって違うよね」
と、決められなかった。特撮番組は何歳位まで観ていたのだろうか?
「ずーっと観ているよ。今はさすがに毎週は観ないけど(苦笑)」
と、現役続行中。しかも、今は息子さんも一緒だ。『電王』出演が決まったとき、その説明をしてくれたのは、息子さんだったと言う。
「子供はヒーロー物は好きだよね。子供のために絶対出てやるって思ったんです。『ウルトラマン』もそうだし。次々と出られて子供は誇らしげに思うし。スタジオに連れって行って見学させられるし、当時は幼稚園でもヒーローになれたよね。残るはこれ(『仮面ライダー』シリーズ)だけだったよ。もう、諦めてたね、仮面ライダーは。デビュー前に『仮面ライダースーパー1』のオーディションを受けて落ちてるから、訛りがひどくて。半分怨んでたんだ(笑)。まあ、それが励みにもなっているんだけど、落とした奴を後悔させてやるって(笑)」
そんな仕事ぶりについて奥様はどんな反応をされているのだろうか?
「女房は子供のほうに向いているから、子供が喜べばそれでいいんですよ。今回も子供と一緒に見に行こうなって言って。そういう親子の姿を見ててニコニコしてる。
これは大事だよ。今の世代の子供達の印象にずーっと残る訳だから。だから俺はカッコ良くいなきゃいけない。悪でもヒーローにならなきゃ。じゃないと佐藤(健)君ばっかりになっちゃうから(笑)」
と笑った。
渡辺さん本人がヒーロー作品が好きだからと言うのはもちろんなのだろうが、それ以上に息子のため家族のために出演すると言う、なんともカッコイイお父さんだった。そして、渡辺さんがちょっとこっちの世界寄りだったというのが、何よりも嬉しい発見だった。
そして最後に、今後は『スーパー戦隊シリーズ』への出演を密かに狙っていることを明かして、我々を喜ばせてくれた。とはいえ、まずは『劇場版 仮面ライダー電王 俺!誕生!』で牙王の“ワル”ぶりを堪能しよう。
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