


まずは、この世界に入られたキッカケから。
「キッカケは、変わってると思うんです。この世界に入るまでは一般の方と同じで、大学まで行って。野球・バスケット・ラグビーと、ずっとスポーツをやっていたんです。で、大学4年まで結局ラグビーを続けて。その後は、実家の家業を継ぐ予定だったんですけど、大学4年生の時、自分は家業を継ぐべきなのか、やりたいことをやるべきなのか色々迷ったんです。そんな時、ちょうどテレビで『ラストサムライ』をやっていて。それを観た時、すごい不思議な感覚というか、『この世界って、自分でもいけるのかな?』面白そうだなと思ったんです。とりあえずやってみないと分からないと思って、次の日から芸能関係の資料を集めて、今の事務所に応募して、オーディションを受けてこの世界に入ったんです。だから突発的にで、結構単純なんですよね」
テレビを観るという、ごく何気ない行為が役者を志すキッカケに。静かだけど、まさしく劇的な展開と言えます。そういう風に「なりたいな」とは皆さんにも覚えがあると思いますが、実際にそこまで行動できる人は少ないですよね。
「その時点の選択で、自分の人生が全然違ったものになっていると思うんですよね。家業を継いでいたら、今は普通に大阪で仕事していたと思いますし。この道を選んだから今、東映撮影所にいるわけですし。その時の選択が、今の自分を生んだんだなとつくづく感じますね」
ちなみに『ラストサムライ』のどのような点に惹かれたのでしょうか? 作品の内容? それとも役者の熱演?
「特に渡辺謙さんを見てですね。『やっぱかっこいいな』と。作品全体よりも、『あ、俺もこういう風になれるのかな』って感覚的なものですね。一種の憧れだと思うんですけど。憧れを憧れで終わらせたくないみたいなものがあって。『俺もできるんじゃないかな』って思ったんです。できないって決めつけるのは面白くないじゃないですか」
「やってみなくちゃ分からない!」分かっていてもなかなか実践できない言葉。それをやれるのはやっぱりスゴイ! そうして飛び込んだ役者の世界ですが、最初はどんな仕事をしたのでしょうか?
「最初は本当にエキストラのような仕事です。ドラマでもチョイ役をやらせてもらったりしたんですけど、自分の中で大きかったのが、お兄さんをやらせてもらった「それいけ! アンパンマンくらぶ」という番組ですね。子供たちと触れ合う番組だったんですけど、自分の中では上手くできなくて……。子供と接するだけでも汗が出て、テンパッていましたね。そんな状況が続いてたんですけど、その時の経験がボウケンジャーになった時にすごい生かされたなと思います。
特にイベントの時は、子供の考えだとか、どういう風に接すると子供が心を開いてくれるのかとか、すごく勉強になりました。やっぱり普通に役者をやっているとなかなかチビっ子と触れ合う機会は無いですから。戦隊特有の環境かなと思いましたね」
そうした流れの後、高橋さんはチーフこと明石暁と出会います。オーディションの後、明石の破天荒かつ確固たるリーダー像を知った時はどう思われたのでしょうか。
「いやー、ムチャクチャやるな、馬鹿だなと思いました(笑)。第1話の時点で。ああいう男らしいというか、結構メンバーの言うことを振り切る人じゃないですか。あと、一見馬鹿なことをしてるように見えるんですけど、そういうのってどこか頭がよくないとできないと思うので、そういう人間性は大好きですね。どちらかというと、頭がいいというより感覚的に物事を捉えてる人だと思います。そういうことを設定から分かった時、明石暁は自分の憧れを乗せていこうみたいな。自分の理想のリーダー像を表現できたらいいなと思いながら第1話に入っていきましたね」
戦隊としては久しぶりにリーダーらしいリーダーだった暁。そんなリーダーを演じることにプレッシャーは感じたりしなかったのでしょうか?
「初めはやっぱり30作品目ですし、久々のレッドらしいレッドっていう設定を聞かされてて、否が応にも皆から『プレッシャーあるんじゃない?』って色々言われたんですけど、別にプレッシャーは無かったですね。逆に、自分の中でも明石暁は自分の思った通りにというか、イケイケで(他のメンバーに)コイコイコイ! みたいな感じだと思うので。私生活でもできるだけ近づけようと思いましたね。とにかく、どれだけ明石暁としてメンバーを引っ張れるか、メンバーに信頼してもらえるかというのをテーマにしていました」
プレッシャーを感じていなかったというのもスゴイ! リーダー像の話が出てきたので、次は高橋さんの理想のリーダー像を聞かせて頂きました。
「大学・高校時代はサブリーダーの位置にいることが多くて。その位置からリーダーを見てると、『こういうリーダーはやっぱいいな』とか『この人はちょっと無茶言ってるな』とか『コレじゃ駄目だよ』っていう経験が色々あったんです。で、いざ自分がチーフになった時に、どういうリーダーになりたいかって色々考えてみたんですけど、やっぱり行動で示すリーダーがいいなと。自分もそうありたいと思って。まぁ、至らないところも多々あるんですけど、常に行動で見せられるようにしたい。それが自分の理想のリーダーですね」
“行動で見せる”というリーダー像はチーフから伝わってきますね。高橋さんもずっとスポーツをやられてきたのもあるかもしれませんが、暁がいい意味で体育会系的なリーダーに仕上がったのは、高橋さんの経験が反映されているからなんでしょうね。
「劇中でも言葉より先に行動で示している部分が多いと思います。そういう部分で自分の理想に近い部分もあるのかなと。あとは、やっぱり面白くないと駄目だと思うんです。リーダーであっても、ただ威厳があるだけじゃつまらなくなってくると思うので。先頭に立ってるけど、どこかしら面白い部分があれば、一緒にやってるメンバーも逃げ道があると思いますし。やっぱり理想のチーフは。演じている明石ですね」
そうして暁のリーダー像を固めていった高橋さん。それでは実際に撮影に入った時は、そういったものを出せたのでしょうか?
「現場に入ったときは酷かったですね。緊張してカチンコの音しか聞こえないような、ガッチガチな状態。誰が自分に声をかけているのかも判らず、『誰の言う事を聞いたらいいんだろう?』という状態でずっとカメラの前に立っていましたね。ファーストカットはエンディングのラストの皆が集まってくるところなんですけど、あの時はもう寒い上にメンバーはともかく、スタッフさんの名前を知らないので、誰に何を頼んでいいのか。そんな状態でしたね。右も左も分からないという」
テーマが冒険だけに、過酷な撮影が多いと評されるボウケンジャー。高橋さん的に一番キツイなあという撮影とは?
「明石は意外と冷たかったり、熱い目にはあっていないんですよね。他のメンバーの方がそういう思いはしてるんです。自分の中で一番危ないなと思ったのが、エンディングの崖を登っているシーンですね。あれは本当にロープ一本だけで吊られて、90度の斜面を登っていたんです。もう超人かと思いました(笑)」








