そう、確かに伊藤さんはバレー部に所属していた。しかし、その入部の理由たるや・・・(笑)
「中学に入った時に、クラブ紹介の冊子をぺらぺらめくって見てたら母親が来て“あら、バレー部の部長さん、字きれいじゃない。この人きっと性格いいわよ、バレー部にしなさいよ”って言い出したんです
(笑)。それまでは文科系のクラブにしようかななんて思ってたんですけど、“あんた、男なんだから体育会系のクラブに入りなさいよ”とか言われちゃって。じゃあ…と思って入ったのがバレー部だったんですよ。今にしてみれば入ってよかったなと思ってますけれどね。たくさんいろんな失敗をしてるので」
んん?“失敗”とは一体どんな???“いろんな大会に出て、記録も残してると聞きましたが?”とツッこむと、
「微妙ですねぇ(笑)。高校の時なんか全然だめだったんで。逆に、失敗したことが今の自分の力になってる部分がおおいにありますね。レギュラーになれなかった時なんか、顧問の先生に“なんで俺を使ってくれないんだ”って思ったりしたこともあったんですけど、そういう経験もひっくるめて先生が教えたかったことも見えて来たし。本当に大事なのはレギュラーをとって技術を高めることじゃないってことが何となくわかってきたんです。バレーでプロになる人って、身長2メートルとかそういう人じゃないですか。僕みたいに高校生で180センチぐらいのやつらがプロになれるわけがない。そこも見越した上で、先生たちが教えてくれようとしたことがあるんじゃないかなって。すごくタメになりました。本当にやっててよかったです」
と挫折の記憶を明かしてくれた。さらに、このバレー体験について、
「先輩とのコミュニケーションの取り方は学びましたね。中学の時は上下関係ってあんまり厳しくなかったんですけど、高校に入ってから急に厳しくなったので。僕、ポロっと言っちゃう方だから、部室に呼ばれて説教されることが多かったんですよ。表面的には言葉遣いなんですけど、もっと違う…うまく言えないけど大事なものを学んだ気がするんです。すごくいろいろありすぎて、言葉ではうまく言えないんですけど…。自分の背骨みたいな部分になったものがありましたね」
と・・・。言葉を途切らせながらの話しぶりに、得たものの大きさが現れているようだった。中学〜高校6年間バレーをやり通したことをご自身は「耐えきってがんばるっていうのが自分の良い部分だと思う反面、ただ辞める勇気がなかっただけだとも思うんですけどね」と笑うが、もちろんそれだけのはずはない。北海道選抜チームに抜擢されるなど、強豪チームの一員として厳しい練習に耐えつづけてきた伊藤さん、温和な笑顔の下に隠された芯の強さには並々ならぬものがあるに違いない。 |