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もうすぐ最終回の放映が迫って来た『爆竜戦隊アバレンジャー』。1年というのはあっという間に過ぎてしまうものだと、実感する時期でもある。そしてその最終話の放映目前の1月半ば、撮影を終えたキャストスタッフ一同が集まり、完成パーティなるものが開催された。この1年のスタッフの労をねぎらい、キャストの成長ぶりを喜ぶ会である。そこでキャストが順番に壇上に上がり挨拶をするのだが、胸一杯になってしまい喋れなくなってしまうキャストや、幼いながらしっかりとお礼の挨拶をするキャストがいて、その中で彼女、今回改めてお話を伺った西島未智さんは胸を詰まらせながらもこんな話をした。
「嫌なことはたくさんあったんです。むしろ嫌なことが7割、楽しいことが3割でした。でも、その3割のほうが忘れられない貴重なものでした」
と。
『アバレンジャー』がクランクインして間もないころ、未智ちゃんには少しだけ話を伺ったのだが、クランクアップを前にした年末にこの1年間をふり返ってもらうため再度話を伺った。これはそのときにも話していた内容だった。かなり心に強く思った事なのだろう。
さあ、この“嫌なことが7割、楽しいことが3割”の真意を伺うことにしよう。 |
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実際のところ、年末では『アバレンジャー』の撮影はまだ最終回直前。本当の終わりにはまだまだ早い時期だった。が、それでも彼女にこんな質問をした。
「この一年間をふり返るとどんな1年だったと思いますか?」
すると彼女は、1年どころか彼女の人生すらふり返って語ってくれた。
「私はまだ18歳ですけど、好きなことばかりを選んで生きてきたと思うんです。『アバレンジャー』も正直言うと「やりたい」というよりは「やらなきゃ」という気持ちで、義務感でスタートしたようなものだったから、そこから気持ちが変われたことが大きいですね。ただ単に学べたというのじゃないんです。嫌なことはたくさんあったんですよ。むしろ嫌なことが7割で楽しいことが3割なんですよ。でも、その3割が貴重だし、忘れられない。その嫌だった7割で逆に自分が強くなれるって思える1年でした。試練ですね。今までは嬉しいこと楽しいことが7、辛いこと嫌なことが3で生きてきてたから、逃げちゃいけないんだっていうのをすごく学べたんです。考え方がすごく成長できたというか。私って、18歳の単なる女の子ですけど、辛いことがあると嫌だと思いながら、もやもやしながらやるんですよ。でもそう思いながら成し遂げるより、発想の転換で、楽しく考えてやったほうが時間も無駄にならないじゃないですか。私の周りのダンスの友達とかも同業の子が多いんで、いっぱい話とか聞いてくれて、そういう風に教えてくれるんですよ。もちろん現場の人たちも教えてくれるし…。嫌なことを言われたらムスっとするんじゃなくて、しっかり私のことを観てくれているからそう言ってくれる訳じゃないですか。それをしっかり受け止めて、気持ちよくしようと。そういうところ、ちょっと子供だったんで(照笑)。当たり前のことかもしれないけど、それってすごい大きいじゃないですか。だからこの1年で、臨機応変に気持ちの対応ができる子になりました(笑)。でも、芝居や役者の技術的なものはどうかと言われたら、本当にひとつパワーアップしたくらいなんですけど(笑)」
と、非常に正直に答えてくれた。
18年間変わらなかった彼女を変えた1年だったということだ。その1年の中ではセミレギュラーとは言え、その役割は大きく様々な演技も要求されたわけだが、特に印象的なのはやはり“アバレピンク”だ。第1話では変身できなくて、未智ちゃん自身悔しがっていただけに、このアバレピンクにはほかならぬ想いがあることだろう。
「自前ジャージで、うれしかったですね。初めて脚本を読んだときに泣いちゃいました。念願叶って変身できたというよりも「なんて健気なんだろう、この子は」と思って。あのシチュエーションが、ジャージでボロボロのダイノガッツのマークがすごい良かったですね。平々凡々とした女子高生のはずなのに、すごい健気じゃないですか。それが脚本を読んでいても伝わったし、すごい健気ということで泣けた自分、脚本に泣けた自分を伝えたい、うまく伝えなきゃって思いましたね」
と、やはり熱い気持ちが返ってきた。
しかもち共演者のパパぽんの酒井敏也さん、ママぽんの椿鮒子さんが強烈な個性の持ち主の方々だったので、そちらでも印象的だった。
「もう! 食われゃって、どうしよう(笑)って。みんなにも「みっちゃん、あれキビシイよ。今回みっちゃんの話だけど、パパぽんとママぽんが主役だよ」って(笑)。前々からTVで何度が拝見していた俳優さんだから緊張もすごいしたし。酒井さんがクランクインして初めてのカットで、エキストラさんが酒井さんにぶつかっちゃったんです。すごい痛がってたのに、芝居のときはそんな事を全然感じさせないくらいコミカルなパパぽんを演じきってて、本当にすごいなと思いました」
未智ちゃんは共演者にも恵まれたようだ。そして、この話ではアクションにも挑戦した。
「初めて最初から最後までスタントさんを使わずに、アクションをやらせて頂いて。竹田(道弘アクション監督)さんも期待してくれていたのか、最初から「サポーター付けろ」って言っててくれて、準備していたんです。だけどアバレピンクって、結構情けなかったじゃないですか。でも、あれはあれですごく大変なんです。すごいおどおどして無駄な動きばかりで失敗するって、意図的にやるのはすごい難しいことで、竹田監督もすごい厳しかったんですね。元々竹田監督って怪我をさせたくないからって、きつく言うタイプの方でその通り厳しくて。それだけに現場にも緊張感があったから、私もすごい気合いを入れてやっているんだけど、全然うまくできなくて…。そのうち、周りのギャラリーにどんどん小さい子が集まってきたんですね。そのときは名乗りとかも一緒にやってて、気持ちはヒーローのひとりになっていたから、あまり格好悪いところを見せたくないと思っちゃって、それがどんどんプレッシャーというか、そしたら竹田監督に言われるたびにポロポロ、涙がこぼれてきて。でも、最初泣いてる事に気付いてなくて。ちゃんとしなきゃ!ってすごい集中してたんですよ。そしたら息が苦しくなってきて、過呼吸起こしちゃったんです。子供が「ひっくひっく」って泣くようになって止まらなくなっちゃって。そしたらもう大事(おおごと)になっちゃって。でもそのシーンは自分でやり通したかったので「スタントさん使わないでやらせてください」って竹田監督にお願いしたら、「病院に行ってこい。待っててやるから」って言って頂きすごい嬉しかったんです。でも、病院に運ばれてから、検査とかにすごい時間がかかったんですよ。だから「これは絶対スタントさんで撮ってるな」と思っていたんだけど。それでようやく現場に戻ったら、やっぱり撮っちゃったって聞いて…、やっぱり時間の問題もあるから仕方ないし……。だから、1シーンだけ私じゃないところがあるんですよ。それがすごい悔いですね」
と、何事にも打ち込む未智ちゃんの姿勢が、ひしひしと伝わってくる撮影秘話を教えてくれた。しかし、彼女は悔しがるだけでなく、そういった体験からほかのレギュラーメンバーの大変さも痛感したのだった。 |
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「でも、みんなはもっと大変なんだと思います。話を聞くとレギュラー5人は、この撮影のほかに何件も取材があったり、後楽園のショーをやっていたりとか、並大抵の忙しさじゃないんです。自分が大変なときとかはすごいストレス溜まったりしたけど、でも、あの人たちは私の3倍以上も働いているんだ、と思ってみんなの前で弱音を吐かないとか、見習って頑張ろうと思います。逆に、そう思うと結構気持ちが楽になるんですよね」
自分のことだけでなく、他人の大変さも理解しさらにそれを自分のパワーにもしている未智ちゃんだった。 |
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