|
強烈な寒気が日本列島を本格的に襲いはじめた12月中旬。しかし、今日17日は雲ひとつ無い日本晴れ! この日、天真爛漫な立花日菜佳を演じる神戸みゆきさんに、インタビューをお願いしたのでした。きっと神戸さんは「晴れ女」に違いない! しかも強力な!! 心地よい晴天の下、まずは写真撮影を終えてインタビュー開始です。
今日で日菜佳のシーンはすべての撮影が終了したということですが、1年間日菜佳役を演じてみていかがでしたか? 最初に仮面ライダーに出演と聞いたときは、どう思いました?
「そうですね、仮面ライダーっていうのは、変身するヒーローだということは知っていたんですけど、私にも変身願望というのがありまして、自分も変身して悪を倒す側にもし回れたら、ちょっとうれしいな、なんて期待もあったんですけど、ふつうの人間だったので……つまり何が言いたいかというと、私も変身したかった! んです」
なるほど。鬼を演じてみたかったと……。
「だから、私はプロデューサーの人に“変身って良いですよね……”ってほのめかしはしてたんですけど、“日菜佳ちゃんは主人公のサポートをする猛士で”って言われて“猛士”? って思って、それじゃあ鬼になれないじゃないか! という葛藤があったんですけど、サポートも大切なことだぞ、と思い直しました。それで、台本を読んでみたら日菜佳ちゃんっておもしろく演じられそうな女の子だなぁと思って。それで、最初におもしろくやりすぎてしまったら、プロデューサーから“ちょっとやりすぎだよ”って言われちゃって(笑)。もっとふつうの人っぽく演じてね、とかありまして、探り探り始めた役なんです。ヒーローにもなりたかったし、がんばってテンション上げてった回もあったし、猛士って何だっけ? って自分自身、分かってなかった時期もありましたね(笑)」
いきなりテンション高く日菜佳を演じてしまって、プロデューサーから注意されてしまったという神戸さん。しかし、その彼女が演じればこそ、放映1回目から日菜佳というキャラクターは視聴者にきっちりとインパクトを与えつつ、認知させることに成功していたのではないでしょうか。で、インパクトといえば、響鬼を見て神戸さんはこう感じたそうです。
「とにかく“新しい”という感じがありましたね。“こんなにカッコ良かったっけ、仮面ライダーって”って思いました。今までは“緑”なイメージで、緑と赤と黒……みたいな、ハエなのかバッタなのかカマキリなのか……っていうイメージだったんです。確かなイメージが無くて、こんな感じ? かな? みたいに思っていたんです。で、今回響鬼を見て“え〜、こんななの? なんて未来的!!”って思いました。ディスクアニマルとかビックリしましたしね。最近はディスクアニマルたちがくっついて装甲になるじゃないですか。それとかも見てて“新しいな、カッコ良いな”と思いました」
さすが「完全新生」! その、イメージに驚いたという神戸さん。そんな神戸さんの出番、1話では電話でヒビキさんと会話するというシーンから始まりますよね……。
「その電話の会話の中で“(おみやげに)耳かきお願いします!”っていう会話を憶えてますか? あれから、耳かきの話しがひとつも出てこないんですよ(注:日菜佳は耳かき収集が趣味ということになっている)! そこにみなさん気付いて下さっているでしょうか? 最終回にはいろんな耳かきを並べて、そろった、これもそろったって、ひとりで悦に入っているカットとかあったらおもしろいなと思っていたんですけど、そんなカケラもありませんでしたし……。あの、耳かきのネタはどこへ消えてしまったのか? というのが、すごく気になるわけですよ!」
確かにそれは思ってました(笑)。見たいですよね、日菜佳コレクション。
「ファンの方から、日菜佳ちゃん宛に耳かきをプレゼントされるんですけど、私生活で耳かきが増えちゃってしょうがないんです(笑)」
撮影の小道具に使って欲しいくらい(笑)?
「そう、こちらから撮影に回しますよ、っていうくらい増えましたよ、耳かき。ファンの方が送ってくださるものなので、大切にしたいじゃないですか。だからけっこう集まりました。耳かきってヘラの部分のカーブが微妙に違ったり、厚さが違ったりするじゃないですか。それなりに楽しみがあることも知った……みたいな(笑)。集める日菜佳の気持ちが分かりました」
いろいろ試してみて、使い心地を研究したそうです。送ってくれたファンのみなさん、神戸さんはちゃんと使ってくれてますよ。ここで話しは戻りますが、最初が電話のシーンからということで、芝居をするにしても相手が目の前にいないわけで、大変だったんじゃないですか?
「そうなんですよ。限られたセリフの中でどう現そうかと……。私、響鬼をやり始めてから、ドラマの台本というものを改めて意識したというか、いかに自分で演技を組み立てていくかということとか、この番組から教わったことが大きいんですよ。1年を通してこの番組から教わったことは、本当に多かったんです。今までにもTVの経験はありましたけど、立ち位置とかフレームアウト(TV画面から出て行く)をするときの注意とか、また改めていろいろ考える時間をもらった作品なんですよ」
役作りをしていく最初のシーンが、通話している細川さんとは別撮りなのですからね。それに、ふつうのドラマとは違った、独特な演出やカット割りもあるので、新鮮な刺激もあったようですが……。
「……ほんとに探り探りで大変でしたよ。しもやけにもなるし……。あの店着(「たちばな」で着ている作務衣)がくせもので、撮影が始まったのが冬じゃないですか、セットでの撮影なのに腕がしもやけに。袖が短いので出ている部分が真っ赤になっちゃって、寒さとの戦いが大変でしたね。夏暑くて冬寒い衣裳なんですよ。姫とか童子や鬼のみなさんも山の中で大変だったと思うんですけど“セットは良いよね”とは言わせないよねって感じです(笑)。外の方が温かいときがあるんですから。セットには日差しがぜんぜん入らないし、広いセットにストーブがひとつしかなかったり……だからセット組もがんばったよ! ってことが言いたいです(笑)」
スタジオ自体、夏は暑くて冬は寒い場所ですしね……。演じるだけの苦労じゃないということですね。そんな寒い思いをしつつ、しかし、キャストは温かい方が多くて家族的な現場だったということですが?
「誰がどの役割ということではないんです。みんな優しい感じがする方々なので、(蒲生)麻由ちゃん(立花香須実:役)は演技プランとかしっかり持ってるんですけど、でも、そうできないからといって怒ったりはしないんです。1年通して思うに、麻由ちゃんはですね、天然キャラです。麻由ちゃんと話しをしていると気持ちが和むんですよ。こっちが現場で緊張なんかしてると、ふわっとしたことを言ってくれるので、そうだねって笑っちゃう感じで。下條(アトム)さん(立花勢地郎:役)は、もちろん大先輩なんですけど、何かこの先輩から教わらなきゃとか、何かを教えられたらそれを実行に移さなきゃとか、そういうことではなくて、ちょっとした相談事をしたりとか。日常の会話を楽しめる人なんですね。下條さんは会話が好きな方なので、人間関係とかの悩み事の相談とかにも乗ってくださって、きちんと話しをしてくださるんです。だから私は“あ〜今日もすっきり”みたいな(笑)。ずっと話し込んじゃうんですよ。朝イチから下條さんと一緒だと、午前中が終わった時点でふたりとも疲れてるんですよね。話しに熱中し過ぎちゃって(一同笑)。“あ〜昼にまだ、3シーン残ってるよぉ〜……”みたいな(笑)。そんな温かい現場でしたね」
神戸さんの話しぶりが楽しいから、下條さんもついつい聞き入っちゃうんでしょうね。そんな状況を想像してみると、微笑ましいメイク室の画が浮かんできます(笑)。明日夢役の栩原くんとは、どんな感じなんですか?
「あたしが遊びたくなっちゃうんですよ(笑)。“あ〜すむん”って声をかけるんですけど、最近なんか彼はジェントルマンを気取ってるんですよ(不満)。なんなの! っていう(笑)。これまでは“ねぇねぇねぇ”って話しかけると“何すか、何なんすか、どう答えれば良いんですか?”とかって、相手にしてくれたり、合いの手を入れてくれてたんですけど、最近は“おもしろくないですね”とか“それはおもしろいですね”とか、良い悪いの批評(?)しか、態度にしてくれないんですよ(不満)。“あ〜そう、おとなになったなぁ〜”って終わるんですけど、お母さん的な寂しさが……あら、1年も経つと、こんなにも大人になってしうまうのねっていう(寂)。たぶん彼は早く二十歳になりたいんですよ。もっとみんなと仲良くなりたいと思ってるんですけど、やっぱり、まだ16歳なので、大人のお付き合いもできない……みたいな。彼なりのジレンマと闘ってるみたいです。私が15、16歳くらいのときに感じてたような悩みなんかを抱えているので、こういう風に考えたら楽なんだよとか、今の私ならアドバイスもできるし……なんていうんでしょう、やっぱり愛着がありますね。1年間一緒でしたしね……。あれですよ、私はこの番組が終わっても、あすむんとデートして、好きな洋服屋さんで服を一緒に探したりしたいと思ってるし。でも、彼の方の対応はつれないですけど……」
姉というよりは、母親の心境ですか(笑)。これはまた微笑ましい。
「“あぁダメ、そんなの危ないんだから”とか“風邪ひいちゃうんだから”とか、そんな感じで(笑)。明日夢ちゃんも体が細いので、もっとご飯食べなきゃって言うんですけど“僕、顔に付いちゃうんですよ”って言うんですよ。“いいのよ、今はそんな年ごろなんだから”なんて言っちゃうんですけど、けっこう気にしてるんですよ、顔に肉が付くことを。可愛いでしょう? そんな彼を見守って行きたいと思います(母)」
あはは、話しぶりもお母さんっぽいです(笑)。それでは、主役の細川さんとはいかがですか?
「最初の頃は、すごく緊張してたんですね。もちろん主役ですし、芸能界の先輩でもありますし。でも、かもしだす雰囲気というか、細川さん自体はすごく淡白なんですね。“あいつ、現場でうるさいな”とかサラッと言えちゃう人なので、“あっ、すいませんでした”って素直に言えちゃうんです。それは、映画を撮ったときくらいからかなぁ……こちらがしゃべるといっぱい話しをしてくださるので、そこで、打ち解けたというか、分かったことなんですけど。最初の頃はスタッフさんも主役だということで緊張してたと思いますし、共演者の人たちもね。一緒のフレーム(画面)で演技するときも、こう動くと細川さんが映らないから、こう動いて……とか変に考えて演じてると“それ、(動きが)おかしいぞ”ってツッコまれたりして(笑)。“あっそうですね?”なんて、言っちゃったりして(一同笑)。もう、どう動いていいんだか!? って緊張してましたね。早く仲良くなりたいなって思ってました。仲良くなってからは、細川さんもフランクに話しをしてくださるようになりましたし、ちゃんと目を見て話せるようになりましたね(笑)」
文字にするとちょっと硬い印象になっているかもしれませんが、そのかけ合いみたいな会話のテンポから、細川さんのさっぱりした人柄がうかがえました。
「ほんとに、仲良くなるまでは私、一発屋で終わってたんですよ。“細川さん今日の調子はいかがですか?”って話しかけて、“おい、コーヒー持ってこい”“はい、ただいまぁ〜”……なんてノリでコーヒーを差し出すんですけど、緊張しているので、その後会話が続かないんですよ(笑)。細川さんは別に話さなくても平気というか、それでシ〜ンとなっても間が持つんだと思うんですけど、“ちょっと、外に行ってこようかな……”みたいになってました(笑)。でも、打ち解けてからは次から次へと話ができるようになって、この前みんなでご飯を食べに行ったときも、ずっと話しをしてくださいましたしね」
分かります。緊張しますよね、そういう時期って。……間が持たないし。十三之巻で一緒に「不知火」で日菜佳が始めて現場に向かうじゃないですか。あの頃はどうだったんですか?
「あの時は“神戸はおもしろいなぁ”しか言ってくれてなかったですね(笑)。私もおもしろいなぁって言われたら、おもしろく返さなきゃって思っていて“そうですか? 何かおもしろいこと言いましょうか?”とか、そんな具合だったんですけど、その後ですね、さっきお話ししたように、お芝居してて分かったこととかが細川さんに言えるようになって……その不知火に乗っているシーンは、けっこうバッサリとカットされてるんです。クレーンで車を引っぱられながらの撮影で、カメラマンのいのくまさんとか監督とか、外でビューッと風に吹かれている人た
ちが目の前にいるので、1発でOKを出さないとその人たちが大変じゃないですか。それにNGを出したら、元の位置に戻ってまたやらなくちゃいけないってのもあって、大勢の人に迷惑をかけるんですよ。そんなプレッシャーで緊張していたんですけど、なんとか1発でOKが出たんですよ。ホッとしていると“1発でやるじゃん”って細川さんに声をかけていただいたんですよね……あっ! でもその前に“1発でOKにしろよ”ってサラッとプレッシャーかけられました(笑)。
そこで、逆に細川さんがNGを出したりしたら……。
「そうなったら爆笑でしょ? 細川さんだったら。でも、そこで私がNG出して“ほらぁ〜、お前だよ”って言われちゃったら、まだ細川さんのこともそんなに知らない時期だったので、ドヨ〜ンですよ! もう、死んじゃうからって思うくらい落ち込んだと思うんですよ。とにかく足手まといにならないようにって考えてましたね(泣)。でも回を重ねる毎にふたりのかけ合いが楽しみになってきましたよ。日菜佳ちゃんとヒビキさんのシーンってほんとに少ないんですよ。でもその限られた中で、次第にお互いのアイデアや意見を出し合えるようになったりとかして、楽しめるようになりましたね。とにかく1年という長丁場の現場は初めてだったので、最初の頃は、変に緊張していたみたいです」
そんな緊張の中で、あのテンションの日菜佳を演じるのは大変だったでしょうね。
「日菜佳ちゃんを演じるにあたって、テンションを上げていくのはけっこう大変なんですよ。それに、かけ合いのセリフ以外にも、電話で状況や情報を伝えるセリフとかあるじゃないですか。あれにけっこう苦戦してましたね。専門用語みたいなのが多いし、滑舌に関しても言われますし。撮影当日になって、台本に書いてある“○○山”の名前とかが決まったりするんですよ。3行ぐらいなんですが、○○山が××で……して、△△が……? って頭が真っ白になっちゃうんで、それを防ぐためには緊張するしかないんです。緊張して自分を追い込んでいくと、自然にテンションも上がってくるし、頭の回転も追いついてくるんです。そんな風に“緊張しなきゃ!”って思うときがありますね。緊張してないとヤバイんですよ(笑)。気が抜けている顔だっていうのが、モニターチェックで分かるんです。日菜佳って一定のテンションのキャラクターじゃないので、緊張していないと“素”が出ちゃうんですよね。当然テンションの高くない芝居のときもありますけど、どんなシーンであれ、視聴者の方々にしっかり伝えたいと思ったときには、緊張している方がOKが出やすいんですよ。ですから、緊張は私にとってはすごく大切なんです」
役者さんの演じ方にも様々あるでしょうが、リラックスするのではなく、緊張した方が良い、というお話は目から鱗でした。でも、言われてみれば、それもよく分かる話です。たぶん緊張といっても、それでガチガチになるのではなく、精神を研ぎ澄ませるっていう感じなのではないでしょうか? さて、トドロキ(川口真五)くんとは恋仲という設定ですが、現場での川口さんはどんな様子ですか? 今、大変な状況になっているわけですが(このインタビューは、翌日が四十四之巻「秘める禁断」でした)、何か打合せとかはしましたか?
「川口くんとは、(そのエピソードの撮影中は)あまりしゃべらなかったですね。川口くんもザンちゃん(ザンキ役:松田賢二)も、シリアスなシーンの現場では、もっとシリアスなふたりがいる訳ですよ。いつもならザンちゃんともおもしろい話ができてたんですけど、雰囲気を大事にしているので、そんな状況じゃないわけですよ。なので、芝居については坂本(太郎)監督に“ここは熱くやっちゃって良いんですか?”とかは聞いてました。芝居をしていくのに、ここはこうしてと決めていくのではなくて、相手が演じたことに反応して返していくのが心地よいので、役者同士での話し合いはしないですね。下條さんとのときもそうですし、多分あのふたりもそうだと思うんですよね。“緊張するぅ〜”とか“オレはここで決める!”とかふたりは現場で言ってましたから、私は“決めて、決めて!”って言ってました。それぐらいですね。後はいつも通りおもしろい話ししかしませんでした。細川さんもテストを何回もやってると“テスト多すぎじゃないの”ってスタッフさんとお話しされますし、やはり、みんなその場のリアルな状況を楽しんで演じているんだなぁと。幸せな現場だなぁって思います」 |