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そんな山口香緒里さんは今年でデビュー11年目のベテラン女優である。これまで数々のTVドラマに出演してきたが、芸能界に入るきっかけはスカウトだった。
「地元は名古屋なんですけど、高校生の時にそこでスカウトされて。私としては考えてもいなかったことでした。それまでは普通に大学に進もうかなと思ってたんです。だけど、高校在学中に『キクチメガネ』のCMのお仕事が来て。そこから仕事がスタートして、高校卒業して東京に上京してきたんです。でも何も分からずに来たんですよ、本当に(笑)」
と、笑うがこのスカウトがなかったら彼女の女優人生はあり得なかった。
それまでは女優になるなど思って見なかった彼女だが、ドラマは大好きだった。
「テレビやドラマは大好きです。ただ自分が女優になることは考えてなかった。もっと身長があってスタイルがあったら雑誌とかのモデルをやりたかった、という気持ちはあったんですけど。それも別に具体的に動いた訳でもないし…」
と、高校生だった彼女の夢はまだ漠然としたものでしかなった。それが一転。
「どこをどう決意したのか、自分でやるって親にも言ったんですよね。母親はやっぱりどうなるか分からないしというのもあって不安がっていたんですけど、父親は『やってみなさい』って言ってくれて。それはもうマネージャーさんの説明と説得が良かったんだと思うんですけど」
と、家族の理解も得て、着実に前に進み始めたのだった。
「本当にすごく作品には恵まれていると思うんです」
と言う彼女のプロフィールは、ちらっと見ただけでも『はみだし刑事』や『大奥』、『暴れん坊将軍』と言った有名な作品が目を引く。
「『はみだし刑事』(テレビ朝日)も最初はゲストで出させてもらったんです。それも工藤刑事の恋人役でした。でも、そこから結局は最後、結婚して子供を産んでというところまで出させてもらったので本当に嬉しかったです!99年に初めて出演させて頂いて、今年、2004年のPART8で最終シリーズでしたから5年くらいかな? すごく嬉しかったですね」
その恋人役の人生を演じられたと言う。
また、それとは違った面白さがあるのが『大奥 第一章』(フジテレビ)。これには、大奥女中でお毒味役3人のうちのひとり“吉野”を前シリーズの『大奥』より引き続き演じている。鷲尾真知子さん演じる葛岡、吉野、浦尾らお毒味3人組は、シリアスな『大奥』に一時の笑いを提供している。その吉野を通して感じる、現代劇とは違う苦労を伺った。
「結構立ち居振る舞いとか細かいので、手の着き方や着物のさばき方だとか全部、所作の先生が入って教えてくれます。今回の私たちは着物の上に着る「かけ」というのが無いので、春日局が引きずって着ているのが「かけ」ですね、それを敢えて着ない低い位にして、身軽に動けるようになっているんですよ」
と、今回はさらにコミカルな演技を強調しているようだ。
そして興味深いのはこの撮影が『剣(ブレイド)』の撮影と平行して行われたことだ。山口さんは、京都太秦撮影所と東映東京撮影所を行ったり来たりしていたのだ。
時代劇でコミカルな演技を、ヒーロー番組で落ちついた母親役とイメージが反対になっているのもおもしろいところだ。このことは本人も楽しんでいた。
「ギャップはすごくあるんですけど、それがまたおもしろいんですよね(笑)。同じ時期に全然違うことをしてるって言うのが」
と、すっかり演じることを楽しんでいる。だが、これまでの女優人生はもちろん楽しいことばかりではなかった。
「デビュー当時はやっぱり悩んで悩んで、どうしたら良いんだろうって思っていました…今でもそういう気持ちはあるんですけど、でもどこがきっかけかは分からないんですけど楽しめるようになりましたよね。いろいろな役を演っていくうちに多分自信も出てきたんだと思うんですけど、でも演技に正解ってないんですよ。こういうやり方があったかもしれない、というのはいつも思っていて。ただ現場では監督がOKを出せばそこはOKなんです。だけど、それをこれで良いんだと思ってしまったら終わりなんだと思うんです。だから常にこういうやり方もあったかもしれない、ああいうやり方があったかもしれない、と悩んでいていいのかな?って思うんですね。でもそれは苦しいとかじゃないんですよ。それが楽しい。例えば『大奥』でも、3人は座る位置まで決まっていてお毒味をしているという中で、そのやりとりを3人でどうやるかっていうのを一緒に考えるとか。鷲尾さんがいてあのシーンが成り立っているんです。どっしり構えててくれるので、私たちが自由にできるっていうのがあります。鷲尾さんはとても気さくな方なので、何でもやっていいよ、それを受け止めるよ、って言葉では言わないけれどそういう雰囲気がある方なので安心してやっていますね(笑)」
大御所先輩方に囲まれている『大奥』ではその胸を借り、『剣(ブレイド)』では一転みんなを見守る山口さん。
「本当に生意気ですけど、そんな立場にいますよね。ほかにも烏丸所長(山路和弘さん)とか上の方たちがたくさんいらっしゃるんですけど私は全然共演シーンがないので、あの現場にいるとどうしてもそう言う目で見ちゃいますね。そんなにアドバイスもできないんですけどねf(^_^;」
と、謙遜する。
そういった両方の立場を経験できるのも、女優としてのキャリアも10年を超えた今だからか? 一口に10年と言っても決して短い期間ではない。その途中では仕事を辞めたいと思ったことはなかったのだろうか?
「ありましたよ。ありましたけど、辞められなかったですね。それはどこかでこの仕事の楽しさを知っているからなんでしょうね。デビュー当初は寂しくて帰りたいって言う気持ちがすっごく強かったし、現場で怒られて『もう、ヤダ!』って何度も思ったこととかあります。でもやっぱりね、楽しいんですよね。大げさには考えてないかもしれないけど、とにかく現場にいたい。現場にいる時間が好きなんです。だからスタッフさんを見ているのがすっごくおもしろい(^o^)、すごく楽しい。照明さんはすごく考えて光を作られているじゃないですか。人の動きに合わせたりして、そういう作っている姿とか見ていたらすごくおもしろいし。記録さんも、どうして記録さんになろうと思ったんだろう?とか、どうして音声さんになろうと思ったんだろう?って考えたりして。だっていろいろな仕事がたくさんあるんですよ、撮影現場には」
と、不思議がる。気軽にスタッフさんたちとも話をする彼女だが、まだ直接その答えを聞いた事はないという。問うたところで逆になぜ女優になったのかを尋ねられそうだが。
「そうですよね。本当にスカウトというきっかけがなかったら、なろうとは思わなかったですからね」
と、スカウトされたことがいかに重要なターニングポイントだったか、彼女自身しみじみと感じていた。 |
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