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| すっかり暗くなった銀座の街を見下ろすここ、東映本社の会議室で今回のゲストを待つこと数十分。前の仕事がおしたのかそれとも移動の車が渋滞にでも巻き込まれたのか、少し遅れて現れた彼はとても丁寧に挨拶をしてくれた。ノーネクタイではあるがダークスーツでカチッと決まった姿は制作発表を思い出させた。今回のゲストは『仮面ライダー剣(ブレイド)』のギャレンこと橘朔也役の天野浩成さんだ。キャストの中では一番年上の彼は、橘のイメージ通り物静かな落ち着いた雰囲気を醸し出していたが、その顔にはTVでは見られない笑みをたたえていた。 |
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制作発表ではかなり緊張していたという天野さんだが、今回は幾分リラックスしてくれているようで、優しく微笑んでいた。早速質問をしていこう。
「だいぶ放映が進んだので、そろそろ周りの反応が現れ始めているのではないですか? 特に子供の反応とかいかがですか?」
と尋ねると幾分饒舌気味に、
「それがまったく無いんですよね。子供からはあまり言われないですね。大人の人から「観ているので頑張ってください」とは言って頂けるんですけど」
と本人も意外という反応を教えてくれた。そして
「この前、相川始役の森本(亮治)君が「カリス、怖い」って子供に逃げられたらしいんですよ(笑)。僕はまだ逃げられないだけいいのかなと(笑)。ギャレンだって気付かれていないのかもしれないんですけど(苦笑)。僕、画面と普段は結構違うと思うんですよ、服装も違うし帽子被っていることも多いし、目が悪いんでメガネかけてるからあまり分からないのかも。大人の人は帽子被ってても気付いてくださる方はいて「頑張ってください」って言ってくださって」
と、とても気さくな感じで話を続けた。 |
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甘いマスクの彼のこと、当然声援は女性が多いものと思い尋ねると、
「いや、男の人が多いですね。この間も銀座の駅で急に男性の方に「子供と観てます。頑張ってください」って言われて。普通に声をかけてくださるのは、男の年上の方ですね。初めはもっと子供にいじられるのかなと思ってたんですよ。蹴られたりとか「変身してみろよ」とか(笑)。最悪は自分の家がピンポンダッシュされるとか、もういたずらがすごいんだろうな、って(笑)。僕が小さい頃に近所に仮面ライダーが住んでいたら、そういうことを絶対しちゃったと思うので(笑)。きっとそういうものなんだろうなと思っていたら、なんか全然普通で」
と、いささか拍子抜けしたようだった。
「今まで一緒に仕事をした人とかからは「観たよ」って電話がかかってくるんですよ。「よかったよ、おめでとう」とか声をかけてくださるんですけど。もう25歳なんで友達に4〜5歳の子供がいたりするんですよ。彼らも始まる前はいろいろ言ってたのに、放映が始まったら一切連絡ないんですよね。心配になってこっちから電話かけちゃいました(笑)。でも「観てる?」ってそんなことも言えなくて「もしもし元気?」って(笑)。「元気だけどどうしたの?」とか言われちゃって(笑)。でも子供に変わったらその子が「観てるよ〜」って言ってくれたからホッとして。次にまた親に変わったら「お前、オモチャとかくれよ」って「そっちかよ!」って。俺はオモチャのおじさんかよ、とか思って(笑)」
と、天野さん、見た目に反してとても饒舌だ。しかも笑顔が絶えない。これが本当にあの橘なんだろうか?と疑ってしまうほどだ。
その橘だがキャラクター設定に謎が多い。そこで、
「橘は、良き先輩かと思ったら悪者のようになってしまいましたね」
と、その設定について尋ねると、
「1話の初めだけですよね(良い先輩だったのは)。1話の終わりには「裏切った!」って話で、悪い人になっちゃってましたからね。最初、台本をもらって「え! 悪者じゃん!」って(笑)。ちょっとイメージと違いました。もっと熱い先輩だと思ってましたから。そういうイメージが仮面ライダーに、ヒーローにあったから」
と、演じる彼も驚いた設定だった。しかも天野さんの『仮面ライダー』のイメージは、何故かまだ生まれていない頃に放映されたあの1号ライダーだったというから、そのギャップはかなりのものだっただろう。そしてそれは変身ポーズにもあった。
「ライダーっていうと、昔の1号ライダーのイメージがあるんですよね。本当にこういう(手を大きく回す)変身ポーズだと思って。でも台本を読んで橘の役柄的にそんなに派手ではなくて、椿くん(剣崎一真役椿隆之さん)の変身は多分派手だと思ったんですよ。しかも、最近は手を回す系の変身ポーズってなかったんですよね。去年は携帯でピピピッガシャン!とかだったし、そういう感じなのかな?って思ってたら、橘は思いっきり回してますからね、腕(笑)」
と、笑う。主役よりも派手だった変身ポーズはもちろん、宮崎剛アクション監督の指導だ。
「だんだん自分のやりやすい形に変わってくるからって言われて、本当に自分のやりやすい形に変わって来てますね。初めの3話くらいまでは出し惜しみっぽくあまり変身シーンがなかったんですけど、最近はやたら変身が多くて。しかも変身したらすぐにやっつけられてますけど(笑)、1話の中で2、3回変身したりしてます。だからだいぶ慣れましたね。始めたときはぎこちなかったです(笑)。僕の変身ポーズはここ(右手二の腕)が痛くなるんですよ。うまくできると痛いんですよ、筋がグン!となるみたいで。だから本番で痛くなるとうまくできた、って(笑)。手の回しが小さかったり変な風に回してると痛くないんですよ」
と、痛さは出来の良さのバロメータとなっていた。カッコ良く変身が決まれば決まるほど、天野さんは痛みを感じているということだ。そしてその変身について、恥ずかしいなどの抵抗は無かったのだろうか?
「抵抗はないですけど、不安と戸惑いが…初めての経験なので(笑)。普通、なかなか変身できないですよね。“変身”ですからね! もっと簡単に考えちゃえば良かったんでしょうけど、橘という役にただ単に(ライダーのパーツが)付くって考えれば良かったんでしょうけど。変身したところから僕の中でもやっぱりヒーローなんですよね。橘まではうまく掴めていたんだけど、やっぱりヒーローだからどこかまだ掴みきれなかったのかも知れないですね。初めの頃はアフレコとかもすごいしづらかったですし…最近はもうギャレンも自分のギャレンになって、分かってきた気がするんですよ。自分の中でギャレンと摺り合わせができるようになりました。周りから観たら「変わらないんじゃないか」と思われるかも知れないんですけど、僕の中の納得具合、消化具合が結構うまい具合にできて来たと思います。橘がいてそこにギャレンがスッと重なってきた感じですね」
と、ギャレンと橘の一体感を感じている天野さんだった。 |
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その橘だが、これまでの天野さんを見ているとだいぶ本人とは違うように思えるのだが、
「人見知りしているときの僕が橘ですよ」
と、橘は天野さんの一部であるという。ここまで話を伺っているととても人見知りするようには見えないのだが、
「そうですか? 特にプライベートで知らない人がいると喋れないですね。知っている友達だけだと超、騒いでます。そのギャップは多分すごいと思います。こういった取材とかだったら自分を出せるじゃないですか。喋っていい場、むしろ喋らなくちゃいけない場。だけど、初めて会った人の前で何を言えばいいのか、どのスタンスでこの場所に居ればいいのかな?ってなって、だんだん息苦しくなってきて、帰っちゃうんですよね」
そこまで初対面の人が苦手では、合コンとかも苦手なのかな?
「あ〜、絶対無理だと思います。つまらない時は本当に寒い人ですよ、僕(笑)。Gacktさんみたいだね、って言われたことがあって。それくらい暗いんですよ」
それならと思いこう聞くと、
「ボソッとおもしろいことを言ったりして?」
すると、
「それがないんですよ(笑)」
と苦笑い。なるほどここまで聞くと橘が浮かんでくる。 |
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